今回は、折りたためて持ち運びが容易なポータブル型ソーラーパネルについて取り上げます。昨年はポータブル電源を買ったので今年はソーラーパネル…と考えている方も少なくないと思います。
人気のポータブル電源ですが、貯めた電気を使ってしまえば「蓄電池」はただの重い箱です。昨今では、アウトドアユースはもちろん、災害時の停電対策、電力逼迫時の節電対策としてもソーラーパネルの人気・需要が高まっています。無限で無料の太陽光による発電で電気を作り貯めておけるポータブル電源+ソーラーパネルのセットでの利用がおすすめです。
- ソーラーパネルはどうやって選べばいいのか
- ソーラーパネルを購入する際に何に注意すればいいのか
- 何ワット発電できるパネルが必要なのか
等々、ソーラーパネルを選ぶ際に気になることや注意点などのまとめ、そして、出力ごとのおすすめソーラーパネルを選んでみました。
なぜソーラーパネルが必要なの?
普段何気なく壁のコンセントから電気を使っていますが、もし、このコンセントに送電されてこなくなったら?と考えたことはありますか?
地震国日本では今後も大地震発生が確実視されていますし、温暖化の影響で、台風は大型化し、線状降水帯などによる豪雨も珍しくなくなってきました。
また、昨今ではエネルギー問題などによる電力の逼迫による計画停電や法人・個人にるよる節電が求められることも珍しくありません。
家庭用の風力発電システムなども開発されつつあるようですが、現時点で手軽に電気を生み出す方法としてはやはり太陽光発電が身近であり、コストも徐々に安価になってきています。
ポータブル電源に壁のコンセントからは100V×15A=1500Wで充電が可能です。普段はコンセントから充電しても全く問題ありません。
災害時の停電への備え
しかし、災害発生時などで停電となった場合には壁のコンセントには送電されてきません。
いくら大容量ポータブル電源を用意していたとしても、電気を使う一方ではいずれ蓄電した電力は枯渇してしまいます。どんなに高性能・大容量のポータブル電源でも電気を作り出すことはできません。
電気を生み出し、補充し、継続的に充電・放電(電気を使う)を繰り返すことができるシステムが必要です。それがポータブル電源とソーラーパネルというわけです。
内閣府災害担当によれば、大災害発生から個人に対して救援の手が届くまでに3日間(72時間)ほどかかるとしており、必然的に、それまでの間は自力で生存し家族を守る必要があります。これを「自助」といいます。
また近隣の人々や町内などの連携によって助け合いながら行政の救援を待つ機関を「共助」といいます。
「自助」「共助」の期間は、以下にエネルギーを確保しておくかが重要です。災害は春や秋など過ごしやすい季節にばかり発生するとは限りませんし、電力のない夜間は非常に不安・不便です。ランタンを一つ点灯できるだけで気持ちは全く違いますし、扇風機や電気毛布など最低限の「涼」と「暖」を取る方法も確保しておく必要があります。
その最も身近な手段が、ポータブル電源とソーラーパネルというわけです。
電力需給ひっ迫などによる節電目的
昨今では、電力需給のひっ迫によって節電が推奨されており、ソーラーパネルによる太陽光発電で生み出された電気を使用することは壁のコンセントからの電気使用を減らす(オフグリッド)ことになり、節電にも効果があるとされています。
特に今年の夏は「酷暑」であり、エアコンを使わなければ生命にも関わるような暑さの一方で、電力需給はひっ迫してギリギリのところで何とか切り抜けたような状況でした。
もっと電力需給のひっ迫が深刻になれば、節電は「要請」ではなく、「計画停電」などへ進行する可能性だってないわけではありません。
そんな電力需給のひっ迫時においても、電力を確保しておくことは重要ですし、電力を自給することで「節電」に繋がり、逼迫が少しでも緩和されれば大きな意義があるのは言うまでもありません。
実は筆者は2022~2023年の冬に、本腰を入れて節電に取り組んで大きな成果を得ることができました。前年を大きく下回る電気使用量で済ませることができ、月間約5,000円もの電気料金の削減に成功しました。その際にも、ポータブル電源+ソーラーパネルが節電の基本を担っていました。
よろしければ節電の取り組みをご覧ください。
ポータブル電源活用にはソーラーパネル必須
ポータブル電源は機種によって様々な容量の電力を蓄えておくことができ、アウトドアはもちろん、災害などによる停電時や、電力逼迫時の電力供給・節電に大いに役立ちますが、いくら大容量を蓄電できたとしても電力を使うだけでは遠からず「電力の枯渇」を迎えます。
