耳を塞がない「オープンイヤー型イヤホン」は、周囲の音を聞き取りやすい反面、「低音が弱い」「迫力に欠ける」というイメージを持っていました。
しかし、今回レビューするSOUNDPEATS Clip1はその印象を大きく覆してくれたイヤホンです。
イヤーカフ型という耳を完全に密閉しない構造でありながら、低音は想像以上にしっかり出ており、音量を控えめにすれば周囲の音も自然に聞こえる一方、音量を上げると音楽への没入感がぐっと高まります。
以前レビューしたSOUNDPEATS CCとは方向性がかなり異なり、軽快な装着感に重きを置いていた「CC」に対して、「Clip1」は音楽を楽しむことにより重点を置いた…といった印象です。
今回は、メーカー提供品としてSOUNDPEATS Clip1を実際に試した感想を、音質や装着感を中心に詳しく紹介します。
※本記事はSOUNDPEATS社より製品提供を受けて作成しています。ただし、当ブログの方針で、メーカーには忖度なしで筆者の感じたままを記事化しています。
SOUNDPEATS Clip1のスペックをチェック


SOUNDPEATS Clip1は、小ぶりな玉子といった感じの専用ケースに収まっており、イヤホンはもちろん、ケースにも充電することができ、外部からの供給がなくてもケースからイヤホンに充電が可能です。充電はUSB-Cです。

「Clip1」は、「CC」「UU」といったSOUNDPEATSのイヤーカフモデルの進化系となります。
| 項目 | SOUNDPEATS CC | SOUNDPEATS Clip1 |
| 音の傾向 | 軽快・自然・ながら聴き向け | 低音強め・没入感重視 |
| 低音の強さ | やや控えめ | オープンイヤーとしては強め |
| ハイレゾ対応 | 非対応 | 対応 |
| LDAC | 非対応 | 対応 |
| Dolby Audio | 非対応 | 対応 |
| DynamicEQ™ Pro | 非対応 | 対応 |
| 周囲の音の聞こえやすさ | 非常に聞き取りやすい | 音量次第で没入感高め |
| 没入感 | 控えめ | 高め |
| 向いている用途 | 作業・散歩・BGM | 音楽鑑賞・動画視聴 |
| 装着感 | 非常に軽快 | 安定感重視 |
| 長時間使用 | 疲れにくい | 最新設計で痛くなりにくい |
| 音漏れ | 比較的少なめ | 音量次第では増えやすい |
| おすすめな人 | “ながら聴き”重視 | 音質・低音重視 |
| 方向性 | 開放感重視 | 音楽を楽しむ方向 |
ハイレゾ×LDAC、Dolby Audioに対応

「Clip1」の最大の特徴は「高音質」ですが、具体的には高音質コーデック「LDAC」に対応しており、CDの音質を上回る、最大96kH/24bitのハイレゾサウンドを実現しています。
また、オープンイヤー型とは思えない低音が特徴で気で、イヤーカフ型なのに「しっかり聴き込む」ことが可能です。

また、SOUNDPEATS社製品として初めて『Dolby Audio(ドルビーオーディオ)』を搭載しており、ON/OFFで全く異なる音場を表現してくれます。操作は専用アプリで行います。
DynamicEQ™ Pro+大口径ドライバー


