今回はサブバッテリーの基本的な取扱い方法について学ぼうと思います。

サブバッテリーには注意すべき点がいくつかあります。場合によっては大ダメージを与えてしまうこともあるので要注意なんです!バッテリーの基本的な特性を知って、高額で購入したサブバッテリーを長持ちさせましょう。
アルトピアーノは、どちらかと言うと女性や初心者のオーナーさんが多いように感じます。
また、販売しているトヨタモビリティ神奈川もキャンピングカービルダーではないので、キャンピングカー特有の装備や機能についての説明が不足しているように感じることが少なからずあります。
さらに申し訳ないですが、販売担当者もあまり知識がない方もいないとは言えない実情がありそうです。
筆者自身もほとんど説明なしに購入して、後から「これはこうだったのか」「これってそういうものだったのか」と気づく、知ることが色々とありました。
でも、それってあまり芳しいことではありませんよね。
本来なら初心者さん向けなら尚のこと、丁寧な説明が必要なじゃずなんですけど…。
幸い、自分は早くからバッテリーに興味が合ったので、サブバッテリーやポータブル電源の記事を読んだり、メーカーの広報担当の方に教わるなど少しは知識を得ることができましたが、興味のない方は「サブバッテリーがあれば車内の電気はいつでも好きなだけ使える」と思っている方が少なくないのかもしれません。
そこで今回は、サブバッテリーの基本について記事にすることにしました。
サブバッテリーは魔法の電気発生装置ではありません

「サブバッテリーは、特に充電しなくて普通に走行していればいつの間にか電気が貯まって好きなだけ使える」と思っていませんか?
そう思っている方は少なくないように思います。
購入する際に、それに近い説明を受けているかもしれません。
「走行充電されるので、走ればサブバッテリーは常に満タンです」なんて言われていませんか?
でも、まずその考えは捨ててください。
基本的に、サブバッテリーの電気は「失いやすく」「貯めにくい」ものだと思ってください。
ディーラーで装備可能な電気製品~シンクや冷蔵庫、照明、換気扇などのオプション装備は消費電力がの小さい車載向けの製品を使っているので、走行充電によって貯められる電気量で賄える可能性はあります。
しかし、1500Wインバーターを取り付けて
「これで家電も使えますよ」
と言われて、実際に電気ケトルや電子レンジを使っている方、使おうと思っている方は要注意です。
ディーラーで装着する車載向けの電気製品と、自宅でAC100V電源で使う家電では消費する電気量がケタ違いなので、家電を車内で使う場合には、普段の日常生活の中での走行で得られる電気(走行充電)では使った分を回復することができない可能性が高くなります。

車内で家電を使う際には、使った分の電気はそう簡単には回復できないのだ…ということを覚えておいてください。車内で家電を使うにはそれなりの工夫や対処が必要です。
キャンピングカーはラゲッジの電装品の電気を賄うサブバッテリーを搭載
キャンピングカーに限らず、自動車には「オルタネーター」という発電機が付いています。
普通の自動車の場合、発電機の役割は本来は2つだけです。
(1)自動車が走行する際に使う電気を賄うこと
(2)エンジン始動用のバッテリー(メインバッテリー)を充電する
ヘッドライトやウインカー、エアコンにナビ、バックモニターやドライブレコーダー、車内照明やメーター照明など、自動車が動く際には様々な装備品が電気を使います。
発電機はそれらの電装品の電気をすべて賄うだけの電気を作り出したうえ、さらに、エンジン始動用のバッテリーを充電します。
エンジンを一旦止めてしまうと発電機も停止してしまうので、発電機の電力でエンジンをかけることができないため、バッテリーに電気を貯めておいてエンジンを始動するわけです。