ポータブル電源は、再生可能エネルギーによって電力を補うことができて初めてその真価を発揮すると言えます。ACコンセントからの充電が不可能となった際場合に備えて再生可能エネルギーによる「自家発電」による「電力自給」を可能にしておく必要があるのです。
再生可能エネルギーの中でも、最も身近で低コストで備えることができる「発電システム」は、現時点でソーラーパネルによる太陽光発電です。曇天・雨天では発電できないという弱点を持っていますが、風力や地熱などの他の再生可能エネルギーによる発電より手軽で安価なため、個人で備えられる発電方法と言えます。
また、自宅の屋根などにソーラーパネルと敷き詰めるような大規模なソーラー発電システムと異なり、ポータブル電源とポータブルソーラーパネルの組み合わせは、生み出せる電力は大きくありませんが、移動が簡単で設置や撤収が容易という大きなメリットを持っています。
ソーラーパネルの選び方
災害時の停電も怖いし、節電もしなきゃ…とは思うけれど、どんなソーラーパネルを買えばいいのか分からないし、色々な数字の読み方も分からなくて買っていないの。
今回はそんな方のために、ソーラーパネルをどうやって選べばいいのか、筆者がおすすめするパネルはどれなのか、などをわかりやすく解説してゆきます。
入力電圧 > 出力電圧が大前提
ポータブル電源を充電するためのソーラーパネルを選ぶ際の大前提があります。
入力電圧 > 動作電圧
これはすべてのポータブル電源とソーラーパネルに当てはまる大前提です。
「入力電圧 > 動作電圧」とは、電力を送る側の電圧が、受け入れる側の電圧を上回ってはいけないということです。
- 入力電圧とは
ポータブル電源が受け入れられる電圧の大きさのことです。ポータブル電源が何ボルトまでの電圧を受け入れられるかの数値です。 - 動作電圧とは
ソーラーパネルが太陽光で発電できる電気の電圧です。ポータブル電源に何ボルトの電圧で電気を送り出すかを表します。
つまりこれは、定員5人の自動車には6人は乗れません。無理に乗ると壊れちゃうよ…というのと、だいたい同じ感じです^^
言葉遣いが難しく面倒くさいだけで、言っていることは一般常識でも同じです。「定員以上の人数は乗れません」なら分かるのであれば、入力可能電圧以上の電圧で充電できません…もわかるはずです。
開放電圧と動作電圧(Vmp)どちらで判断する?
じゃあ、開放電圧がポータブル電源の入力電圧の上限を超えている場合は使えないってことだね?
ここがちょっと面倒くさいところなんですが、ソーラパネルの諸元表には「開放電圧」と「動作電圧」の2種類の「電圧」が記載されています。
その2つの電圧のうち、どちらの電圧を基準に判断すればいいのか…が議論となる場合があります。
使用するポータブル電源の入力電圧が、ソーラーパネルの2つの電圧「開放電圧」も「動作電圧」も上回っていれば何も問題なく「使えます」と言い切れるのですが、時として面倒くさい事例もでてきます。
こちらは筆者が先日アルトピアーノのルーフに取り付けた定格出力200Wのソーラーパネルです。
このソーラーパネルの開放電圧は「31.5V」、動作電圧(Vmp)は「25.0V」です。
これに対して、充電を受け入れるポータブル電源「Bluetti EB70S」の入力電圧は「12V-28V、Max200W」です。
28Vまで受け入れられるポータブル電源に対して、ソーラーパネルの開放電圧(31.5V)は上回っていますし、動作電圧(25.0V)は下回っており、充電できるのか、できないのか判断に迷うところです。
実はこれ問題ありません。
筆者は日ごろから、この電源とパネルの組み合わせで充電していますが、特に不調や不具合は見られませんし、特別大きな発熱もありません。
ポータブル電源にそのパネルで充電できるかどうか…は「動作電圧Vmp」の数値で判断してよい…と筆者は考えています。
しかも困ったことに、メーカーによって「開放電圧」を基準にするか、「Vmp」を基準にするか考えが異なります。数社に問い合わせても、「開放電圧」を基準に話をするケースと、「Vmp」で回答してくれるケース様々でした。
筆者自身は使っている電源のメーカーのサポートの言葉を信じて「Vmp」基準で使っていますが、メーカーが指定する方法で使用可否を判断することをおすすめします。メーカーの指定や基準を遵守しておかないと保証を受けられない可能性がありますので、Vmp基準で充電する場合はあくまで自己責任でお願いします。
電力や電流は上回っていても問題ない
ポータブル電源にそのパネルで充電できるかどうか…は「電圧」できまる。
でも、電圧以外にも「電流(A)」や「定格出力(W)」など色々な数値が記載されているから、出力(W)や電流(A)がポータブル電源のスペックより上回っていたら使えないんでしょ?
