アルトピアーノのサブバッテリーをリン酸鉄リチウムバッテリーにDIY交換しました。
使用したのはLi Time製『リン酸鉄リチウムイオンバッテリー12V100Ah』で、併せて走行充電器をリチウムイオン対応昇圧機能付き充電器『New Era SBC-004』に換装しました。
実際の交換作業の様子や、交換によって得られた8つのメリットについてレポートします。
我が家のアルトピアーノは2017年式なので、一度も換装していないサブバッテリーも昨年9月で6年目を迎えました。最近では明らかに容量不足を感じますし、おそらく一度か二度、フル放電してしまっているのではないか(中古車購入なので不明)…と思われるフシがあって、そろそろ交換かなあと思っていました。
『Li Time 12V 100Ah LiFePO4バッテリー』
最初は単に同等製品への換装しか考えていなかったのですが、どうせ換装するならリチウムイオン系のバッテリー(元々はリン酸鉄ではなく三元素をイメージしていた)がいいんじゃないかと考えるようになりました。
理由は、ディープサイクル電池の知識がないので、使うにも管理するにも分かりにくくブラックボックス的な感じが嫌だったんです。この1~2年、ポータブル電源についてはメーカーに教えを乞うなどで自分なりに知識が増えたので、ポータブル電源と同じリチウムイオン系が分かりやすいんじゃないか…と思った次第です。
とはいえ、電気の知識に乏しい自分としては簡単には『サブバッテリー換装』に踏み切れず、何をどうやったらいいのか、換装には何と何を用意すればいいのか…等々、事前に学ぶべきことが色々あり「始動」までに数か月を要してしまいました。
なぜLiTime製12V 100Ah LiFePO4バッテリー?
そもそもの話しをすれば、実は自分は電気が怖い人です^^;
バッテリーの端子を触ったら感電すると思っている人なので「電気は怖い」という意識があります。子供の頃にテレビを分解していて感電した経験があるので電気には基本「恐れ」がついて回ります。
そんな自分に対して、LI Time(旧Ampere Time)社から、『12V 100Ah LiFePO4バッテリー』提供のお申し出をいただきました。
おそらく、この申し出を頂かなければサブバ交換なんて自分ではしなかったと思います。
でもせっかくのお申し出なので、自分のような電気素人で「怖い」と思っている人間がDIY交換に挑戦することで、成功しても失敗しても読んでくださる方に少しでも参考になれば…と思ったことと、サブバッテリーをディープサイクル→リン酸鉄リチウムに換装したらどうなるのか、どんなメリットがあり、どんなデメリットがあるのか…に興味があったので、挑戦してみる気になりました。
ポータブル電源では、2022年以降、「安全性の高さ」や「長寿命」を特徴とするリン酸鉄リチウム電池の採用が相次ぎ、現在ではポータブル電源の電池のデフォルトとなっていますが、そのメリットはサブバッテリーであっても同様です。
『LI Time 12V 100Ah LiFePO4バッテリー』は、100Ah(1280Wh)容量のリン酸鉄リチウムイオン電池採用のバッテリーで、BMS付きです。1280Whと言えば、車内にもう1つポータブル電源(EFDELTAは1260Wh)を持っているようなものなので、怖さを乗り越えて自分で換装できれば「車内の電源確保」はもちろん、災害時などの自主避難場所としても有用性が増すと感じました。
【12V 100Ah LiFePO4バッテリーの特徴】
Li Time製リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、過充電保護・過電流保護・過放電保護・短絡保護・高温カットオフの5つのBMSプロテクションをもった12V専用100Ah(1280Wh)のバッテリーです。電池にはリン酸鉄リチウムイオンを採用しており、高エネルギー密度の「グレードAセル」を採用、高い安定性・安全性を持っています。充電サイクルは放電深度100%で4000回+、80%で6000回+、60%では15000回+に達します。黒/橙の精悍なデザインでIP65相当の防塵・防水性能を有します。
※『充電深度』についての詳細はこちらをご参照ください。
しかもLiTime社からは「わからないことがあれば何なりと質問してください。サポートチームが適切に回答します」という言葉も添えられていたので有難くお受けすることとしました。
問題は現在のディープサイクルバッテリーのサイズ内で収まるかどうか…でした。サイズを確認したところ、
現状サイズ:30.5×17.0x20.0cm
提供サイズ:33.0×17.3×21.5cm
現状より縦横高さのいずれも少しずつ大きいのですが、縦横サイズはストッパーの位置をずらすことで、高さはアルミフレームより小さいので何とか収まりそうなので改めてお申し出を受けさせて頂きました。
おそらく縦横は詰めれば何とかなると思いますが、心配なのは高さです。アルトピアーノのアルミフレーム下に収まればよいのですが(収まらないと何らかの対応策を講じる必要があります)。
また、色々な質問にもお答えいただいたことで「換装」が具体的に見えてきました。
- 現状の配線を単純に新しい電池に繋ぎ変えればよいですか?
