低価格帯の人気ヘッドホン「SOUNDPEATS Space」を実際に使ってみてレビューします。
Amazonで6,980円と1万円を切る価格帯のヘッドフォンで、ユーザー評価も平均4.3となかなかの高得点です。ただしこういう製品は「好き嫌い」や「好み」が大きく評価を左右するので実際に使ってみないと分からない部分が多いもの。
今回はメーカーからの製品提供を受けてのレビューですが、提供されようが、自前で買おうが言いたいことを言うのはいつも通り。ダメならダメではっきり言いますので念のため…。
実は昨年(2023年)に長年愛用してきたオーディオテクニカのヘッドホンが壊れてしまって新たに買ったところです。折しも我が家のマンションが大規模修繕の年で毎日工事作業音に悩まされていたので、自宅仕事の自分的にはどうしてもヘッドホンが必要でした。でも2023年はネオチューンやレカロシートなどアルトピアーノにお金をかけすぎてヘッドフォンは激安品を購入せざるを得ませんでした。今回はその時に購入した激安ヘッドフォンとの比較も交えてレビューします。
SOUNDPEATS Spaceってどんなヘッドフォン?
まずは「SOUNDPEATS Space」の外見やスペックをまとめます。筆者が実際に使ってみた感想や音質等のインプレッションについては後半に紹介しています。見た目やスペックは不要…という方は目次からインプレッションに飛んでください。
SOUNDPEATS Spaceの外観
かずは箱。まあまあしっかりした箱に入っていて、蓋と箱がみっちり密着している感じで若干の高級感を感じさせます。
箱にはこんな状態で収納されています。付属品は「取説」のほか、「充電ケーブル」と優先で使用する際の「AUXケーブル」とシンプルな構成です。
イヤーパッド部分は後ろ側に約90℃倒れます。前側にも少し傾くのでうまい角度でフィットさせることができます。
イヤーパッドの部分は内側に折れるので携帯時には若干コンパクトになります。
また、ステー部分が最大約30mm伸びるので頭の大きさに合わせてパッドを耳の位置にフィットさせることが可能です。
SOUNDPEATS Spaceのスペックと筆者の注目ポイント
SOUNDPEATS Spaceのスペックをチェックします。
形式 | オーバーイヤー型 |
ドライバー方式① | 40mmダイナミックドライバー |
ハイレゾ② | 対応(AUXケーブル接続時) |
再生周波数帯域 | 20Hz~20KHz |
対応コーデック | AAC/SBC |
Bluetoothチップセット | JL7018F6 |
Bluetoothバージョン | Bluetooth5.3 |
ANCノイズキャンセリング③ | 対応(最大-35dB) |
ENCノイズキャンセリング | 対応(通話時) |
マルチポイント④ | 対応 |
ゲームモード | 対応(65ms低遅延) |
充電時間 | 約2時間 |
充電コネクタ | USB-C(出力側はUSB-A) |
最大持続時間⑤ | 123時間 |
専用アプリ⑥ | SoundPeats AppStore/GooglePlay |
サイズ | 165x187x85mm |
重量 | 約264g |
カラー | ブラック、ホワイト、イエロー |
付属品 | 充電ケーブル、AUXケーブル、取扱説明書 |
40mmダイナミックドライバー採用
ドライバーのサイズが大きければ高音質…とは言い切れませんが、概して小さくて高音質のドライバーは高価です。本機は1万円未満の価格であることを勘案すれば、ドライバーの大きさはそれなりに音質に影響すると考えてよさそうです。40mmドライバー=高音質については「必ずしも…」ですが「無関係ではない」だと思います。
ハイレゾ対応
有線(AUXケーブル接続)時のみですが、ハイレゾに対応している点は評価したいところです。聞き比べると明確な違いがあり(詳しくは後述)ます。解像度が増し声や楽器の定位がしっかりして、音の粒立ちがしっかりしている割にスッキリした音質…って感じで、自分的には無線で聞く気には正直なれないというか…。作業中で移動することが多いとか、そういう場合には無線で、音楽をしっかり聴きたい時は有線を選びそうです。
