5月25日、ついに「DELTA 2 Max」が発売になりました。本稿では発表されたばかりのDELTA2 Maxの仕様や機能などについて速報します。
今回はついに出た『DELTA2 Max』の機能やスペックなどを速報的にまとめています。本稿は本来、2022年10月に「DELTA Max 2」の発売予想を記事化したものですが、実際に発売された新モデルの情報を加えています。
旧DELTA Maxは、1600と2000の2タイプで、三元系リチウムイオン電池を採用、1600は容量1,612Wh、2000は容量2,016Whで、出力はいずれも定格2000W/最大4200Wを誇る大容量高出力モデルです。
X-Stream(急速充電)、X-Boost(定電圧)、スマホ遠隔操作、拡張バッテリー(エクストラバッテリー)など、EcoFlow得意の先進技術もふんだんに盛り込まれていました。
充電容量80%に至るまでの寿命(充電サイクル)は、1600で500回、2000で800回でした。
2022年以降の「DELTA 2」「RIVER 2」などの人気シリーズが続々リン酸鉄リチウム化され、いずれはMaxもリン酸鉄リチウムの採用は必然と思われてきましたが、やっとその姿を現すに至りました。
DELTA 2 Maxの基本スペック
新 DELTA 2 Max | 旧 DELTA Max 1600 | 旧 DELTA Max 2000 | |
電池 | リン酸鉄 | 三元素 | 三元素 |
充電サイクル | 3,000回 80%残存 | 500回 80%残存 | 800回 80%残存 |
容量 | 2,048Wh | 1,612Wh | 2,016Wh |
定格出力 | 2,000W | 2,000W | 2,000W |
瞬間最大 | 4,000W | 4,200W | 4,200W |
X-Boost | 2,400W | 2,400W | 2,400W |
AC入力 | X-Stream 1500W | X-Stream 1500W | X-Stream 1500W |
DC入力 | 10A | 8A | 8A |
ソーラー 入力 | 11-60V DC 15A 最大1000W デュアルポート | 11〜100V DC 13A 最大800W | 11〜100V DC 13A 最大800W |
AC出力 | 6 | 6 | 6 |
50Hz/60Hz 切替 | ? | 手動 | 手動 |
USB-A | 2 | 2 | 2 |
USB-A 急速 | 2 | 2 | 2 |
USB-C | 2 | 2 | 2 |
DC出力 | 5521×2 | 5521×2 | 5521×2 |
シガー ソケット | 1 | 1 | 1 |
拡張 バッテリー | 2,048Wh 最大2台 | 2,016Wh 最大2台 | 2,016Wh 最大2台 |
スマホ 遠隔操作 | 〇 WiFi/Bluetooth | 〇 WiFi | 〇 WiFi |
UPS | EPS(30ms) | EPS(30ms) | EPS(30ms) |
サイズ mm | 497x242x305 | 497x242x305 | 497x242x305 |
重量 kg | 23 | 22 | 22 |
上記は「DELTA 2 Max」と、旧「DELTA Max」のスペックの比較表です。
気になったスペックは以下です。
リン酸鉄リチウムイオン電池採用
もちろん一番大きな違いは電池の変更です。
従来の三元素リチウムイオンから「リン酸鉄リチウムイオン」に変更されました。
ご存じのとおり、リン酸鉄リチウムは電池としての安定性が高く、熱暴走しにくく発火や爆発の危険がない安全なバッテリーとして注目です。
充電サイクル3000回の長寿命も大きなメリットですが、これだけの大容量バッテリーになると三元素でも十分に長寿命なのですが、やはり安全に長持ちする…という安心感は大きいです。
サイズ・入出力端子に変更なし
縦×横×高さのサイズには変更はありませんでした。重量は1kg増加しています。
また入力端子数・出力端子数にも変更なく、「値」も変更なしのようです。
本体2,048mWhのワンモデル+EXバッテリー最大2台
旧モデルの本体は1600/2000の2モデル体制でしたが、新DELTA2Maxでは容量2,048Whのワンモデル体制となり、同容量の専用エクストラバッテリーを2台まで接続可能で、最大容量6,144Whとなります。
アウトドアなどで屋外に持ち出す際には、ある程度の容量があれば「携帯性」が重要な性能になりますが、災害への備えや節電目的の場合には、携帯性の重要度はグッと下がって「大容量」であることが最重要になります。
