Bluetti AC70を購入してメイン電源として日々使っています。
容量1,000Wh未満のポータブル電源の中で、小型クラス随一のおすすめポータブル電源「AC70」の使い勝手の良さや、筆者がイチオシする理由などをまとめました。
もちろん実際に使用した上で感じたメリットやデメリットについても感じたままを紹介します。

容量768Wh、定格出力1,000Wのポータブル電源をメインで使うのはちょっと無理があるのでは?と思われるかもしれませんが、実際に日々使用していると、意外に大容量ポタ電は使いにくい…と感じることがあります。その辺りも含めて筆者のおすすめ理由を緒は足します。
BLUETTI AC70レビュー(外観)


納品&開封。


付属品は、ケーブルが3種類、接地用ネジ、取説です。
3種類のケーブルは
- AC充電ケーブル
- シガーソケット-XT60ケーブル
- ソーラーパネル用MC-4-XT60ケーブル
充電プラグがXT60に変更になり、ケーブルをEcoFlow等の他社製品との共用が可能になりました。これは意外に大きなメリットです。ケーブルを共用できれば1本を車載専用として車に常時積んでおくことが可能になります。
「接地用ネジ」は取説に何の目的で使うのか…は書かれていますが、具体的な使い方は書かれていませんので、現時点では想像ですが、アース線を本体右のアースに留めるためのネジなのでしょう。「接地用」というのはたぶん「アース」の直訳だと思います。




4方向からの外観です。右サイドにAC充電口とアースがあるだけで、他はすべて前面に集中配置されています。筆者は、狭い車内で使用する際などに使いやすいスイッチやプラグの前面集中を重視しています。
操作系や接続端子が分散していると使いづらいものです。事例はこちらで確認してください。

EB70Sとの外観の比較です。全体的に一回り大きくなりました(サイズスペックは次項)が横幅と奥行のサイズはほぼ同じ(+6mm)で、高さが3.6cm大きくなっています。
AC60/AC180と同様に筐体の樹脂が厚くなり、「コンコン」しても安っぽい音がしなくなりました。
ハンドルが可動式から固定式に変更になりました。
BLUETTIのポータブル電源の筐体の質感は2023年のAC60から飛躍的にアップしました。
AC70のスペック~EB70Sからの改善点とライバル比較
AC70の主要スペックを旧モデル(EB70S)とライバル機(RIVER2 Pro)と比べてみます。
メーカー | EcoFlow | Bluetti | Bluetti |
機種 | RIVER2 Pro | EB70S | AC70 |
発売日 | 2023/04 | 2021/06 | 2023/10 |
通常価格 | 88,000円 | 79,800円 値下げ 69,800円 | 84,800円 |
採用電池 | リン酸鉄 | リン酸鉄 | リン酸鉄 |
充電サイクル | 3000 | 2500 | 3000 |
容量 | 768Wh | 716Wh | 768Wh |
バッテリー拡張 | – | – | 〇 最大2816Wh |
定格出力 | 800W | 800W | 1000W |
最大出力 | 1600W | 1600W | 2000W |
定電圧機能 | X-Boost 最大1000W | – | 電力リフト 最大2000W |
AC端子 | 4 | 4 | 2 |
USB-A | 3 | 2 | 2 |
USB-C | 1 | 2 | 2 |
DC出力 | 5521×2 | 5521×2 | 廃止 |
シガーソケット | 1 | 1 | 1 |
AC入力 | 940W | 200W | 850W |
ソーラー入力 許容電圧 | 220W 12.6V | 200W – | 500W 58V |
急速充電 | X-Stream | 〇 | 〇 |
アプリ操作 | 〇 | – | 〇 |
UPS | 30s | 20s | 20s |
ワイヤレス充電 | × | 〇 | 廃止 |
サイズmm 容積リットル | 269x259x226 =15.7L | 320x216x220 =15.2L | 314×210×256 =16.9L |
重量 | 7.8kg | 9.7kg | 10.2kg |
保証期間 | 5年 | 2年 | 5年 |
EB70Sと比べると、ほぼすべてのスペックで進化しています。小型クラスのベンチマークと言うべき「EcoFlow RIVER2 Pro」と比べてもスペックは今の時代に沿って性能アップ(※)しています。
※例えば、AC入力とソーラー入力の値ですが、AC70ではAC入力はあまり高めていない反面、ソーラー充電で最大500Wまで対応しました。再生可能エネルギーによる自家発電を想定すれば、AC入力よりソーラー入力を高めるのは時代のニーズと言えます。
直接のライバルEcoFlow RIVER2 PROとの比較では、やはりAC70の定格出力・電力ブースト時の出力の大きさが目立ちます。EcoFlowの場合、すぐ上に「DELTA2」が控えるため、RIVER2 PROのスペックをあまり上げられなかったのかもしれませんが、出力は容量と違って後から追加できないので大きければ大きいほどよい…と言えます。
またRIVER2シリーズが失ってしまった(初代にはあった)バッテリー拡張機能の有無も大きな違いです。AC70は、最大2,816Whまで容量を追加できます。
その他、新モデルで新採用になった、あるいは強化された点は以下のとおりです。
強化ポイント① 充電サイクルが3000回に
充電サイクルが2500回→3000回になりました。
毎日容量すべてを使い切るような使い方をした場合、16か月寿命が長くなったことになります。
毎日容量100%を使い切った場合の容量80%到達は8.2年後、1週間に1回容量を使い切った場合には容量80%到達は57.5年も先のことになります。
強化ポイント② 蓄電容量アップと容量拡張
充電容量は、716Wh→768Whと微増しています。EB70Sになかった機能としてバッテリーの拡張が可能になっています(※)。
※ただし、AC60/B80のように専用ケーブルでつないで容量を一体化するものではなく、充電端子で接続し「外部充電」のような形での容量アップになりますので、厳密な意味での「拡張バッテリー」ではありません。かといって、もう1台のポタ電にACコンセントをさしてパススルーするのとも違うんだと思います。