➡回答:単純に繋ぎ換えでOK。ただし充電器はリチウムイオン電池用に要換装 - 充電器はお勧めはありますか?
➡回答:「Renogy DC-DC 12V 20A 走行充電器」でOK。現状の接続をそのまま置き換えればOK
ケーブルや配線等の接続をやり直さなければならないのであれば素人の自分には無理ですが、バッテリーと充電器周りの配線を繋ぎ変えるだけなら自分でもできそうです。電気の知識が乏しいだけに感電が怖いですが、そこを乗り越えればリン酸鉄化できる…と思って自分なりに勇気をもって臨みました(苦笑)^^;
「LI Time LiFePO4バッテリー」のスペック
こちらが提供頂いた『LI Time 12V 100Ah LiFePO4バッテリー』です。黒/橙のデザインが精悍で格好いいです。取説に記載のスペックは以下の通りです。
セル | 角型LiFePO4 |
公称容量 | 100Ah |
使用可能容量 | 100Ah |
公称電圧 | 12.8V |
エネルギー | 1,280Wh |
充電方式 | CC/CV |
充電電圧 | 14.4V±0.2V |
推奨充電電流 | 20A(0.2C) |
BMSボード | 100A |
最大継続充放電流 | 100A |
最大放電電流(5秒間) | 280A |
最大継続負荷パワー | 1,280W |
サイクルライフ | 4000回以下 |
内部インピーダンス | 40mΩ以上 |
保護規格 | IP65 |
容量1,280Whは、手持ちのポータブル電源EFDELTA(1,260Wh)とほぼ同等です。充電サイクルは4000回以上と非常に長寿命です(充電サイクルの詳細は以下の記事を参照)。
1点難があるとすれば「出力1280W」というところでしょうか。インバーターは1500Wまで対応品ですが、バッテリー自体の出力が1280Wだと、使える家電も消費電力1280W以下の製品に限られます。手持ちの家電で言えば1400Wの「ドルチェグスト」はサブバッテリーからの給電では使えないことになります。
ただ、車内使用を前提に購入した家電(例えばケトルなど)は、消費電力1000W以下を意識しているので、出力1280Wは自分にとっては大きな問題にはならないと判断しました。
それ以外の面ではほぼメリットだけで、気になるデメリットは見出せませんでした。
走行充電器はNewEra SBC-004をチョイス
アルトピアーノのサブバッテリーの走行充電器はNewEra「SBC001B」が採用されていましたが、電池をLiTime製リン酸鉄リチウムに交換した場合、昇圧機能がないため電圧不足で必要量の充電ができないとのことで、走行充電器をセットで交換する必要がありました。
候補としてピックアップしたのは、現状と同じメーカーの「SBC-004」と、LiTimeから推奨された別メーカーの走行充電器でした。しかし推奨品はAmzonなどでの評価が悪く、特に耐久性の面でトラブルが起きているように書かれていたので、できれば「SBC-004」を使いたいと思いました。
使用可能かどうかの判断のためAmazonのカスタマーQ&Aなどと見ると、SBC-004をリチウムイオン電池に使用することについては、OKとする回答もあれば、「SBC-004は鉛電池以外はNG」との回答もあり、自分としても判断がつきかねました。
そこで、NewEra公式サイトから、使用する電池のメーカーや型番を付記して問い合わせメールを投げてみたところ、わざわざ電話で折り返してくれて、話を伺うことができました。
曰く『メーカーとして正式にテストしたバッテリーではないので公式にはOKとは言えないが…』としたうえで、『満充電できない可能性が高いが使えないことはないと思う。70~80%程度の充電量になってしまう可能性があるがそれで良ければ…』との言葉を聞けました。