と思うかもしれませんが、出力(W)や電流(A)は気にする必要はありません。
電流(A)は、充電する側のポータブル電源の要求値に従うので、出力側(パネル)の電流の数値が上回っていても電源の要求する電流に抑制されるので問題ありません。
必然的に『電圧(V)×電流(A)』で求められる電力量も小さくなってポータブル電源の上限を超えることはない…というわけです。
この点についてもメーカーに問合せをして『電流は電源が求める数値に依存するので問題ない』との回答を得ていますので、ポータブル電源にソーラーパネルが使えるかどうか…は「電圧」だけで判断して大丈夫です。
ポータブル電源の容量に見合った出力のパネルを組み合わせる
現在我が家には5種類6枚のソーラーパネルがあります。
- 400W 多結晶シリコン製(ALL POWERES)
- 200W CIGS製 フレキシブル(BougeRV)
- 110W 単結晶シリコン製(EcoFlow)×2枚
- 100W 単結晶シリコン製 フレキシブル(ALLPOWERS)
- 40W 単結晶シリコン
このうちの4枚のパネルを使って「EFDELTA(容量1260Wh)」を充電した場合に、0→フル充電に要する時間を計算してみます。発電量は最大値の80%と想定します(理論上の充電量です)。
400W パネル | 200W パネル | 110W パネル | 40W パネル | |
発電量 80% | 320Wh | 160Wh | 88Wh | 24W |
1時間 | 320Wh | 160Wh | 88Wh | 24W |
2時間 | 640Wh | 320Wh | 176Wh | 48W |
3時間 | 960Wh | 480Wh | 264W | 72W |
4時間 | 1280Wh | 640Wh | 352W | 96W |
5時間 | 800Wh | 440W | 120W | |
8時間 | 1280W | 704W | 192W | |
10時間 | 880W | 240W | ||
15時間 | 1320W | 360W | ||
20時間 | 1760W | 480W | ||
フル充電 | 3.9時間 | 7.9時間 | 14.3時間 | 52.5時間 |
表内について説明します。
【発電量80%】
表内の充電量は平均80%と見た実効充電量です。
パネルと太陽が正対した際に最大効率で充電できますが、常に太陽に正対させておくのは至難ですし、雲や影がかかったりして常に最大量で発電し続けることはほぼできませんので、メーカー広報の方から『60~70%程度で見ている』と伺ったので、少し多めに見積もって80%で計算しています。
【時間経過】
発電量の80%×時間ごとの発電総量を表しています。
ただし、通常太陽光がパネル前面に当たって発電できる時間は1日5時間程度です(あまり日が傾くと発電できない、あるいは極端に発電量が減るため)。
5時間を超える場合は、1日5時間想定で2日以上かかると考えてください。つまり表で言えば「110Wパネル」で1260Whを満充電にするには、15時間=3日間かかるというわけです。
つまり、ポータブル電源の容量に見合ったパネルを組み合わせないと、消費は毎日なのに、フル充電まで数日かかるのでは、すぐにポータブル電源の充電量は枯渇してしまうことになり実用性に欠けてしまうというわけです。
【赤文字】
1260Wを超える充電量の必要時間です。
使った電力はその日のうちに回復できるのが理想
1日5時間の日照があった場合には、400Wパネルであればわずか4時間でEFDELTAを満タンにすることが可能ですが、持続的なソーラー発電は、使った電力はその日のうちに回復することが理想です。