AC70の充電プラグに拡張バッテリーを接続する方法だと、ACコンセントに接続したパススルーは約20%のロスが生じますが、DCの充電プラグ経由であればロスがかなり少ないのではないかと思います。また、AC60+B80を試した際、電源本体と拡張バッテリーの容量は同じだけ同時に減っていましたが、充電プラグでのパススルーであれば、まず拡張バッテリーの容量が使われ、0%になった時点でUPSで本体電源からの出力に切り替わるのだろうと思います。
強化ポイント③ 定格出力1000Wにアップ

これは重要なスペックアップです。
容量に関しては、昨今のポタ電は容量拡張が可能なモデルが増えましたし、ソーラー充電による容量回復が可能ですが、定格出力は後から強化することはできないため重視すべきポイントと言えます。
定格出力が800W→1000Wに拡大し、旧モデルでは動作できなかった消費電力1000Wまでの家電を動作可能です。家電の消費電力は「1000W」が分岐点になっているケースが多いので、最大1000Wまで定格で出力できるのは大きなメリットです。
日々の使用の中で、AC70で消費電力1000Wのケトルで湯沸かししていますが、「OVERLOAD」で停止したことは一度もありません。定格出力上限付近でも安定しています(定電圧機能を搭載していることも一因~後述)。
車載サブバッテリーやポータブル電源で使いやすい、消費電力1000W以下、同800W以下の電気ケトルをお探しならこちらの記事をご参照ください。
強化ポイント④ 電力リフト

定格出力値を超えて出力している
定電圧機能「電力リフト」が採用されました。
これにより、定格出力を超える消費電力1001W以上の家電でも動作させることが可能です。家電の電圧を抑えて定格出力の範囲で動作させるため、湯沸かしなどでは若干時間が長めになりますが、まったく使えなかった家電が曲がりなりにも動作するのは車中泊や緊急時には大きなメリットとなります。
AC70の電力リフトでは、最大で消費電力2000Wまでの家電を動作させられるようになりました。
定格出力以上の消費電力の家電を動作させる『定電圧機能』は、BLUETTIでは「電力リフト」、EcoFlowでは「X-Boost」と呼んでいます。詳細はこちらの記事をご参照ください。
強化ポイント⑤ AC/DC入力値が大幅にアップ
AC100Vでの充電が最大200W→850Wに拡大、ソーラーパネルからの充電も200W→500W(12-58V)に拡大しました。これにより、より高速な充電が可能となっています。
ACコンセントからならわずか45分間で満充電の80%まで充電が可能です。例えばキャンプ時など、事前充電を忘れても、出発当日の準備をしている時間が45分あれば80%まで容量を回復できます。
ソーラー充電も拡大しています。出力400W級のソーラーパネルから充電できます(最速2時間でフル充電可能)。
余談ですが、例えリン酸鉄であってもリチウムイオン電池の性格として、フル充電・フル放電を嫌います。満充電や全放電は電池の劣化が大きいため、容量20%以下にはせず充電し、容量80%までで充電を止めるのがおすすめです。
ポータブル電源の電池を劣化させにくく、寿命を延ばす充電方法を紹介しています。ポタ電充電時の注意点をまとめました。
強化ポイント⑥ アプリ遠隔操作