もし、SBC-004を使用することにメーカーとして不安があれば、上記のような発言はしなしでしょうし、もし危険性などがあればそう言葉にするはずです。何も言わなければ電話口のユーザー(自分)はLiTime製のリン酸鉄リチウムイオン電池に「SBC-00」を使うのは目に見えているのですから、メーカーとして見過ごしにすることはできないはず。
『満充電にならないと使える電力は少なくなるが、満充電を嫌う(劣化する)リチウムイオン電池の性格からすれば、満充電に至らないことはバッテリーを保護することにもなるので…』という判断で、走行充電器はNewEra「SBC-004」に決めました。
実際にSBC-004を使用した結果は?
では、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーにSBC-004を組み合わせて使った結果どうだったのか。
交換後、すでに3週間以上が経過していますが、まったく問題ありません。
懸念された「フル充電できないだろう」という点については、走行後には13.5Vを表示することはありますが、少し間を置くと13.4Vに落ち着きます。
容 量 | 電 圧 |
100% | 13.5V |
99% | 13.4V |
90% | 13.3V |
70% | 13.2V |
40% | 13.1V |
30% | 13.0V |
20% | 12.9V |
10% | 12.8V |
1% | 10.8V(※) |
0% | 9.5V |
こちらは、LiTimeバッテリーの取説に記載されている電圧表示と充電残量ですが、13.4Vは充電量99%に相当するとのことですので、ほぼフル充電できていることになります。70~80%程度の可能性を指摘されていましたが、実際には99%まで充電できており、実用上で問題はありません。
逆に1%残して充電するなら、それはバッテリーにとって優しいことにもなりそうです。
フル充電できないことは電池寿命の観点ではプラス要素?
また別の見方をすると、これまでポータブル電源で得た知識の中には、リチウムイオン電池はフル充電/放電を嫌うという性格であることが含まれています。とすれば、SBC-004でフル充電できないのであれば、使える容量は目減りしてしまうけれど、バッテリー のダメージの面からはプラス要素であり、寿命的に長持ちする…ということでもあります(New Eraの方に確認済み)。
サイズ的にもSBC-004がベストマッチ
サイズ的なことも考えなければなりません。
画像はアルトピアーノのサブバッテリーのスペースですが、走行充電器を取り付ける場所は決して余裕があるわけではないので、「006」や「Renogy」はとても収まりきるものではありません。
SBC-001B:12.0×14.5×5.5cm
SBC-004 :12.0×19.3×5.5cm
001Bと004は、横幅と高さは同等で、奥行きだけ4.8cm大きいことになります。この4.8cmをスペース内で吸収できるか微妙ですが、001Bと同じように横置きでは絶対に無理なので、手前のカバー板に縦向きに取り付けたらいけるか?などと考えています。
参考:LiTimeからもDC-DCバッテリーチャージャーが発売
自分がサブバッテリーをリン酸鉄リチウム化した当時には、まだLiTime製の走行充電器が発売されていませんでした。しかし、現在は『LiTime 12V 40A DC-DCバッテリーチャージャー』が発売されていますので、当然ですが、内製の走行充電器の方がおすすめとなります。
充電電流:40Aでソーラーパネルからも入力可能(最大入力電圧26V・最大入力電力600W)です。
サブバッテリー&走行充電器交換実施