災害等で停電が続く場合、1日に使った電気を翌日の日中に回復できなければ、蓄電量は徐々に減ってしまいます。そういった意味で、理想は当日回復です。
40Wのパネルでは、24Wで5時間/日の充電ができた場合の1日の充電量は120Wなので、1260WhのEFDELTAを満タンにするには10.5日≒11日間が必要となり、まったく実用的とは言えません。
200Wパネルの場合は、5時間で800Wh(全量の63%)まで回復できますので、無駄に使わなければ数日は電力を維持することがかのうかもしれません。
110Wパネルの場合は5時間で440Whでかなり節電しながら使わないとすぐに枯渇してしまうかもしれません。ただこの場合2枚のパネルがあるので、2枚を直列接続して発電させることで発電量が増加(単純に2倍ではない)するので、実用的な発電ができるかもしれません。
大出力パネルは高出力ながら大きく重く実用性に欠ける
表を見ると、わずか4時間で1260Whの容量を満タンにできる「400Wパネル」がベストチョイスに見えますが、実はソーラーパネル選びは発電能力一辺倒というわけにはゆきません。
ソーラーパネルは出力が大きければ大きいほど、サイズが大きくなり重量も増します。
我が家の400W多結晶シリコンソーラーパネルの重量は「18.5kg」もありますがそれでも軽量な方です。EcoFlowからも400Wパネルが発売されていますが重量は「22.5kg」とさらに重量級です。
とても気軽に運搬・設置・撤収が可能な重量ではありません(しかも形状が持ちにくいので簡単には移動できません)。実際に設置・移動・撤収してみるとその扱いにくさを実感します。EcoFlowには400Wパネルを太陽の方向に正対させておくための電動スタンド(ソーラートラッカー)があるほどです(30万円もします)^^;
ソーラーパネルを選ぶ際にはできるだけ大出力のパネル…と考えがちですが、電圧(Vmp)では問題なく使えるとしても、手軽に持ち運べて設置・撤収が容易であることも重要な要素ですので大出力パネルは一考の余地がありそうです。
400Wパネルは、実効280~300Wもの発電能力には大いなる魅力を感じますが『折りたためるけれど実質据え置き』と考えた方が良いように思います。筆者宅でも400Wパネルは「いざ」と言う時のために納戸に保管したままです。
かといって100Wクラスのパネルでは1日400Wh程度が限界で、使った分を1日で回復するのは少々厳しいですし、曇天が数日続いたら電力はたちまち底をついてしまうはずです。
そういった意味で、個人ユース前提であれば、200W~300Wクラスのソーラーパネルがベストチョイスと言えるのではないかと思います。もし400W必要なら200Wパネル×2枚で検討した方がよいかもしれません。
筆者は実際に200Wパネルをメインで使用していますが、夏場の晴天が続けば発電量が蓄電量を上回って余ってきます。曇天が数日続いても蓄電で賄い、晴天時に一気に回復…といった使い方が可能です。
また車両の屋根に取り付けてケーブルで自宅内に取り込んでいるので、外出時は走行中も含め常に充電タイムである点もメリットとなっています。
変換効率は重要?気にする必要あり?
発電効率の問題です。
(1)変換効率22%の200Wソーラーパネル
(2)変換効率18%の200Wソーラーパネル
(1)と(2)ではどちらが多く発電できるかわかりますか?
答えは簡単「どちらも同じ」で、時間当たり最大200Wを発電します(天候などの要素は別)。
じゃあ変換効率ってなに?