待望のアプリによる遠隔操作機能が追加されました。
BLUETTIが配布(無料)しているスマホアプリで、入出力の確認や周波数切替などの各種設定が可能です。
ポタ電本体のとろこまで行かなくても充電残量や充電状態を確認できるのは意外に便利な機能です。Bluetooth接続なので、通信料がかからないのもメリットです。
強化ポイント⑦ 入力端子の形状変更とACアダプタ不要


充電関連では、2つのポイントがあります。
1つは、大きく重いACアダプターが不要になったこと。AC充電ケーブルをコンセントと電源本体直結してAC充電できるようになりました。車中泊の際でもACコンセントを借りて充電~容量回復がかのうですが、大きく重いACアダプターは余計な荷物でしたが、不要になったことで身軽になりました。
また、DC入力(ソーラーパネルやシガーソケットからの充電)のプラグが、前身モデルのDC7909プラグから「XT60」に変更になりました。
旧モデルよりスペックダウンのポイント
EB70Sよりスペックダウンしたのは4点です。
- ACコンセント2カ所に減少
4個あったACコンセントが2カ所に減少しました。確かに4カ所一度に使うことはほぼないので問題ないのかもしれませんが、この点については使い込んでみないと分からないと思います。
自分はACプラグは個別スイッチ付きのテーブルタップを介しています。本体に直接差し込むと「AC-ON」にした際にすべてに電気が供給され無駄なので、個別スイッチで必要な機器にだけ給電するようにしています。なので、ACコンセントが2個でもあまり影響なさそうです。 - ワイヤレス充電廃止
一応「機能の有無」では廃止によるスペックダウンかもしれませんが、ワイヤレス充電は出力が低く充電に時間がかかるためあまり実用的とは言えません。USB-Cケーブルで充電すれば最大100W充電が可能なので廃止でも特に気になりません。 - LEDライト廃止
車中泊時に使うか使わないか…程度の使用頻度なのでなくても特に不便は感じないかと。
AC70がクラス最強と言える7つのおすすめポイント
ここでは、筆者がAC70がクラス最強であると思い、メインのポタ電に据えている理由を紹介します。

『コンパクトなボディに必要十分な性能を機能を詰め込んだ使い勝手のよいポタ電』
これが筆者の旧EB70S評です。日々、生活の様々なシーンで使用していてあまり過不足を感じずに使えるポタ電です。ただ、長く使っているといくつかの不満を感じていたことも事実です。
- 定格出力800W&電力リフトがない
電気ケトルやコーヒーメーカーを動作させられない。その都度、出力の大きなポタ電を動かす必要があった。せめて1000Wの出力があれば消費電力1000W以下の家電を探せるのに…と感じていた。 - アプリ連携がない
充電している際にもいちいち本体まで行かないと残量や充電状態が確認できない。アプリ画面で確認や操作ができればいいのに…と感じていた。 - 充電残量が不正確・不明瞭
EB70Sの残量計は20%ごとの棒グラフだけなので、今何%残っているのかを詳細に把握できない。表示される残量が何%なのかまったくわからない。 - 充電中のファンの動作音がうるさい
100Wを超える入力があるとファンが大きめの音で動作。まあまあうるさい(他社製品でもっとうるさい機種は知っているが決して静かではない)。狭い車内ではかなりの「騒音」になる。 - 大きく重いACアダプター
AC100Vで充電する際に巨大なACアダプターが必要。重く大きいので邪魔、荷物が増える。 - 安っぽい(筐体がチャチ)
筐体の樹脂が薄ペラで「コンコン」するとチープさモロ出しのペコペコ音がする
書き出してみるとけっこうあるもんですが、それでも小型ゆえの取り回しの良さ、携帯性の良さに比して容量・出力がそこそこあるので使い勝手がよくどこへでも持っていっていました。
こうした不満が、新しいAC70でどう改善されたのかを見てゆきます。
おすすめポイント① 定格出力1000W+電力リフト
最初のおすすめポイントは
- 定格出力1000W/瞬間最大2000Wに拡大
- 電力リフトで最大2000Wまで対応
の2点です。
電気ケトルやコーヒーメーカー、IHコンロやホットプレートなど、いわゆる電熱系の家電の消費電力の下限は1000Wのものが多いです。それ以下になると「加熱能力」が不足してしまうので、電気ケトルやホットプレートなどの多くは1200~1400W程度のものが主流で、消費電力が小さい製品を探しても1000Wが下限です。
そうなると定格出力800WのEB70Sでは動作させられないという問題が起こります。現に、我が家の電気ケトル(1000W)やコーヒーメーカー(1350W)はEB70Sでは動かせず、定格1600WのEFDELTAを動かさざるを得ません。