1月7日、交換作業を行いました。初めてなのでもう少し時間がかかるかと思いましたが、新たな配線をする必要がなくSBC-001B→SCB–004の同じ端子に繋ぎ変えるだけだったため、2時間かからず交換作業を終えることができました。
古いバッテリーの取り外し
まずはこれまでの古いバッテリーの配線を外し撤去しました。
電気に疎い自分的にはバッテリーの端子を触るなんてかなり怖い作業だったので、最初は絶縁手袋をして作業をはじめました。先に黒いマイナス端子を外し先端にテープを巻いて絶縁、次に赤のプラス端子を外し同様に絶縁しました。
途中から作業がしにくいので手袋を外して、端子や配線を直に触っていましたが、特に電気を感じることはありませんでした。多くのネット上の「別に何も起きない」というアドバイスは本当でした(笑)。
バッテリーを撤去するとバッテリーを止めていたストッパーが計5カ所にありました。新しいリン酸鉄リチウムバッテリーを仮置きしてみると、右端のストッパーを外すと旧バッテリーを外したスペースになんとか収まりそうです。
なんと、他の機器の取り付け位置をまったくズラすことなくシンデレラフィット!すっぽり収まりました。作業が予想外に早く終わったのはこのピッタリサイズ感によるところが大きいです。
旧バッテリーをとめていたベルトをかける場所がなくなってしまったので何か他の方法を考えますが、あまりにぴったりでガタがないのでとりあえず今日はこのままにします。
※リン酸鉄リチウムバッテリーに換装して得られた8つのメリットとは?
取り外した古いバッテリーの処分については、カー用品専門店に持ち込むと無料で引き取ってくれる…という情報があります。真偽のほどはまだ確認していないので迷惑をかけてはいけないため店舗名はまだ伏せておきます。自ら確認した上で、実際に処分して貰えたら公表したいと思います。
追記【確認済み】この情報についてオートバックス店頭にて確認したところ、引き取ってくれるとの言質を得ましたので改めてご報告しておきます。
走行充電器をSBC-004に交換
次に、仮置きしたバッテリーをどけて走行充電器の交換作業を行いました。
まずはSBC-001Bから配線をすべて外し、SBC-004の同じ端子に配線を接続しました。
こちらも「SBC-001B」があった場所にピッタリサイズで収まったため、配線の取り回しを少し変更する程度で他の機器の移動は不要でした。
とはいえ、実は単純にサイズだけなら「SBC-004」の接続端子とバッテリーのストッパーが干渉していたんですが、画像のように「高低差」で入れ子になって奇跡的に収まっているんです。
その代わり、背面側にはまったくスペースがないので、スイッチのON/OFFなど背面側を操作する必要がある場合には、ネジを6本外す必要があります。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを設置
最終工程で、バッテリーへの配線を元に戻してバッテリー&走行充電器交換完了です。
端子にカバーをかけて固定して作業終了としました。
配線接続直後の電圧は「13.3V」。
容 量 | 電 圧 |
100% | 13.5V |
99% | 13.4V |
90% | 13.3V |
70% | 13.2V |
40% | 13.1V |
30% | 13.0V |
20% | 12.9V |
10% | 12.8V |
1% | 10.8V(※) |
0% | 9.5V |
取扱説明書によれば、13.3V時は90%容量とのことなので心配したフル充電できないのではないか…という心配は杞憂だった可能性があります(実際にバッテリーの電力を消費して走行充電してみないと分かりませんが)。
ラゲッジの車内照明や換気扇が動作しますので、とりあえず正常に交換作業が完了したと見なすことにします。
実際に走行してみた後の電圧表示は?