これは余談ですが、エンジン始動用のバッテリー(サブじゃない方のバッテリー)に蓄えられた電気でヘッドライトやワイパー、ウインカー、エアコンなどの電装品を動かしません。バッテリーに蓄えられた電気の目的は「エンジン始動」、そしてエンジン停止中に電装品を使う際の給電です。つまり自動車は走りながらじゃないと電装品に電気を供給できない仕組みですなので、エンジン停止中に電装品を使うとバッテリーが上がってしまってエンジンがかからなくなるのです(このことを覚えておいてください)。
それではキャンピングカーはどうでしょうか。
キャンピングカーでもメインバッテリーの働きは通常のクルマと同じで、停止時のエンジン始動と電装品への給電が行われます。
しかし、キャンピングカーという車種は、『エンジンを止めた状態で電気を消費する自動車』なので、メインバッテリーの他にサブバッテリーが必要になります。
居住空間の照明、換気扇、冷蔵庫、シンクの給水モーターも電気で動きますが、これらの電装品をエンジン始動用のメインバッテリーから給電してしまうと、エンジン始動できなくなってしまうので、キャンピングカーは居住空間で使用する電力だけを賄うバッテリー=サブバッテリーを別に搭載しています。
オルタネーターがサブバッテリーを充電するのは一番最後
さてここで前述の「オルタネーター」(発電機)です。
「オルタネーター」で作り出した電気は、まずヘッドライトやウインカー、エアコンなどの自動車本来の電装品が消費する電気に充てられます。
次に、エンジン始動用のバッテリー(メインバッテリー)が充電されます。
その次になってやっとサブバッテリーにも充電されます。
そう、サブバッテリーに発電機の電気が回ってくるのは最後なのです。
しかし、『夏の夜間で雨天』といった発電機にとって悪条件が重なると、作り出す電気は電装品とメインバッテリーの充電で精一杯となり、サブバッテリーまで余力が残っていない…などという場面もあります。
そりゃあそうです。ライトが付かない、ワイパーが動かないのではクルマとして機能しなくなってしまいますし、エンジンが動かなければただの鉄の塊になってしまうので、そちらを優先するのは当然のことです。
発電機にとっての悪条件を考えてみる
真夏という悪条件
真夏は暑くてエアコン(クーラー)を使用します。
家庭用でも同じですが、エアコンを使うと電気を食う…ということは多くの方がご存じです。
真夏であることで、余計に電気を消費する「悪条件」になります。
夜間という悪条件
通常の走行でも自動車はウインカーやナビなど様々な部品や装備が電気を使いますが、夜間はヘッドライトを点灯することで、日中より多くの電気を消費します。
発電機が発電した電気がサブバッテリーまで回るかどうか…にとって悪条件となります。
雨天という悪条件
さらに雨天ということになると、ワイパーを動かし、フォグランプを点灯するかもしれません。
これも発電機の電気を食ってしまう一因となり、サブバッテリーへ回る電気がますます少なくなります。
以上のように、発電機にとって「暑い日」「夜間」「雨天」は悪条件なのです。
こんな状況下では、クルマが走行する際の電力消費と、エンジン始動の際に使ったバッテリーの充電量を回復するのが最優先で、サブバッテリーにはほとんど電気が回らない、回っても微々たる量になる可能性が高くなります。
近所のスーパーまでの行き帰りだけの走行
走行充電はメインバッテリーとサブバッテリーを充電する機能を持っていますが、前述のように、サブバッテリーへの充電の順番は最期であり、悪条件が重なった場合には充電量は微々たるものです。
そんな悪条件下で例えば、スーパーエンジンへ向かうためにクルマを利用した場合、大きな電力を消費する「エンジン始動」を行い、自宅から近隣のスーパーまでの数kmを走行したとします。
いくら走行充電でサブバッテリーを充電できるといっても、わずか数kmの走行では「エンジン始動」で消費したメインバッテリーの充電量は回復しきれていない可能性があり、もしかするとサブバッテリーにはまったく充電がされていない可能性があります。
そんな状態で買い物を終え、再びエンジンを始動すると、戻り切っていないメインバッテリーの充電量はさらに大きく減少、また数kmを走行して自宅に戻りエンジンを止めてしまえば、メインバッテリーの充電量はかなり減少したままになります。
こんな使い方をしていては、サブバッテリーどころかメインバッテリーにさえ充電が不足している状況もあり得ます。

そんな状態で、お湯を沸かしたり、長時間車内灯を点灯するなどサブバッテリーの電気を消費した場合、サブバッテリの電気は減る一方で走行充電による電気の補充(走行充電)は期待できません。普段の生活の中で数kmの走行をした程度でサブバッテリーの充電量が回復すると思いますか?答えは「否」です。
【ポイント①】
サブバッテリーは走行充電されにくい。ある程度の距離を走行しないとサブバッテリーの充電残量は減る一方だ…と理解すべし!
電装品を繋がなくてもインバーターが電気を消費する