拡張バッテリーの良さはこの両方の重要性を両立できることにあります。持ち出す際には本体のみで、拡張バッテリーは自宅でお留守番、帰宅後に再接続して大容量バッテリーとして使用できるという点で、拡張バッテリーにはない柔軟性を持っていると言えそうです。
ソーラーパネルがデュアルポート化
ソーラーパネルの接続端子がデュアル化されMPPT効率は99.9%になりました。EcoFlow400Wパネルは最大2枚、220W両面受光パネルは最大4枚まで接続可能となりました。
ソーラーパネルは最大出力を常に発電できるわけではありません。逆に100%発電できることの方がマレで、(角度などの設置状況や天候などに影響されますが)通常は夏場で70~80%、冬場で50~70%程度と見ておいた方が良さそうです。平均すると60~70%でしょうか。
だとすると、400Wパネル×2枚=800Wの60%で480W、220W×4枚=880Wの60%で528Wということになります。DELTA 2 Maxの容量は2,048Whなので、日照時間が4時間あれば満タンまで充電できるとみてよいと思います。
静音性
充電時の静音性が高まったようです。動作時30dbです。
ちなみに「図書館」の中がだいたい40dbぐらいだそうですので、30dbというとかなり静かそうです。
現在自宅で使用している『BLUETTI AC70』は静音時45dbですが、従来のEFDELTAやEB70Sと比べるとかなり静かです。そのことからすると、さらに15db低いDELTA 2 Maxの静音性はかなり優秀と言えると思います。
DELTA 2 Maxは買いか?
リン酸鉄リチウム電池の採用は今の流れを考えれば順当な変化と言えますが、他の部分では思ったよりも変化がなくちょっと期待を裏切られた感もありますが、考えてみれば旧モデルの完成度がそれだけ高く特に変更する部分がなかった…と見ることもできます。
EcoFlowのお家芸である「X-Stream(急速充電)」や「X-Boost(定電圧)」、さらに「スマホ遠隔操作」や「拡張バッテリー」などはすでに旧モデルで採用済みで、これ以上、新たに搭載する新機能がないと考えれば、逆にその完成度はいかばかりか…と安心感を感じてしまいます。
正直20kg超のバッテリーを自宅と車両の間を積み替えるのはかなりしんどいです。まして身を屈めないといけない小型バンコンでは取り回しは良いとは言えないと思いますので、用途としては、災害時の停電対策や、自宅でのオフグリッドによる節電対策に向いているのかな…という気はします。
外へ持ち出すなら2~3泊以上でないと、せっかくの容量や出力が生かせないかもしれません。
まだ詳しく分からない部分もあるので、現時点の印象でしかありませんが、リン酸鉄リチウム化されて手に入れた安全性と長寿命に、旧モデルからの熟成による完成度の高さに期待して、用途は絞られるかもしれませんが、充分に『買い』ではないか…と思います。
とりあえず現時点で分かったスペックを大急ぎでまとめました。また新たな情報があれば追記します。
※他製品との比較やセール情報は別記事にまとめていますのでご覧ください。
DELTA Maxの歴史~旧DELTA Maxをおさらい
2021年に登場した「DELTA Max」は、定格出力2000W/瞬間最大出力4200Wで、共通出力で充電容量の違いで「1600(1612Wh)」と「2000(2,016Wh)」のシリーズ2モデル体制です。
合計の消費電力が定格出力以内であれば、一度に最大15台の電気製品に給電が可能です。
入力(充電)は、AC100V・DC(走行充電など)・ソーラーパネル・スマート発電機の4系統で、ソーラー充電は最大400Wまで可能です。
急速充電システム「X-Steram」や、定格出力以上の消費電力の電気製品の消費電力を抑制して使用できる「X-Boost」、WiFi接続でスマホアプリから電源の状態の把握や操作が可能な「遠隔操作機能」などEcoFlow独自技術がふんだんに盛り込まれたモデルです。
さらに、「DELTA Max」専用の2016Whエクストラバッテリー(EB)を最大2台接続することが可能で、1600本体+EB1台で3628Wh、1600本体+EB2台で最大5644Whにまで容量を拡大することが可能です。
EBは別売なので、後から追加購入して容量アップが可能です。
キャンプや車中泊などには本体のみを持って出かけ、災害時の備えや節電利用のためにEBを自宅に設置しておく…といったフレキシブルな使い方が可能です。
EcoFlowの先進技術