約10kmほど走行してみたところでは、100%の13.5Vには至りませんでしたが13.4Vを表示していました。
13.4Vは取説によれば99%の容量が充電されていることになります。
逆に13.4Vでよかった…と思います。リチウムイオン電池はフル充電が苦手で劣化するので99%までしか充電されないならそれでよいと思いますし、99%あれば容量的にも充分と言えます。
13.0V(30%)を下限目途に使用した場合、1280Wh×69%=883.2Whを使用できることになり、かなりの容量を常に車内に持っていられることになります。
ちなみに、我が家のアルトピアーノはオプションの1500Wインバーターを装備しているので、AC100V出力にて消費電力1500Wまでの家電(電子レンジや電気ケトル、コーヒーメーカー、ホットプレートなど)を使用することが可能です。
これまでは電子レンジなど大電力消費の使い方をすると、すぐに電圧が下がってしまい実用性に欠けていたのですが、リチウムイオン化によって実質電力は倍増したと言えます。
サブバッテリーのリン酸鉄リチウム化で得られた8つのメリット
今回のリン酸鉄リチウム(LiFePO4)化したことで以下のように8つのメリットが得られました。
- 実際に使用できる電力量が増加
- 安定性・安全性が高い
- 長寿命
- 充電管理が容易
- 大電力放電に強い
- 低コスト
- DIYで換装できる(システムがシンプル)
- 軽量化
昨今、ポータブル電源界隈ではすっかり「リン酸鉄リチウム」が主流になっていて、その安全性や長寿命性が高く評価されています。
サブバッテリーに関してもリン酸鉄リチウム化するメリットは大きく、もしサブバッテリーが交換時期になっているならぜひリン酸鉄リチウム化を検討すべきではないか…と思います。
サブバッテリーにリチウムイオン電池を採用する場合、ディープサイクルバッテリーと異なる幾つかの大きなポイントがあり、この1つ1つがリチウムイオン電池採用のメリットとなります。
交換メリット①~実際に使用できる電力量が増加する
ディープサイクルバッテリーは、電池内に貯めた電気を使えば使うほど『電圧が下がる』という性格を持っています。
例えば12V100Ahのバッテリーは12V×100Ah=1200Whの電力を蓄えていますが、使用してゆくうちに電圧が下がる特性を持っています。
例えば車中泊などで車内の電気を使っていると徐々に電圧が下がり、電圧11Vを下回るとインバーターの稼働可能電圧を下まわってしまいインバーターが自動停止してしまうため、実際には容量の60%程度しか利用できません。
一方の三元系も含めたリチウムイオン電池は、容量の90%まで放電しても11Vの電圧を維持することができるため容量のほとんどを使い切ることができます。ただし0%まで使ってしまうとバッテリーとしての劣化が進んでしまうので、残量10%程度で留めた方がベターです。
この使用可能量の違いは、リン酸鉄リチウムイオンにも同じことが言えます。
実際、LiTime12V100Ahバッテリーの取説には「推奨定電圧切断電圧」として10.8Vと記載されており、その時の充電容量は『1%』に相当します。つまり、LiTimeとしては容量99%まで使用可能としていることになります。
車内やキャンプ等アウトドアでの使用を考えた場合、できるだけ多くの電力を効率よく使用できることはリン酸鉄リチウムイオン電池への換装の大きなメリットと言えます。
100Ahのディープサイクル電池は「新品」でも容量の60%(≒720Wh)しか使えませんが、購入から数年経過して劣化による容量減少が起きていれば実際に使用できる電力量はさらに少なくなります。半分以下になっているかもしれません。それに比べ、90%程度まで使えるリン酸鉄リチウムイオン電池は、同じ100Ahでも90%≒1080Wh程度まで使用できることになります。
交換メリット②~安定性・安全性
ディープサイクル電池を充電する際には微量な水素ガスが発生します。これが車内に充満すると危険です。