ノイズキャンセリング
これはあまり過度に期待しない方がいいと思います。効果がないとはいいませんし、しっかり効果が体感できる場面も確かにありますが「静寂の中で高音質の音楽が流れる」なんてことを期待するとガッカリします。生活レベルのノイズキャンセリングという感じでしょうか。ぎりぎり必要十分なレベルと言える感じ?(人によるかな)
マルチポイント
マルチポイント対応なので複数のデバイスに接続しておくことができるのは便利。PCとスマホなら音楽や映画をヘッドフォンで聞きながら、電話が着信すれば通話に切り替えられたり、複数のデバイスの音楽を切り替えて聞いたり…等々。しかもAとBを切り替えるとAの音は遮断されるので、いちいちAの再生を停止する必要がないのも〇。
長時間バッテリー
バッテリーの持ちは、単純に言って短いより長い方が何につけても「良き」なのは自明の理。123時間使い続けられるかは未確認だけれども、商品が手元に来てから使い倒しているけれど充電はまだしていない…というところで、十分以上に「長持ち」であることは確か。
専用アプリ
充電状態がわかったり、グライコが使えたりとなかなか便利なアプリ。でも「有線のハイレゾがいいぞ」って思うと『Power Off』になってしまうので、実はあまり活用してなかったりします。
SOUNDPEATS Spaceの操作方法
右側のパッドに設置されているボタンについて操作と動作を説明します。
電源オン | 電源ボタンを3秒間長押しする 「Power On」と音声で知らせる |
ペアリング | そのまま電源ボタンを押し続ける 「ペアリング」と音声で知らせる |
Bluetooth接続 | 端末側でBluetoothがONになっていれば 「コネクト」と音声で知らせる |
電源オフ | 電源ボタンを5秒間長押しする 「Power Off」と音声で知らせる |
AUXケーブル接続 | 「Power Off」と音声で知らせる ボタン類やアプリの操作・設定がすべて無効になる |
再生/一時停止 | 電源ボタンを1回押す |
音量を上げる | 音量+ボタンを1回押す 1クリックずつ上がる |
音量を下げる | 音量-ボタンを1回押す 1クリックずつ下がる |
曲戻し | 音量-ボタンを1秒間押す |
曲送り | 音量+ボタンを1秒間押す |
電話応答 | 電源ボタンを1回押す |
通話切断 | 電源ボタンを2回押す |
ゲームモード | 電源ボタンを3回押す |
音声アシスタント | 電源ボタンを2回押す |
- 【ANCボタン】を1回押す毎にモード切り替え
ANC ON→通常モード→外音取り込みモード
音声:「ANC ON」「Normal Mode」「Pass Through」
ANC ONおよび外音取り込みモード時には、LEDインジケーターが点灯します
充電端子は左側。USB-A(出力側)⇔USB-C(ヘッドフォン側)です。ケーブル長はプラグまで含めても30mmと短めです。もう少し長さがあった方が使い勝手はよいかもしれません。市販のUSB-A⇔USB-Cケーブルでも代用可能なので問題ないかもしれません。
充電中は赤いインジケーターが点灯します。充電状況によって色の変化はなく充電中は常に赤色で、満充電で消灯します。
有線で使用する場合のAUXケーブルは右側に接続します。iPhoneの場合は「7」以降はイヤホンジャックが廃止されているので、有線でしようすることはできません。Androidスマホはメーカーや機種によってまちまちなのでイヤホンジャックがある機種であれば利用可能です。
有線での使用については後述しますが、現行の大半のiPhoneが有線で使用できないのは勿体ないところです。
【Impression】SOUNDPEATS Spaceの音はどうなの?