変換効率とは、「同じ面積でどれだけ発電できるか」の効率を表しています。言い換えると「同じ電力をどれだけ小さい面積で発電できるか」です。
よくパネルの売り文句に「変換効率が良いので…云々」と書いてありますが、実は、この変換効率は、同じ発電量のパネルを比べた場合に、変換効率がよい方が『より小さいパネル』で発電が可能…という意味なので、ポータブル型の場合はあまり気にする必要はありません。
例えば、家の屋根などにパネルを敷き詰める場合などには、おなじ面積に何枚設置できるか…や、同じ枚数でどれだけ発電できるか…など、ちょっと重要な要素なんですが、多くの場合、1枚で使用するポータブル型のソーラーパネルの場合にはさほど気にする必要はありません。
そりゃあ畳1枚(1畳)で10Wしか発電しないのでは困りますが、各メーカーとも競い合っている中で、そんな突出した低性能なパネルは存在しないので大丈夫です。
例えば筆者宅のアルトピアーノのルーフに貼った「CIGS製」のパネルは、実は一般的な結晶シリコン製より「発電効率」は悪いんです。なので同じ200W出力のパネルとしては大きいのですが、クルマの屋根からはみ出すほどには大きくないので、「屋根にパネルを1枚貼る」という目的は達しているわけです。自宅屋根に何枚パネルを貼れるか…といった場合には重要でも、使い方によっては気にする必要がない場合のあるのです。
単結晶シリコンか、多結晶シリコンか、CIGSか
よく耳にする「単結晶シリコン」という言葉は、セル(電池の単体)の状態を表します。
セルの原料である『ケイ素(シリコン)』が含まれたケイ石を溶解してセルを作りますが、単結晶シリコンは純度が高くセルが規則正しく配列している状態です。これに対して多結晶は、単結晶のセルを作る際に生じる端材などを用いてパネルを形成しています。
純度の高い単結晶の方が見た目にも美しく発電効率が良好ですが高価です。多結晶は端材を使っているため安価に作れますが、見た目は「まだら」になることもありあまり美しくありません。
ただし性能的には必ずしも「単結晶シリコン」が優れているわけではなく、安価でも必要十分な能力を有している多結晶シリコン製のパネルを「高コスパ」と捉えてあえて選ぶのも「あり」かと思います。
CIS/CIGS系
CIS/CIGSは使用している素材を表します。
「CIS」は銅(C)、インジウム(I)、セレン(S)を原料とする化合物半導体で作られたもの、「CIGS」は、銅、インジウム、セレンにガリウム(G)を加えた4原料から作られる太陽光パネルです。
「CIS」は、原料が低コストでありながら発電効率も良好で、シリコン系と比べて光吸収効率が高く薄膜化が容易であることや、パネルの一部に影ができても発電効率が低下しづらいこと、温度計数が低く高温環境でも出力が低下しづらい等の特徴を持っており、次世代の太陽光パネルとして注目されています。
「CIGS」はガリウムを加えることで、CIS半導体に比べて太陽光エネルギーの吸収性がより高いことから、CIS系よりもさらに効率的な発電が可能なパネルです。
アルトピアーノのルーフに設置したBougeRV製の「CIGS」系ソーラーパネルは日々、EFDELTAやEB70Sの充電に使用していますが、平均して冬場で150~160W、日が高くなる夏場では180~200Wもの電力を生み出すことが可能です。
特筆すべきは「曇天」や「日差しが当たる前」に非常に強く、シリコン結晶系がまったく発電できない程度の薄日でも少ないながら発電することができる点です。
雨がやみかけて、小雨が降っているけれど少し空が明るくなってきた…そんな状況下でも、僅か26Wですが発電しています。
我が家のアルトピアーノのルーフに取り付けたソーラーパネルは、一般的な結晶シリコン製ではなく、CIGS系というまた別の素材でできたソーラーパネルです。非常に軽量で、薄く、折れ曲がるので曲面にも設置可能です。筆者のように車両ルーフへの設置はもちろん、庭やベランダで発電する際にも「取り扱いが楽」というメリットが生きるはずです。軽量なので「ラティス」などに貼り付けて使用できると思います。
異なるメーカーの異なるソーラーパネルを使っていると「発電力」のような性能の違いを感じることがあります。発電効率は面積と発電量の関係ですが、筆者の言う「発電力」とは例えば、枝葉などがパネルの一部にかかっても発電量が落ちにくい…とか、曇天で日差しが当たっていないのに発電しているなど、悪条件をものともせずに発電する様子を筆者が勝手に「発電力」と呼んでいます。そんな言葉はないのですが…。