しかし、通常はサブバッテリーは走行充電で充電される、言い換えると空気が流れ換気される走行中に充電するので問題にはなりません。しかし停車中にソーラーパネルから充電する…ということになると「充電中は走行中で換気される」の前提は崩れます。
アルトピアーノに採用されたいたディープサイクルバッテリー「PowerSonic PS-121000」は密閉タイプなので、水素ガスを吸着する触媒を使用して外部に漏れない仕組みを採用していますが、電流が大きい場合には吸着し切れずバッテリー内の圧力が高まり爆発の危険があるため、「防爆弁」を設けてガスを逃がす仕組みになっています。
つまり、停車中にソーラー充電を行うと場合によっては車内に水素ガスが放出される可能性がある…ということです。
これに対してリチウムイオン電池は水素ガスが発生しないのでその点では安心ですが、また別の面での心配があります。リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く急速な充放電が可能という点が特徴ですが、その分、熱暴走しやすく発火・爆発の危険性を伴います。
しかしその点はリン酸鉄リチウム電池が解決してくれます。
同じリチウムイオン電池の中でも、最も電池として安定していて熱暴走を起こしにくいのがリン酸鉄リチウムイオン電池です。約220℃で熱分解を起こす三元素系リチウムに対して、約600℃まで熱分解を起こさないリン酸て売リチウムはより安全性が高いと言えます。
『LiTime 12V100Ah』も横倒し設置が可能な密閉型なので水素ガスの発生は抑えられますし、そもそも電池としての安定性・安全性に優れるリン酸鉄リチウムイオン電池であるメリットも大きいと言えます。
車内に安全性の高いサブバッテリーを積んでいることは走行中・車中泊中の大きな安心となります。
交換メリット③~10年超の長寿命
ディープサイクル電池が400~500回のサイクルで劣化が現れるのに対して、三元素系では500~1000回程度、リン酸鉄リチウムイオンでは3000~4000回と圧倒的な長寿命を誇ります。
4000サイクルのバッテリーに毎日100%ずつ放電・充電を繰り返したとしても、約11年間の寿命を持っている計算になりますが、実際には11年間毎日100%の充放電は行わないため、実際にはさらに長期間の寿命を持っています。
※車自体やサブバッテリーシステムの他の機器や配線が先に劣化してしまう可能性が高いです。
従来のディープサイクル電池は3~5年で寿命となり交換をよぎなくされるます。実際我が家のアルトピアーノの初年度登録は2017年で新車装着のサブバッテリーは5年目にして寿命を迎えていたことになります。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーに交換することで、非常に長期間にわたって安定した電力供給が期待できるはずです。おそらくクルマの買換えが先にきますね、確実に^^
リチウムイオン電池の充放電による劣化や、劣化を緩やかにする方法などはこちらを参照。
交換メリット④~充電管理が容易
ディープサイクルバッテリーは、満充電での保管がベストです。満充電以外の状態で放置すると劣化が進んで容量を大きく減じる原因となりますが、初心者さんはこの点で電池を痛めている可能性があります。
なぜなら、思っているほど「走行充電」による充電量は多くないためです。
例えば、車中泊でサブバッテリーを使ってあまり距離を走らないまま車を駐車して数日間エンジンをかけない…などという状況では、走行充電によってディープサイクルバッテリーを満タンまで充電できていない可能性が高いのです。
使った分の電気の補充が不充分で、満充電にならないまま放置されてしまいった場合、ディープサイクルバッテリーへのダメージは小さくなく、充電量が少ない場合には大きく劣化する可能性もあります。
これに対して、リチウムイオンバッテリーはそうした心配がほとんどなく、30%でも70%でも満充電でない状態での保管も問題ありません。
※逆に長期保存する際には「半分程度」での保管が推奨です。スマホの取説にもそう書いてあるのをお読みになった方もいると思います。