「1500Wのインバーターを装備すれば、家庭用の家電が車内で使えるようになります」
確かにそれは嘘ではありません。
家庭のAC100Vコンセント(家庭の壁のコンセントのこと)は、15Aで100V(15A×100V=1500W)を供給しているので、インバーターが1500Wの出力であればほとんどの家電製品を使うことができるのは事実です(※インバーターは直流でバッテリーに貯めてある電気を家電を使うためのAC交流に変換する装置)。
そんな説明を受けて、オプションの「1500Wインバーター」を取り付けた方も多いと思いますが、その説明は致命的な説明不足があります。
キャンピングカーに搭載されたインバーターによって交流に変換された電気によって電気ケトルや電子レンジなどの家電を使うことができますが、使った後はどうしていますか?
「待機電力で電気を無駄に使ってしまうからインバーターのスイッチをOFFにする」
が正解です。
コンセントに繋いだ家電に待機電力があるのは当たり前ですが、実はインバーター自体に「待機電力」があるのです。
インバーター自体にも待機電力があるので、家電のコンセントを抜いていてもインバーターがONのままでは無駄に電気が消費されてしまうんです。
家庭なら電気料金が増えるだけですが、車内ではサブバッテリーの電気が「空」になってしまうと電気を使えないばかりでなく、サブバッテリーそのものに大きなダメージを与え寿命を早めてしまいます。
私もそうでしたが、アルトピアーノ購入時にこれらのことを説明しない営業マンやセールス担当が少なからずいるのは、やはりキャンピングカー専門のビルダーでないことに起因しているのかもしれません。
いずれにしても、家電使用後にはコンセントを抜くよりインバーターのスイッチをOFFにすることの方が重要なんです(インバーターをOFFにすればコンセントから先の家電にも電気は流れないので)。
使用後は必ずインバーターのスイッチをOFFにしてください(赤いランプを消す)。
サブバッテリーの不調の原因はインバーターの故障ではなく充電不足?
「1500Wのインバーター付けたのに消費電力300Wの家電が動かない」
「インバーターが壊れているのでは?」
という話しを耳にしたことがあります。
でもそれはインバーターや出力系統の問題ではなく、サブバッテリーの充電容量不足の可能性を疑ってみる必要があります。
そういう症状の場合には自分が知っている限りでは、インバーターの故障などより、走行距離が短すぎてサブバッテリーに充分な充電が行われず電力不足で動かないケースが多いです。
一定量よりも充電量が減ってしまうと、サブバッテリーに与えるダメージは大きく、下手をすると一気に寿命となってしまう場合もあるので、一度でも充電不足を起こしてしまうと次からはバッテリーが寿命で充電機能が失われている可能性も出てきます。
【ポイント②】
- インバーター自体に待機電力があるので使用後は必ずインバーターの電源をOFFにすべし
- 家電を利用できない場合はインバーターの故障より充電不足を疑ってみるべし
サブバッテリーに大ダメージを与え寿命を縮める過放電
サブバッテリーの多くに使用されているディープサイクルバッテリーは、繰り返しの充放電に強い電池ですが、一定以上に容量が減ってしまうと、回復できないほどの大ダメージとなる場合があります。
サブバッテリーの電圧計は確認したことがありますか?

コントロールパネルにある小さな液晶で、数字が2段に表示されている…、あれです。
「Volt1」はメインバッテリーを、「Volt2」はサブバッテリーの電圧(V)を表しますが、表示される数字(電圧)には以下のような意味があります。
- 12.6V以上:満充電(問題なく使用可)
- 11.5V~12.5V:安心して使用できる状態(普通に使用可)
- 10.5V~11.5V:充電した方が良い状態(無理すれば使用可だが控えた方がよい)
- 10.5V以下:使用不可、要充電の状態(使用不可)
まずご自身の車内にある電圧計を確認してください。
電圧計の数字ができるだけ「12.6V以上」であれば全く問題なく充分に充電されていますが、「12V」を切っているようなら、少し長い距離を走って走行充電で補充してください。
「11.5V」を切ったら電気の消費は完全に中止して、多めに走行して充電量を増やす意識が必要です。また可能な場合には、ソーラーパネルやAC100V(外部電源)などから「12.6V」以上になるまで充電する必要があります。
「10.5V」以下の場合、すでにバッテリーは正常な状態でない可能性があります。販売店などでチェックの上で交換の相談をした方がよいかもしれません。