実際、日々、CIGSパネルの発電力には「へえこんな曇り空でも発電するんかい」などと驚かされています。筆者の2023年上半期の「買ってよかったもの」ランキング第2位です。
同じメーカーの製品を使った方がいいのか
ポータブル電源とソーラーパネルは同じメーカーでないと使えないということはありません。同時購入でないなら特にメーカーを揃える必要はありませんが、同一メーカーであることによるメリットもあります。
それは、前述のVmp値のことも含めてメーカーがセット販売しているパネルなら購入後に使えない…といったことがありません。
我が家の場合は、ポータブル電源はEcoFlow製とBluetti製、パネルはALLPOWERS製、EcoFlow製、BougeRV製を使っていますが、どの組み合わせでも「Vmp」以外の問題は特にありません(Vmpが超えないようにだけ注意して接続しています)。
電源とパネルと同じメーカーの製品にするメリットがあるとすればセールでの『セット購入』でしょう。ポータブル電源単品、ソーラーパネル単品より、電源とパネルのセットにより大きな値引が付けられているのはよくあることです。
接続端子は「MC-4」が基本
多くのソーラーパネルの端子はMC-4ですし、ポータブル電源には自社が採用するコネクタに変換できるMC-4コードが付属していますので、パネルの端子がMC-4であればほぼどのメーカーの電源にも接続できると考えて良さそうです。
本体側は、少し前までは各社でプラグ形状が異なるケースが見られましたが、最近は「XT60」を採用するメーカーが多いようです。ポータブル電源を購入するとソーラーパネル用の接続ケーブルが付属していますが、「XT60」であればメーカーを問わず使用できます(電流の多寡によって使えない場合があります)。
見回してみると、中にはMC-4端子からの変換コードが付属しない電源もあるようですが、汎用品でも1000~2000円程度で購入できるので大きな問題にはならないはずです。
【参考】MC-4プラグはDIYで交換や新設が可能です。工具が必要(さほど高価ではない)なのと、バラのMC-4プラグとケーブルを購入する必要がありますが、設置場所からの延長コードなど簡単につくることができます。筆者は車両ルーフに設置したパネルから窓から自宅に引き込むために3mのケーブルと両端にMC-4プラグを取り付けて延長コードを作りました。
防水防塵性能の見方
防水防塵の表示は『IP68』といった記載で表されます。
「IP68」のIPとは防塵・防水規格を示す等級の表記であることを表します。先の数字が防塵性能、後ろの数字が防水性能を表します。
ソラーパネルの場合、防塵性能についてはすべての製品が「6」等級で『塵埃がはいらない』性能です。
以下は防水性能(8段階)の一覧です。
ソーラーパネルの防水性能は、「5」等級~「8」等級まで製品によって異なります。地面に寝かせたり、立てかけて設置した状態で降雨があっても、IPX5程度であればすぐに撤収すればもんだいないはずです。IPX7~IPX8であれば降雨中でも設置したままでも浸水はないはずです。
各々の設置方法や用途によって防水防塵性能を選んでください。
表内の「IPX●」の「X」は、IP性能が優れている…みたいに見えますが、さにあらず。防塵性能を表示していないことを表す「バツ」ですので誤解なきよう。
おすすめポータブルソーラーパネル(定格出力別)
ここでは定格出力別におすすめソーラーパネルをピックアップしました。
定格出力100Wクラスのソーラーパネル
100Wクラスのソーラーパネルは、「RIVER Max」や「EB55」「Anker535」など容量500Whクラスのポータブル電源と相性がよいでしょう。時間当たり70~80W発電すれば、1日5時間の日照で350~400W程度を充電可能です。
VMPがあまり大きい値だと適合できるポータブル電源の幅が狭まります。
品名 | セル | 出力 | VMP | 接続 | 防水 | サイズ(mm) | 重量 | 価格(円) | 1W | |
Jackery | Solar Saga100 | 単結晶 | 100W | 20.0V | DC 8020 | IP65 | 535x1220x20 | 4kg | 34,800 | 348 |
Anker | 625 | 単結晶 | 100W | 26.5V | XT60 7909 | IP65 | 525x1446x45 | 5kg | 34,900 | 349 |