車中泊の帰りの道中で完全に充電補充し切れなかった場合でも、次の走行時まで満タンでない状態で停車していても問題ない…というわけです(次の走行も長距離でない場合は、できれば外部電源(AC)から充電しておくことをおすすめします)。
交換メリット⑤~大電力放電に強い
バッテリーは使用中(放電中)に電圧が下がります。
ディープサイクルバッテリーでは電圧低下が大きいため、電子レンジや電気ケトル、コーヒーメーカー、ホットプレートなど消費電力の大きな家電をした際の電圧の下降が大きく、インバーターが自動停止してしまって使えない場合があります。
※車内で電気を使って「ピーピー」という警告音が聞こえたら「電力(充電)不足」です。
リチウムイオンバッテリーは家電使用中でも比較的電圧が安定しているため、安心して消費電力の大きな家電を使用することができます。
ただし、ポータブル電源などでも容量残量が少ない時に消費電力の大きな家電を動かすと『overload』となって電力供給をストップする場合があります。バッテリー自身やインバーターの最大出力の範囲内で使用するのは当然です。
交換メリット⑥~装備コスト・ランニングコスト
「コスト」に関しては、実際のバッテリーの価格としては従来のディープサイクルバッテリーの方が割安な場合もありますが、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは長寿命による買い替え頻度の少なさがコスト削減に繋がると言えます。
実際のバッテリーの価格を比較してみます。
ディープサイクル:約7万円(PowerSonic PS-121000)
リン酸鉄リチウム:約5万円(LiTime 12V 100Ah)
しかし、ディープサイクルバッテリーが3~4年で交換なのに対し、10年超の寿命を持つリン酸鉄リチウムは、ランニングコストが半分~1/3で済みます。上記例で言えば、ディープサイクルを5年使った場合の1年間のコストは14,000円、リン酸鉄リチウムを10年使った場合のコストは5,000円/1年です。
もっと簡単に言えば、ディープサイクルは10年で2台購入(約14万円)する必要がありますが、リン酸鉄リチウムは1個(5万円)で済む計算になります。
車中泊向けの車内電源をポータブル電源で賄おうとお考えの方はリン酸鉄リチウムのサブバッテリーの検討をおすすめします。
今回筆者が設置したLiTime 12C100Ahバッテリーは約5万円ですが、『容量1280Wh・定格出力1280W』は13~15万円クラスのポータブル電源に匹敵します。
サブバッテリー交換で使用するのであれば、充電器(今回は『NewEra SBC-004』\17600を使用)の交換も必要ですが、合わせても7~8万円で交換できるため、ポータブル電源の購入よりはコスト安と言えます。
交換メリット⑦~DIYで交換できる
元々サブバッテリーシステムが組まれている場合…という注釈付きですが、電気素人の自分でもものの15~20分程度で交換することができたのも大きなメリットと感じます。
送料だとか、工賃だとか、事務手数料だとか、あまり支払いたくないコストですが、こうした交換作業だって馬鹿にならず、数万円は請求されてしまうんじゃないかと思います。
幸い、バッテリーのLiTimeも充電器のNewEraも、相談や問い合わせに親身に回答してくれる良心的なメーカーだったこともあって、当初心配していたより「あっけなく」と感じるほどイージーな交換作業でした。
交換の際に、新しいバッテリーと配線を接続する際に1回だけどうしても火花が飛ぶのは避けられないんだとか。実際、自分が作業した際にもさほど大きくはないですが火花が1回だけ飛びました。それ以外は素手で触っても特に何も起きなかったので、1回の火花だけ(しかも来るタイミングも分かった上で)我慢できれば、サブバッテリー交換はDIYできます^^
交換メリット⑧~軽量化による走行フィールと燃費の改善
「軽量化」これは交換前には想定していなかったメリットで、しかも、最も大きなメリットと言えるかもしれません。
交換後、普段使いの中でも『身が軽くなった』ことは実感していましたが、箱根神社・九頭竜神社に初詣に出かけた際に、これまで3rdでは登り切れずに2ndを多用していた箱根新道を、3rdだけで登り切れて「軽量化」の恩恵の大きさに驚かされました。