さらに、電力リフトで2000Wまで対応したことで、消費電力1000Wを超える家電でも動作させられるようになりました。
消費電力1000W超の家電を使う際には、いちいち定格出力が大きい電源を持ち出さずに済み、AC70だけで日々の使用のほとんどを賄えるようになったのは便利です。

じゃあ最初から出力の大きなポタ電を使えばいいんじゃない?
なんて思われるかもしれませんが、容量や定格出力が大きなポタ電は、それ自体が大きく重いので、車中泊やドライブに携行する際には、できるだけコンパクトで軽量な電源の方が取り回しや使い勝手は良好です。
自分的には、車中泊やドライブには、シングルハンドルで持ち運びできる軽量ポタ電を持ち出したいと思います。
おすすめポイント② 安全性と長寿命
AC70には、リン酸鉄リチウムイオン電池が採用されています。
リン酸鉄リチウムは、従来の三元系リチウム(いわゆるリチウムイオン電池)に比べて、発火や爆発の危険性が低い安全性の高い電池です。
某社が実施した釘刺し実験では、三元系リチウムは急激な温度上昇と発火・爆発を起こしましたが、リン酸鉄リチウムではわずかな温度上昇と若干の発煙が認められましたが、発火・爆発は起こしませんでした。
こうした安全性の高さに早くから着目し、2020年発売モデルから一貫してリン酸鉄リチウム電池を採用しているBLUETTIのポタ電に、筆者は信頼を寄せています。
バッテリーの釘刺し実験や、三元系リチウム電池採用のポタ電のリコールなど、関連記事をご参照ください。
また、リン酸鉄リチウム電池は、繰り返し使用できる寿命(充電サイクル)が3000回と非常に長寿命である点もメリットです。
充電サイクル3000回は、毎日容量をすべて使い切るような使い方をしても、8年以上も初期容量を維持します。
こうしたリン酸鉄リチウム電池採用による、安全性と長寿命はBLUETTIポタ電の大きなメリットです。
おすすめポイント③ スマホアプリ連携
おすすめポイント2つめは「スマホアプリ対応」です。
アプリ連携機能がない場合、充電残量や充電状態を確認する際にいちいち本体まで行って確認する必要がありました。様々な機能のON/OFFも本体で操作するのと、アプリから遠隔で操作できるのでは利便性で大きな差があります。
このアプリ連携によるスマホ遠隔操作機能の有無はあまり大したことではないと評価しない方もいるかもしれませんが、筆者的には使い勝手の良し悪しに大きく影響すると考えています。

アプリ画面ではAC70の「入出力と残量」「バッテリー」「DC/ACのON/OFF」が確認・操作できます。
画面右上の歯車から設定画面に遷移します。

設定画面では、「充電モード」「電力リフト機能(ON/OFF)」「ECOモード」が設定でき、「バージョンデータ」の確認と、「高級設定」では周波数(50Hz/60Hz)の切り替えが可能です。

充電モードは「標準」のほか2段階「静音」「高速」を選べます(静音性については後述)。

エコモードは、AC/DC個別に設定可能です。

「高級設定」では、AC出力の周波数(50Hz/60Hz)を選ぶことができます。
ただ、1点アプリに残念ポイントがあるのですが、それはのちほど。
おすすめポイント④ 充電残量が1%刻みに