ALLPOWERS | 100W パネル | 多結晶 | 100W | 18.0V | MC4 | IP67 | 650x1220x10 | 3.6kg | 15,999 | 160 |
BougeRV | Yuma 100W | CIGS | 100W | 25.0V | MC4 | IP68 | 348x2175x15 | 1.9kg | 38,999 | 390 |
Ecoflow | 110W パネル | 単結晶 | 110W | 18.5V | MC4 | IP68 | 420x1785x25 | 6kg | 33,000 | 300 |
Bluetti | PV120S | 単結晶 | 120W | 24.8V | MC4 | IP67 | 550x1750x– | 6.8kg | 39,800 | 332 |
6メーカーの製品をピックアップしました。
セルは、ALLPOWERSが「多結晶シリコン」、BougeRVが「CIGS」で、他は「単結晶シリコン」です。
「多結晶シリコン」製のパネルは見た目の面で不利ですが、価格が安く高コスパである点が魅力です(「1Wあたりの単価」に注目)。単結晶に比べてやや発電効率が悪いので同じ発電量の場合にパネルの大きさが少し大きめになります。
「CIGS」は柔軟性が高く設置場所が広範です。発電効率も良好で、影が落ちても発電量が一気に下がることがないのがメリットです。価格的には最も割高ですがそれだけのメリットを持っています。
Jackery、Ankerの製品は防水性能が「5」ですので、設置方法や用途によっては注意が必要です。
筆者はEcoFlow製110Wパネルを実際に使っています。
旧タイプに加えて新タイプを買い足して直列接続でEFDELTA、単体でEB70S/EB3Aに充電しています。特に新タイプは発電効率がよくMAX110Wのところ、日射量しだいですが100W以上を発電することも少なくないので自分的には満足しています。太陽が全面に当たっていると高効率ですが一部にでも影がかかると途端に発電量が減少する傾向があります。効率よく発電させるには常にフルに太陽光が当たるよう気を付ける必要がありますが、100Wクラスで検討するならおすすめの1枚です。
定格出力200Wクラスのソーラーパネル
時間当たり140~160W程度の実行発電量であれば、5時間/1日の日照で700~800Whの容量を回復できます。「RIVER Pro」や「EB70S」クラスのポータブル電源と組み合わせるとよいでしょう。
筆者イチオシのクラスです。
メーカー | 品名 | セル | 出力 | VMP | 接続 | 防水 | サイズ(mm) | 重量 | 価格(円) | 1W |
Ecoflow | 160Wパネル | 単結晶 | 160W | 18.2V | MC4 | IP67 | 680x1570x24 | 5.0kg | 42,900 | 268 |
Jackery | SolarSaga 200 | 単結晶 | 200W | 18.0V | DC 8020 | IP67 | 540x2320x25 | 9.6kg | 86,600 | 433 |
Bluetti | PV200 | 単結晶 | 200W | 20.5V | MC4 | IP65 | 590x2265x– | 7.3kg | 59,900 | 300 |
ALL POWERS | 200Wパネル | 多結晶 | 200W | 18.0V | MC4 | IP66 | 650x2230x10 | 6.3kg | 39,999 | 200 |
ALL POWERS | 200Wパネル | 単結晶 | 200W | 20.0V | MC4 | IP66 | 525x2230x10 | 5.0kg | 49,999 | 250 |
BougeRV | Yuma200W | CIGS | 200W | 25.0V | MC4 | IP68 | 660x2175x15 | 3.2kg | 75,999 | 380 |
Ecoflow | 220Wパネル | 単結晶 | 220W | 18.4V | MC4 | IP68 | 820x945x25 | 9.5kg | 69,300 | 315 |
やはりこのクラスでも最も高コスパなのはALLPOWERSの多結晶シリコンセルのパネルです。定格出力200Wで4万円を切る価格はかなり魅力的です(セールでの値引も大きい)。