元々搭載されていたディープサイクルバッテリーの重量は30.5kgでした。換装後のLiTimeバッテリーは11.5kgで、19kgの減量となっています。
約20kgの減量というと、高性能車などではかなり大きなアピールポイントとなります。例えば…
この記事の「BMW M3 CS」は、3.0リッター直列6気筒Mツインパワーターボ・エンジンを搭載し、最高出力557PS(405kW)を絞り出すそうですが、1馬力あたり0.036kgの軽量化となります。
対するS412アルトピアーノは、直列4気筒「3SZ-VE」エンジンで97PS(71kW)を発生しますので、1馬力あたり0.21kgも軽量化されていることになるので、正直、普段使いの中でもはっきりとパワー感が増し、加速が軽快になったことが感じられます。
リン酸鉄リチウムバッテリーに交換後のアルトピアーノの燃費については「満タン無給油500km」を達成しました。これも軽量化の効果と思われます。
サブバッテリーのリン酸鉄リチウム化のデメリット
サブバッテリーをリン酸鉄リチウム化したことで生じたデメリットは何だろう?と考えますが、正直「何一つ思い当たらない」というのが本音です。
上記のような8つのメリットを得られただけで、何かが悪化した、スペックダウンしたといったことがありません。
唯一の懸念だった「DIY交換」についても、事後となれば「案外簡単だった」と感じています。
サブバッテリー&走行充電器交換まとめ
今回は、劣化し容量不足が目立つようになっていたサブバッテリーの交換を行いました。
サブバッテリオー交換によって、「実際に取り出せる電力量の増加」や「長寿命化」「軽量化」「安全性向上」などの効果が得られました。
実際に換装した感想。
正直、最初は電気が怖いのであまり気乗りはしなかったのですが、換装を終えて思うのは「換えてよかった」です。
実際に使える電力が増えたことや長寿命もその理由ですが、何より充電量が絶妙です。LiTimeの「12V100Ahリン酸鉄リチウムバッテリー」の充電電圧は14.4Vですが、充電器SBC-004の電圧は14.3Vでは理論上満充電にはなりません。でもリチウムイオンバッテリーはフル充電を嫌いますし劣化を早めることを勘案すれば、充電量99%で止まってくれるのは逆に充電量と劣化の絶妙なところでのバランスと言えるんじゃないでしょうか。ここでも「シンデレラフィット」です^^
寿命は約3年と言われるディープサイクルバッテリーの交換を検討している場合には、ぜひ「LiTime12V100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリー」と「NewEra SBC-004」の組み合わせを候補に加えてみてはいかがでしょう。アルトピアーノならサイズもドンピシャですよ。
走行充電器も色々と心配して調べましたが、見切り発車的にチョイスしたNew Era「SBC-004」でまったく問題なく充電できることが確認できました。こちらも2万円もしない価格でコスパのよい製品です。New Eraの方も非常にフレンドリーで親切な対応をして頂けました。
0から自作でサブバッテリーシステムを組むのは私は知識がないのでわかりませんが、現在あるサブバッテリーシステムのバッテリーと充電器の入替えであれば比較的換装しやすいのではないかと思いました。
それでは今日はこの辺で。
ろくろうさん
お返事遅くなり申し訳ありません。
今日までGWのお休みを頂いておりましたが、PCのない環境だったもので失礼いたしました。
>走行充電の配線はどれくらいの太さ(何スケア)でしょうか?
元々装備されていたサブバの配線をそのまま繋ぎ直しただけなので分かりません。
記事にも書いていますように、電気に詳しいわけではないので…。
お役に立てず申し訳ありません。
こんにちは
私も鉛のディープサイクルバッテリーをリン酸鉄リチウムバッテリーに
交換を考えていたので、大変参考になりました
質問なのですが、走行充電の配線はどれくらいの太さ(何スケア)
でしょうか?
よろしくお願いいたします