おすすめポイント3つめは「充電残量確認の正確化」です。
EB70Sの情報パネルの残量表示は20%おきのグラフしかありません。例えば画像のように80%と表示されていても、それが71%~90%なのか、61%~80%なのかわからず正確な残量把握ができませんでした。

AC70では、1%ごとの残量表示となって正確に残量把握ができるようになりました。
ちなみに、残量%の下の数字は「現在の状態で何時間動作するか」の表示です。画像の場合は充電中なので、満充電まであと2.9時間であることを表しています。また、数字の先頭の「電池マーク」の矢印は、入力中は「←」、出力中は「→」が表示されます。
おすすめポイント⑤ 静音性が向上
ポータブル電源は静粛性も重要ですが、AC70では「ファン動作時の騒音低減」も実現しました。

こちらは充電中のファンの動作音を計測したものです。「静音」設定で22.1dbです。かなり静かでテレビの音でかき消されてしまう程度の音です。就寝中でも気になることはないはずです。音質もガサツなざらざらした音質ではなく、上質な音質になったと感じます。


高速充電の計測はMAX850Wよりかなり少ない電力での充電中だったので、もう少し騒音レベルは上がる可能性はありますが、それでもおそらく50db以下には収まると思うので相当静かになったのは確かです。
ちなみに一般的な騒音レベルの目安は以下の通りです。

狭い車内で使う場合には、もう少し耳に障るかもしれませんが、いずれにしても騒音レベルはかなり低減されました。
おすすめポイント⑥ ACアダプター不要でACケーブル直結

ACアダプター不要でAC充電可能になったこともおすすめポイントです。
EB70Sの弱点の1つが、AC充電の際に大きく重いACアダプターが必要なことでした。筆者はほぼ100%太陽光でしか充電しないのであまり大きな問題ではなかったですが、AC100Vがメインの充電方法の場合には必ず大きく重いACアダプターを使用しなければなりませんでした。

EB70Sでは、AC100V充電の際に写真のような巨大なACアダプターが必要でした。大きく重いので保管にも場所を取りますし、車中泊時に外部電源から充電したくてもACアダプターも持参しないと充電できませんでした。しかも充電中、かなりの騒音を発します。
AC70ではアダプターが内臓型となり、AC100Vコンセントとケーブル直結で充電できるようになったのはいいですね。設置の手間だけでなく、保管や移動(外出時の携帯)を考えても有難い変更と言えます。
おすすめポイント⑦ 筐体の質感大幅アップ

EB70SやEB3Aなどの旧モデル群と比べると、AC60以降のモデルでは大幅な質感向上が見られます。
筐体の樹脂が厚くなった印象で指で「コンコン」するとその違いが明確に分かります。EB70Sのような「ぺこぺこ」した感じはなくなりました。
筐体下部の斜めのリブはAC60やAC180にも採用されているBluetti新世代シリーズのアイデンティティのようです。
AC70レビュー(デメリット)残念ポイント
EB70Sに感じていた不満をほぼ解消してくれたAC70は、筆者的にほぼ完ぺきなポタ電と言えますが、それでもいくつか残念に感じた部分がなかったわけではありません。
残念ポイント①ハンドルの位置


AC70のハンドルは固定式に変わりましたがそれはいいです。可動式でも固定式でもそこには文句はないのですが「取付位置」は大いに不満です。
奥側にオフセットされたハンドルで本体を持ち上げると傾きます。壁際や物と物の間に置いている場合、壁や隣の物にぶつかります。持ち上げる際に気を使うので真ん中に設置して、垂直に持ちあがるようにして欲しかったです。
置く時もデメリットになります。最初に一番下になっている「辺」が設置してしまうので、置きたい場所よりズレて置くことになるので、毎回場所を修正する必要があります。置く際も限られたスペースに置く場合にはハンドル以外(本体とか)を持って置かないと思った場所に置けません。

RIVER 2も同様にオフセットの固定ハンドルになりましたが、ライバルだけに参考にしたのかもしれませんが、正直、まっすぐに傾かずに持ちあがるEB70Sのハンドルの方が使い良かったと感じます。
ワイヤレス充電を廃止したので、天板を広く開放する理由はないので、オフセットした理由がわかりません。単なるデザイン上のことならこれは失敗だったのでは?と思います。あまりに実用性を無視したデザインと感じます。
ただ、ハンドルが固定なので持ちやすさの点では、可動式よりも安定しているのも事実です。
残念ポイント②質感向上するももうひと息