ちなみに、同社の単結晶パネルも並べてありますので、サイズや重さと価格の違いを見比べてみてください。どうしても同じ出力を得ようとすれば多結晶パネルはサイズを大きくする必要があるようです。ただ大きさが問題ないなら価格の安さは注目に値します(ALLPOWERS製は単結晶であっても割安です)。
単結晶パネルでは、EcoFlow160Wパネルが4万円台前半と2番目の高コスパとなっています。ただしEcoFlowのパネルは製品によって防水性能が「7」と「8」があるので要注意です(「7」だからダメという意味ではありません。長時間水没させるような使い方をしなければ問題ないはずです)。
価格で言えば「CIGS」パネルのBougeRVは割高ですが、車両ルーフへの取り付けなど、薄さや柔軟性、軽量性などが必要な場合には最適なパネルと言えます。車高の関係でルーフラックが設置できない等の場合には車高をほとんど変更せずに取り付けることが可能です。
フレキシブルパネルは、ルーフに取り付けずにただ置いておくだけとか、フェンスにぶら下げた状態で使用する際にも、その「軽さ」「薄さ」「高効率」が生きてきます。筆者イチオシです。
Bluetti PV200は防水性能が「5」ですので、設置や用途に注意して選んでください。
定格出力400Wクラスのソーラーパネル
定格出力400W、実行発電量240~320Wあれば、5時間/1日日照で1000~1500W程度の電力を生み出すことができ、1500Whクラスのポータブル電源をフル放電しても1日で回復することが可能です。その代わりサイズや重量はとても扱いやすいとは言えないので、気軽に移動させるのは厳しいサイズです。
メーカー | 品名 | セル | 出力 | VMP | 接続 | 防水 | サイズ(mm) | 重量 | 価格(円) | 1W |
Bluetti | PV350 | 単結晶 | 350W | 37.5V | MC4 | IP65 | 905x2400x– | 13.9kg | 99,800 | 285 |
Ecoflow | 400W パネル | 単結晶 | 400W | 41.0V | MC4 | IP68 | 1068x2390x24 | 22.5kg | 126,500 | 316 |
ALL POWERS | 400W パネル | 多結晶 | 400W | 37.4V | MC4 | IP67 | 1048x2660x50 | 18.5kg | 119,999 | 300 |
実際に使ってみたALLPOWERSの400Wパネルは本当に重くて困りましたので、それ以上に重いEcoFlow400Wパネルはちょっとお勧めする気になりません。20kg前後の重量物でしかも持ちやすい形状ではないので設置や移動には非常に体力が必要…というのが実際に使ってみた実感です。
Bluetti「PV350」は定格出力は350Wと控えめですが、コスパも3機種の中では良い方ですし、13.9kgの重量が最も使い勝手がよいのは目に見えています。ただしPV350は防水機能が「5」である点は要注意です。
【200Wパネル×2枚がおすすめ】
400W程度の発電量が欲しい…という場合に提案なのですが、200Wパネルを2枚購入するというのはどうでしょう。400Wパネルだと大型のポータブル電源にしか使えない場合もありますが、200Wパネルならほとんどのポータブル電源の入力電力上限を下回りますし、別々に2台の電源に充電することが可能です。もちろん直列で接続すれば400Wパネルとして使用することも可能です。
購入コストについては、ALLPOWERSなど比較的リーズナブルな製品を選ぶことで、400W一枚分よりも割安に済ませることも可能です。
ただし、必ず同じ仕様のパネルを接続する必要があります。異なる仕様のパネルの連結はNGです。
ポータブルソーラーパネルの選び方 まとめ
今回は折りたたみ可能なポータブル式ソーラーパネルを定格出力別にピックアップしてみました。
基本的にはポータブル電源とのセット購入や、追加購入で電源とパネルは同メーカーの組み合わせで使用するケースが多いですが、実は必ずしもメーカー推奨のセットが最も効率よく発電×充電を行ってくれる組み合わせとは限りません。
最も効率の良い充電を行うには、自分でVMP値をチェックして、ポータブル電源で許容できる最大効率で充電できる組み合わせを見つけることをおすすめします(推奨セットでないと値引が付かないケースもありますが)。
もし最適な組み合わせが見つからない場合や、電源と別にパネルを追加購入する場合などは、他メーカー製品との組み合わせも検討してもよいのではないかと思います。
それでは今日はこの辺で。