さていよいよ肝心の「音」についてです。
ただ、あくまでも筆者が「感じたこと」ですし、音は多分に好みが分かれるものですので「必ずしも…」であることはいつも通りです。
自分の好きな音の傾向はドンシャリだけど…
聞くのは基本ロックですので、音の傾向は基本「ドンシャリ」です^^;画像はSOUNDPEATS Spaceのアプリのイコライザー設定です。見事にドンシャリです^^;
「シャリ」の方はシンバルの音がクリアに聞こえればOKですが、「ドン」の方は『音圧』を感じたいタイプです。ベースラインが音楽として流れているのではなく、ブーン、ドスンという「圧」を感じたいんです。
スピーカーで聞く場合でも耳で聞く音より、身体で感じる振動で聞きたい…という感じです。
ただそうは言っても、クラシックも聞きますし、フラメンコギターなんかも好きなので、アコースティックの楽器のニュアンスなんかも無視できないタイプです。
SOUNDPEATS Spaceの音の第一印象
SOUNDPEATS Space | TOKFI | |
ドライバー | 40mm | 40mm |
形式 | オーバーイヤー型 | オーバーイヤー型 |
接続 | 無線・有線 | 無線・有線 |
制御 | Bluetooth5.3 | Bluetooth5.2 |
最大持続時間 | 123時間 | 38時間 |
バッテリー容量 | 1000mAh | 1200mAh |
充電時間 | 2時間 | 2時間 |
ハイレゾ | 有線時 | 非対応 |
重量 | 264g | 175g |
Amazon価格 | 6,980円 | 3,699円 |
前項のような音の好みをもつ自分が「SOUNDPEATS Space」を使って音楽を聴いた際の第一印象は「軽やか」でした。意地悪に言うと「薄い」。
イコライザーを使っていない「素」の音に対しての印象です。若干のドンシャリ傾向も感じますが、まずまずフラットといって良いと思います。
低音や高音が出ていないわけではありません。ヘッドフォンを少し押し付けるようにすると、低音も高音もしっかり出ているのがわかります。少し音量を上げると低音の力感が加わってバランスが良くなる印象でした。
これまで使っていた激安ヘッドフォン(ユーザー評価はまあまあ良い)と比べるとこんなことを感じました。
- 中低音が控えめ
- スッキリクリアな音色
- 歪みが少ない音
これらを総合して「軽やか」の第一印象になったものと思います。
クリアなのは長所かな…と思いましたが、音の歪みについては一概に「良い」とも言えない部分もあります。自分はロックを中心に聴く人なので、ロックにとって「歪み」はお友達のようなもので、ギターやベースのドライブ感に繋がる感覚もあるので、クリアで歪みのない音はともすると「物足りなさ」に繋がる要素でもあると思います。
とは言え、最初から歪んでいるより素直な音を自分好みに調整した方が良いのもまた確かです。
「TOKFI」の欠点は、音の定位がはっきりせずダンゴ状態で聞こえてしまうことなんですが、ロックの場合はそれがパワー感にもなっていて、ロックを聞く分には大きなマイナスにはならないのですが、クラシックやフラメンコギターなども聴くので、音楽のジャンルによってはアコースティックな楽器の繊細な感じが「TOKFI」よりも伝わってくる感じがします。
この辺りは「SOUNDPEATS Space」の美点かな…と思います。ロックが高尚な音楽にも聞こえてしまうという不思議な感覚もあります(笑)。
ちゃんと聞くなら有線ハイレゾがおすすめ
まあ「有線時はハイレゾ」と事前情報として知った上で有線にしたのですが、それでも十分驚かされました。正直、無線とはまったく別物です。さらにクリアさが増す一方で、中低温もしっかり出ていて、しかも骨太でがっしりしています。
人の声や楽器の定位がしっかりしていて、全体的に奥行や広がりが拡大した印象です。とは言え「朗々と歌う」という感じではなく、節度のある拡がり感の中で聞かせるといった感じです。
音楽をしっかり聴くなら「有線一択かな」と思います、自分的には。
ただ、仕事しながら…とか、家事をしながら…という場合は無線の方がおすすめです。というのも、いい音なので聞きほれてしまって手が止まるからです。「おぉここでこんな音が入っていたんだ」なんて、聞きなれた楽曲に新しい発見があったりして、「ながら聞き」には向かないように思いました^^;
ただ「操作」の項でも書いたように、有線の時はヘッドフォンの電源が切れる~つまりアプリ操作ができないし、ANCも無効、ヘッドフォンからの操作も無効になります。まあ有線なのでどうせデバイスが近くにあるので不自由さはないんですけれど…。
装着感は緩め。長時間使用でも耳は痛くならなかった
「SOUNDPEATS Space」も「TOKFI」もオーバーイヤー型で、軟らかいイヤーパッドが付属していますが、「SOUNDPEATS Space」の方がより軟らかく、サイズも微妙に大きい感じです。
挟む力も「SOUNDPEATS Space」は弱めです。自重の問題があるので同条件ではありませんが、「TOKFI」の方はしっかり締まる感じがして、2時間ほどで耳が痛くなります。