AC70になって、EB70Sよりも質感がかなり向上しているのは確かですが、AC60には及ばない感じです。AC60では縁にゴム系素材を使用していて高級感がありましたし、「コンコン」してもデッドニングしたような硬質なコンコンでしたが、AC70では少し共振感があり、AC60と比べると素材が薄い感じがして今一歩です。
質感はあきらかに1クラス下のAC60の方が上です。さらに言うと、EcoFlow EFDELTAは「コツコツ」とAC60よりもさらにしまった音質で、この辺りはもっともっと頑張ってほしいと感じます。
あくまで筆者の想像ですが、新世代として最初にリリースされた「AC60」はちょっとやり過ぎたんじゃないかと思います。AC60は当初99,800円と値付けされていましたが、製品づくりの面からはその価格が妥当なのだとしても、容量や出力などのスペックからするとやはり割高感は否めませんでした。
そこで後続のAC70では若干質感を落として、性能・機能・使い勝手と、前モデルとのマッチングなどから84,800円という「妥当性」のある価格に落ち着かせた…ということではないかと思います。
実際に使ってみるとわかりますが、筐体の質感や静音性能はAC60はかなり高レベルです。AC70は、EB70Sから見れば大幅な進化と向上が見られますが、AC60ほどではない…という感じです。
残念ポイント③アプリで充電上限が設定できない

AC70は、スマホアプリによる遠隔操作が可能になりましたが、残念ながら『充電の上限設定機能』はありません。
画像はEcoFlow 初代RIVERのスマホ操作画面ですが「充電設定」という項目があり、充電上限を設定できます。画面では90%を上限に設定していますので、充電し放しにしても充電容量90%で充電を終了してくれます。
筆者は、ポータブル電源の電池に大ダメージを与える「満充電(フル充電)」を防止する上でこの機能をとても重要だと考えています。
AC70にも是非是非この機能は欲しかったです。アプリに詳しいわけではありませんが、もしかするとアプリのバージョンアップで対応できないものでしょうか?もし可能なら早急にアップデートで是非取り入れてほしい機能です。
AC70をメインで利用する理由~持続可能な蓄電サイクル(改訂)

数あるポータブル電源の候補からなぜ「AC70」を選んだの?もっと大容量・高出力の最新モデルが発売されているのに、ちょっと中途半端な感じがするけど…。しかもそれをメイン電源で使うのはなぜ?
そんな風に思われる方もいるかもしれませんね。

予算がなかったんだろう?
まあ、それもあります(笑)。
でも実は、AC70の前にも複数のポータブル電源を使う中で、自分なりにわかったことがありました。
それは「持続可能な蓄電サイクルでないと意味がない」ということでした。
ソーラー充電で持続可能な蓄電サイクルが可能に