イヤーカフ型は装着感に特化していて、音質については自ずと限界がある、特に低音については難しい…。そんな風に思っていたのですが「Clip1」ではまったく裏切られました。
アプリで『ダイナミックイコライザー』をONにすると、口径の大きなドライバーに匹敵するような、豊かで力感のある低音がグッと押し出されてきます。
ブンブンとだらしなく響くのではなく、ベースラインが聞き分けられるような粒立ちのよい低音が小気味よいと感じました。
ちなみに、DynamicEQ™ Pr アルゴリズムは、iPhoneのAACコーデックでも有効です。iPhoneは好きだけどAACしか選べないから…という方にもおすすめです。
SOUNDPEATS Clip1を実際に使った感想
前項までは、スペック的な特徴をとして「高音質」「低温が豊か」といった点を述べましたが、ここからは、筆者がClip1を実際に使用して感じたことをお話しします。
オープンイヤーなのに低音がしっかりしている
SOUNDPEATS Clip1は、耳に挟み込むように装着するクリップ型のオープンイヤーイヤホンです。
一般的なカナル型のように耳を密閉しないため、圧迫感が少なく、周囲の音もある程度聞き取れるのが特徴です。一方で、音楽を聴き込むといった視点で見ると、やはりどうしても低音不足になりがち…というのが一般的なオープンイヤー型への評価でしょう。
しかし、Clip1は単なる『ながら聴きイヤホン』ではなく、音楽そのものを楽しめるサウンドチューニングになっていると感じました。
特に印象的だったのは低音の厚みです。
Clip1は予想以上にしっかりとした音質で、リズム感も十分。ポップスやロックとの相性も良好でした。
もちろん完全密閉型イヤホンのような耳の中で鳴る「音圧の分厚い重低音」とは異なりますが、オープンイヤー型として考えるとかなり力強い部類です。
ベースラインやキックの輪郭も感じやすく、音がスカスカになりにくい印象。動画視聴だけでなく、音楽メインでも十分楽しめるサウンドだと感じます。
「ながら聴き」と「聴き込み」を使い分けられる
Clip1は、音量によって使い方の印象がかなり変わるイヤホン…という側面も持っています。
つまり、音量を控えめにしているときは、周囲の音も自然に入ってくるので、家事中や散歩中、軽い作業中など、「ながら聴き」用として充分に役割をこなせます。
一方で、音量を少し上げると印象が変化します。
音の密度がぐっと高まり、オープンイヤー型とは思えないほど音楽への集中感が出てきます。
カナル型のように完全に外音を遮断するわけではありませんが、「周囲の音のうち微細なものはかき消して、チャイムやタイマー音などは把握しつつ、音楽にも入り込める」という独特のバランス感がありました。
軽い装着感で圧迫感は少ない(長時間使用では痛くなることも)
音質や音場についてはすでに何度も述べましたが、それに対する装着感はちょっと異質です。
というのも、閉鎖型のヘッドホンやカナル型のイヤホンのような「しっかり聴かせるための圧迫感」がないのに、聞こえてくるのはかなりしっかりした音なので、ふと、自分がいま何で音楽を聴いているのか分からなくなることがありました。
この音で、この装着感はちょっと新しいかな…と思いました。
ただ、装着感は「CC」とはあきらかに異なります。「CC」は着けていることを忘れてしまうぐらい軽く存在感を消すタイプのイヤホンですが、「Clip1」は常に耳に装着していることがわかる「感触」があります。同じ「軽い装着感」ですが、質は全く異なります。

【長時間使用では耳が痛くなった】
1点残念なのは、Clip1を数時間という長時間使用した際に、筆者の場合は耳介が痛くなったことでした。考えようによってはある程度の時間で使用を終わらせるきっかけにもなるのですが、痛くないならそれに越したことはない…と思えるので、この点だけが残念と感じました。
妻が自腹購入したClip1の実力

我が家にはいま「Clip1」が2台あります。
1台はレビューのためにメーカーが提供してくれたもの、もう1台は、提供品を試した妻が自腹で購入したものです。
妻は電車通勤なので、毎日イヤホンを使用する人で、これまではカナル型の他社製品を使用していたのですが、提供品の「Clip1」を貸したところすっかり気に入って、Amazonで自腹で購入し、お気に入りで毎日使っています。
最初に試した際に、妻もその低音と音場感に驚いていて、その場で購入を決めていました。
SOUNDPEATS Clip1の気になるところ
イヤーカフ型の弱点というか、気になる点について筆者の実体験をお話しします。
イヤーカフ型は装着しにくい?
これは完全に慣れだと思います。
耳道に差し込むタイプだと押し込むだけなので装着簡単ですが、耳介に挟むイヤーカフ型でも、クリップ部分を指で広げるようにして推してやればすんなり装着できます。
筆者の場合は先のCCで慣れていたせいもあって、装着しにくいと感じたことはありません。
イヤーカフ型は音漏れしやすい?
SOUNDPEATS独自の音漏れ防止設計が施されており、現実的な音量で聴いている限り音漏れがシャリシャリ周囲の人に聞こえるということはないと思います(もちろん音量次第ですが)。
ただ、雑踏の中や公共交通機関内での使用の場合は、周囲の音に埋もれないように音量を大きめにすると、何か鳴っているな…ぐらいの感じはします。でもシャリシャリなり続けるという感じではありません。