「SOUNDPEATS Space」は、商品到着日と翌日(この記事を書いている間ずっと)、いずれも4~5時間装着していましたが、あまり耳が痛くなることはありませんでした。若干「耳介」に『痛くなりそうな予感』的な違和感はありますが、少しパッドの位置をずらすことでまた大丈夫になるので、かなり長時間使い続けられました。
ちなみに自分の耳介は標準的であろうと思われます(小さいとも大きいとも言われたことがないので)。
ノイズキャンセリングの効果は
「ANCオン」と「外音取り込みモード」を試しました。
「ANCオン」でも外部の音を全く消して無音にする…といったところを狙ったノイズキャンセラーではないように思いました。ちょっと外音を抑える…って感じです。
自分的には、逆に「外音取り込みモード」の方が実用性があるように思いました。
自宅事務所で書き物をしている際にヘッドフォンをして音楽を聴きながら執筆することがありますが、宅配便やクリーニングなどの訪問に気づかないことがあって、会社員の家内が帰宅した際に不在票があって「どこか行ってたの?」と疑いをかけられることがあります。
「外音取り込みモード」はマイクで外音を拾ってスピーカーから鳴らしてくれるので、「居るの不在票」は防止できそうです。
車中泊と相性はどうか
いちおう、バンライフがメインのブログなので(最近食べ物ばっかりだけど^^;)、「SOUNDPEATS Space」を車中泊に持っていったらどうか?を考えてみましたが、連続使用時間は最大123時間で長時間使用が可能ですし、Bluetoothの接続状態も良好のようなので「いいんじゃない」と思いました。
音楽を聴いたり、車内で映画を見たり等に使えそうです。
ノイズキャンセラーの「外音取り込みモード」にしておけば、外部の音も拾ってくれるので周囲の変化にも気づきやすいのかな…と思います(どこまで拾うかは試していないのであくまで想像~次項参照)。
また、Bluetoothの接続範囲が広いので、車外での活動中も比較的広範囲に行動できそうです。長時間使用しても耳が痛くなりにくい点もプラス要素ですね。
その他感じたこと
- Bluetoothの接続範囲が広い
我が家はマンションで、玄関を入ってすぐに左右に部屋が合って、ドン付きがリビング…というよくあるレイアウトです。入ってすぐの2部屋のうちの1部屋を自分の寝室兼仕事部屋にしていますが、Bluetooth接続したままリビングに行くと、「TOKFI」は切れますが、「SOUNDPEATS Space」は雑音もなくつながったままでした。 - 電子レンジに影響を受けた
Bluetooth接続したまま電子レンジを使ったところ、ブツブツという音と音が飛び飛びになっていました。 - イコライザー設定を保存できるといいのに
聞く音楽によってイコライザーの設定を数パターン保存できるとよいと感じました。ドスンドスンブーンブーンのヘビメタとフラメンコギターを同じセッティングで聞くのはちょっと無理がありそうです。 - 取説の表紙が「くしゃ」ってなっていた
取説やケーブルは同じ箱に剥き出しで入っていて、取説の表紙が「くしゃ」ってなっていた。この辺りは小さなポリ袋1枚で事足りるので気を使って欲しかった。日本で売るにはこういう部分も重要。
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「SOUNDPEATS Space」レビューまとめ
【SOUNDPEATS Space独断的評価 10段階】
・音質(無線)… ★★★★★★★☆☆☆
・音質(有線)… ★★★★★★★★★☆
・操作感 … ★★★★★★★★☆☆
・Bluetooth繋がりやすさ … ★★★★★★★★★★
・装着感 … ★★★★★★★★★☆
・ノイズキャンセラー … ★★★★★★★☆☆☆
・外音取り込みモード … ★★★★★★★★☆☆
・質感 … ★★★★★★☆☆☆☆
・コスパ … ★★★★★★★★★☆
・おすすめ度 … ★★★★★★★★★☆
今回はメーカーから実機を提供して貰って「SOUNDPEATS Space」をレビューしてみましたが、いつものように言いたいことを書きましたし、提供品に対して他社製品を比較に持ち出すなんて本当はダメなのかもしれませんが、自分的にはどうしたってこれまで使ってきたヘッドフォンと比較することになるのであえて持ち出しました。
値段の差よりもっと大きな差があるように感じました。特に有線のハイレゾは別格と言える音ですっかり気に入ってしまいました。まあ、ハイレゾにしたってもっともっと上はあるのでしょうけれど、再生デバイスがスマホなんですから充分に高音質と言えると思います。
外層はプラスチックを使用していてあまり高級感はないですが、普段使いなら全く問題ないはずです。高級品・高品質品を望むならおすすめできませんが、汎用としては必要十分です。有線ハイレゾなら約7千円で「いい音」を手に入れられます。
ちなみにSOUNDPEATSは中国メーカーです。
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