自分も最初は「大容量・高出力モデルを目指そう」と考えていましたが、日々、ポータブル電源を使う中で気づいた事がありました。それは
『いくら大容量バッテリーでも容量を使い切ればただの箱』
ということです。さらに、
『容量をAC電源から充電するだけではただの蓄電池に過ぎない』
ということでした。
つまり、どんなに大容量・高出力なポタ電を持っていても、充電された容量を使い切ればただの重たい箱ですし、容量をACコンセントから充電するだけでは、どこから電気を使うかだけの違いでしかないということなんです。
災害等で停電した際の事を考えればわかりやすいと思います。
ACコンセントからの充電だけに頼っていては、停電時のポタ電は、電力を出すだけで入って来ないので、いずれ容量を使い切り、電力の枯渇に至ります。それを回避するには、ソーラー発電をはじめとする「再生可能エネルギーによる充電」を可能にしておく必要があります。
再生可能エネルギーによる発電で充電してこそ、持続可能な充電サイクルが実現できる…というわけです。
ポータブル・ソーラーパネルに興味を持ったらこちらもご参照ください。
ポータブルソーラーパネルで大容量ポタ電を満充電にはできない
家庭用の太陽光発電システムではなく、折りたたみ可能なポータブル式のソーラーパネルで1日にどのぐらいの発電ができるかご存知でしょうか。
ポータブル・ソーラーパネルは、小さいもので50W程度、最大でも400W程度がMAXです。
価格や大きさ・重量などを勘案すると、100W~200W出力のパネルが一般的ですが、実際の発電量は最大出力の50~70%程度です。つまり200Wパネルでも実際に発電できるのは100W~140W/時です。
一日の日照時間が6時間とした場合、1日に可能な発電量は600W~840W程度です。その6時間でも太陽の傾きや雲の状態などで、必ずしも発電能力をフルに発揮できるとは限りません。筆者の感覚では平均すると、日に500W~700W充電できれば良い方…という感覚です。
つまり、大容量2000Wのポータブル電源を1日フルにソーラー充電しても、満充電に回復することはできないんです。
災害時などで大規模停電が数日間に及ぶ場合には、大容量バッテリー1台よりも、1日で満充電を回復できる小中クラスの電源とソーラーパネルの組み合わせによる容量回復が必須だと思うのです。
そういった意味では持続的に回復できないほどの大容量はあまり意味がない…と考えるようになりました。
そこで、『容量のほとんどを使い切っても1日のソーラー発電で満充電を回復できる「循環(サイクル)』を成り立たせるには、容量768Whの「AC70」をメインで使うのが最も効率的…と考えた次第です。
外出先から太陽光発電の電力を持ち帰る

画像は、AC70にソーラー発電で蓄電した電力を他のポタ電に移し替えている様子です(暗くて見にくいですが、シガーソケットからXT-60プラグで背後のポタ電に送電しています)。
移し替えは、ACからの送電では約20%のロスが生じて勿体ないので、シガーソケット→XT-60でDCで送電しています。
我が家のソーラーパネルは車両ルーフに取り付けてあるため、仕事やレジャーで外出中は自宅で太陽光充電ができません。
そこで、外出先の駐車場の日当たりの良い場所にクルマを止めルーフのパネルでソーラー発電しAC70に蓄電し、帰宅後に他のポタ電に電力を移して様々な場面で利用しています。朝、AC70をクルマに積み込んでソーラーパネルのケーブルを接続しておけば、夕方帰る頃には快晴なら満タン、曇天でも半量ほど充電されています。
車を止めておくだけで充電されていて、それを帰宅後に自宅の複数のポタ電に移し替え自宅の電力供給に役立てていますが、ポタ電を毎日車に積み込んで帰宅時には持ち帰ることを繰り返すので、こうした機動性に優れる点も小型・ミドルクラスが重宝する理由でもあります。
ファームウエアのアップデート~不具合を回避(追記)
AC70は、ファームウエアのアップデートが可能です。
ファームウエアとは、ポータブル電源内部の制御ソフトウェアで、常に最新版にアップデートすることにより動作不良や不具合を回避することができます。AC70のファームウエア・アップデートはスマホアプリから実施します。
【アップデートの手順】

- アプリに接続、ログインする
- 動作状況モニター画面右上の「設定」アイコンをタップ
- 「ファームウエアのアップグレード」または「バージョンデータ」をタップ

- 新しいバージョンがあれば画像のように表示されるので「アップグレード」をタップ
- 「アップグレード完了」の表示が出るまでそのままにする、出たら完了
動作しない機能がある場合や、何らかの不具合が生じている場合にはファームウエアのアップデートをチェックして見ると改善される可能性があります。
Bluetti AC70実機レビューまとめ
AC70を購入して実際に使ってみたところ、自分が望んでいたことのほどんどが実現・改善されたほぼ理想の1台でした。
- コンパクト・軽量で携帯性がよい
- リン酸鉄リチウム電池採用で安全&長寿命
- 1日で回復できる現実的な充電容量768Wh
- 多くの家電に対応する定格1000W出力
- 定格出力の不足を補う定電圧機能「電力リフト」
- 400Wクラスのソーラーパネルから充電可能(許容DC58V)
- アプリ遠隔操作・確認
- 筐体質感と静粛性向上
こうした特徴の1つ1つが使い勝手の良さ、コスパの良さに繋がっていると思います。実感として、小型・ミドルクラスNo.1だと感じます。発売から少し時間が経過したことで、セール時の値引きも拡大傾向にあるので、常用ポタ電として大いにおすすめできると言えます。
それでは今日はこの辺で。
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