イヤーカフ型なのにこの程度の音漏れ具合か…というのは少し驚きました。とは言え、公共マナーを考えれば、音量は控えめにすべきかもしれません。周囲の音を聞くことで安全面にも配慮するため外出時の大音量は控えた方が良さそうです。
イヤホンは耳が蒸れて痒くなる?(指で触れて想定外の動作も)
イヤーカフ型のイヤホンは耳道に直接触れていない(耳道の直前で音を鳴らしている感じ)ので、耳道が蒸れて痒くなることはあまりありません。
触れているのは耳介の部分だけなので、装着感が軽快であるだけではなく、耳の中への影響も最小という感じですが、髪が挟まってくすぐったいことはありました。

髪が挟まってくすぐったい…と指で耳を触ると、イヤホンにふれてしまいイヤホンをタッチ操作することとなり想定外の動作をする(停止)ことがあり、これもある意味でデメリットかな…と感じました。
SOUNDPEATS Clip1はこんな人におすすめ
Clip1は、単なる「外音が取り込めるながら聞きイヤホン」では物足りない人に向いているモデルだと思います。
特におすすめなのは、以下のような人です。
- オープンイヤーでも低音をしっかり楽しみたい
- 周囲の音を聞きつつ音楽も楽しみたい
- カナル型の圧迫感が苦手
- 作業用だけでなく音楽鑑賞にも使いたい
- CCより没入感重視で選びたい
やはり最大の特徴は「しっかりした音質と豊かな低音」です。それを活かしたような使い方が「Clip1」の良さを引き出す方法かな…と思いました。
逆に「Clip1」が向かない人はこんな人です。
- 周囲の音が常に聞えていないと困る人
- 軽く「ながら聴き」で聞きたい人
- 音楽への没入感より開放感を重視したい人
- 軽快で存在感の薄い装着感を求める人
- 低音の迫力より自然な聞こえ方を好む人
- 長時間装着しっぱなしの人
こうした人には、「CC」の方が合っているかもしれません。

筆者は「CC]と「Clip1」両方所有しているわけですが、実は使用頻度は圧倒的に「CC」の方が多いです。というのも、PCは「CC」とペアリングしているので、装着を忘れるほとの軽い装着感の「CC」が気に入っています。YOUTUBE動画で人の話を聴く場合には特に低音や音圧を重視しないのでより軽い「CC」がベストチョイスなんです。ただ、音楽プレーヤーやiPhoneなどで音楽をしっかり聴きたい場合には「ここぞ」とClip1を取り出す…といった使い分けをしています。
SOUNDPEATS Clip1レビュー まとめ
SOUNDPEATS Clip1は、「オープンイヤー=音が軽い」というイメージを良い意味で裏切ってくれるイヤホンでした。
低音にはしっかり厚みがあり、音量を上げれば没入感も高め。一方で、音量を控えめにすれば周囲の音も聞き取りやすく、“ながら聴き”用途にも対応できます。
特に印象的だったのは、「開放感」と「音楽を楽しむ感覚」のバランスです。
以前レビューしたCCとはかなり方向性が異なり、Clip1はより“音楽寄り”と言えます。オープンイヤー型でも音質を妥協したくない人には、かなり面白い選択肢だと感じました。
ただ、筆者的には2点、残念ポイントがありました。
(1)長時間だと耳が痛くなった
人によるかもしれませんが、長時間使用していると耳介が痛くなることがあります。この点については妻も同意見なので、使用時間には注意が必要かもしれません。
(2)イヤホンを触ると想定外の動作
蒸れて痒くなることはほとんどありませんが、オープンイヤーだけに風などで髪が挟まってくすぐったいことがあり、思わず指で触れてしまって、想定外の動作(停止)をすることがあり「ん、もう…」と思うことがありました。
そんな弱点もありつつ…ですが、それでも、この価格で、この装着感で、この音質&豊かな低音は、かなりの高コスパであると思いました。