サブバッテリーに家電のコンセントを挿して使おうとすると「ピーピー」と警告音が鳴ることがありますが、これは、電圧の低下つまり充電不足を知らせています。
警告音が鳴っていても家電を使うことができる場合がありますが、そういう無理をさせるとバッテリーを傷め、深刻なダメージとなってしまう場合があるので、できれば使用を中止して充電したいところです。
とりあえず警告音が鳴ったら、必ず電圧をチェックしてみてください。
サブバッテリー交換を検討する
一度でも「10.5V」にまで電圧を下げてしまったことがある、いくら走行しても電圧が上らない、インバーターを使うと「ピーピー」警告音が鳴る…等の場合には、サブバッテリーの交換を検討した方がよいかもしれません。
特に購入してから一定年数が経過している場合で、上記の症状が出ている場合にはサブバッテリー交換は喫緊の課題と言えます。
アルトピアーノにサブバッテリーオプションを注文した場合には『ディープサイクルバッテリー』を使用したサブバッテリー・システムが組まれています。ディープサイクルバッテリーは繰り返しの充放電に強い電池ですが、取り出せる電気量が少なく重いのがデメリットです。
もしDIYでのサブバッテリー交換が可能であれば、この際リン酸鉄リチウムイオン電池への換装をおすすめします。リン酸鉄リチウム電池は、
- 取り出せる電気量が多い
- 充電サイクルが多い(繰り返し使えて長寿命~10年でも使える)
- 軽量(10kg以上軽量化も可能~走行性能に影響)
などの特徴があり、価格も割安に入手可能です。
走行充電器も一緒に換装する必要がありますが、交換作業自体は現状のケーブルの繋ぎ直しだけなので特に電気の知識が乏しい筆者でも交換できましたのでおすすめです。
※おそらく、ディーラーにサブバッテリー交換を依頼すると「ディープサイクル」になるはずです。
サブバッテリーのリン酸鉄リチウム化については筆者の実践記事をご覧ください。
筆者が換装したバッテリーは「LiTime」社(旧AmpaireTime)製のリン酸鉄リチウム12V-100Aです。

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外部から給電・充電できる「外部電源」OP装備のすすめ

アルトピアーノにも「サブバッテリー充電機能付き外部AC100V電源」というオプションがあり、多くのキャンピングカーでもオプション装備の設定があるはずです。
この装備は、外部のAC100Vコンセントに電源コードで接続し、車内に電気を取り込むことができる仕組みで、家電を使っている際にはパススルーで家電に直接AC100Vを供給し、家電が繋がれていない場合には、サブバッテリーを充電してくれます。
この装備はサブバッテリーを注文する場合にはぜひ併せて発注したい装備です。
日ごろ、走行距離があまり長くない、家電を使った後インバーターを切り忘れた等の際でも、恒常的に少なめの充電量をフル充電にまで回復することができるので、定期的に外部電源からの充電をおすすめします。

走行充電できるので「外部電源」は特に必要ではありません…等の説明を受けて購入した方は、追加で装備できるか相談してみるのも一手です。外部電源に接続できれば、走行が少ない場合でもAC100Vコンセントからサブバッテリーに充電することができ、バッテリーを健康な状態に保ちやすくなります。
【ポイント③】
日ごろ、サブバッテリーの電気は使う割に走行距離はあまり長くない…という方は「外部電源」を追加できるかの検討をおすすめします。「外部電源」接続ができればAC100Vコンセントはもちろん、ポータブル電源からの充電も可能になります。
車内外で安心して電気を使うならポータブル電源がおすすめ
リチウムイオン電池を採用するポータブル電源は、サブバッテリーに比べて高効率で小型軽量、繰り返し充電にも強く寿命も長い、車外へも持ち出せて、災害時には自宅でも電力供給が可能です。
また、古いタイプのサブバッテリー(※)は、同じ容量を持っていてもポータブル電源に比べ実際に使用できる電気量は少な目ですし、取り扱いに注意が必要で価格も割高です。
さらに、キャンプや車中泊時にエンジン掛け放しはマナー違反として厳に慎むべきことですので、停車中の走行充電は期待できませんが、ポータブル電源とソーラーパネルをセット購入すれば、エンジン停止中でも太陽光発電によって充電可能なので、使用した電気の何割かは回復可能となります。
また、リチウムイオン電池はスマートフォンにも採用されているため、使用感がとてもよく似ているところも使いやすいと感じる大きな要因ではないか…と思います。
筆者としてはアルトピアーノ程度であれば、いっそサブバッテリーや冷蔵庫・シンクなどOPなしで購入し、後乗せの電装品全ての電気をポータブル電源から供給する代用もありかな…と思います。
※リチウムイオン電池を採用したサブバッテリーシステムもあります(アルトピアーノにはなし)

筆者的には、サブバッテリーを換装するならポータブル電源はさほど大型のものは必要ないと考えます。サブバッテリーを装備・換装しないのであれば、容量1500Wh・出力1500W程度の地ミドルクラス以上のポータブル電源をおすすめします。
今回は、サブバッテリーの取扱いについて超初心者さん向けに解説してみました。
取り扱い上の注意点なども、できるだけかみ砕いて解説したつもりですが、分からないことがあればコメント欄で質問して頂いてもけっこうです。私自身も専門家ではないので分かる範囲になりますがお答えいたします。
それでは今日はこの辺で。
こんにちわ。
お役に立てたのならよかったです。
ありがとうございました。
とてもためになりました!
ありがとうございます!