「X-Stream」「X-Boost」「スマホ遠隔操作」「エクストラバッテリー」などのEcoFlow独自の技術は、他社にはあまりみられないEcoFlowならではの特徴となっていますので、継続搭載と考えるのが順当でしょう。
急速充電システム「X-Stream」
充電時間が短い(つまり充電が速い)には大きなメリットであることは言うまでもありませんが、実はあまり目立ちませんが、大きくて重いACアダプター不要で超高速充電が可能な「X-Stream」は実際に使ってみるとその有難みがよく分かるEcoFlowの看板技術です。
定電圧機能「X-Boost」
原則として、ポータブル電源の「定格出力」が、電気製品の「消費電力」を上回っていないと電気製品は動作しません。
しかし、定電圧機能~EcoFlowでいうところの「X-Boost」は、電気製品の電圧を下げることで、消費電力を下回る定格出力でも電気製品を動作させてしまう技術です。本来ならウンともスンとも動かないはずの家電を動かすことができるのは、使い方によっては大きなメリットになります。
他所では、パワーがないし充電量を大幅に消費するから…ということで、あまり歓迎されないケースもあるようですが、筆者的には定電圧は常用する機能ではなく、「いざ」という時に本来動かないはずの家電が動くことにメリットがあると考えます。
例えば、車中泊やアウトドアの際、あるいは災害に見舞われた際などに、定格出力が10W足りずに家電が動かない…というのは避けたい状況です。そんな時、定電圧付きであれば動作してくれるのは大きいのではないかと思います。
もちろん、消費電力を落として定格出力の範囲で動作させるので、例えば電子レンジなどは温め時間が延びるなどは致し方のないところですが、あと数W足りずに動かないより動いた方がいいに決まっています(自分の感覚ですが)。
スマホ遠隔操作
スマホ遠隔操作は、文字通りスマホアプリから電源の状態を把握したり操作できる機能です。
充電残量や充電中の充電ルートや入力値などの確認、電源のON/OFF、50/60Hz切換え、急速充電のON/OFFなどが電源のところまで行かなくても離れた場所から確認・操作が可能です。
以前、RIVERで実体験したので特によく覚えているのですが、晩秋の道志方面のキャンプで深夜に寝袋だけでは寒くなり、あらかじめ寝袋の上に掛けておいた電気毛布の電源を寝袋に入ったままONにすることができました。
RIVERに電気毛布のコンセントを繋いでおけば、RIVERのメイン電源も、AC100V出力スイッチもスマホのアプリからONにできるので、あとは電気毛布のコントローラーで温度設定をするだけ…でした。
その時、「なんて便利な機能なんだ」と感心した覚えがあります。
容量を2倍・3倍にできる「エクストラバッテリー」
拡張バッテリーシステム(EcoFlowではエクストラバッテリーと称します)は、本体容量に外部の電源を接続することで、容量を統合して本体から利用することができる機能です。
拡張バッテリーは、「外部からの充電」ではなく、容量を統合できる点が特徴です。
先行して発売された「DELTA 2」では、本体容量は旧モデルよりも少し抑えめの設定になっており、大容量を臨むのであれば、別途拡張バッテリーを購入するカタチになります。
例えば外出時には本体のみ持ってゆき、自宅では拡張バッテリーを接続して大容量の蓄電池として利用するなど、フレキシブルに使うことができますが、価格面では、容量1Wh当たりのコストが若干単価アップしていることに気づきます。
EFDELTAは発売当時の価格は15万円超(自分のAmazonの購入履歴では158,182円で買った記録があります)で、容量1Whあたり125.5円でした。後継機「DELTA 2」は、容量1Whあたり139.7円です。
拡張バッテリーのもう1つの問題は、拡張時の出力不足です。
DELTA 2は、1,024Whの本体に1400Wの定格出力を持たせていますが、拡張バッテリーを接続して容量が2倍(2,048Wh)になると、出力1400Wではちょっと心もとないのかな…という気がします。拡張後を勘案した定格出力が望ましい(DELTA2の場合は2000W程度)のでは?と感じます。
DELTA Max 2まとめ
今回は「DELTA Max」シリーズの新モデル「DELTA 2 Max」についてチェックしてみました。
リン酸鉄リチウム化され、安全性と長寿命を担保したのは大きな進化です。また、EcoFlowの各種技術は継承・搭載されているので、使い勝手も旧モデルと同等かそれ以上となっています。
最近のEcoFlowの製品は定番化していて、正直、目新しさには欠ける部分があるのですが、横綱相撲というのか、安定した製品づくりは安心して製品を購入できるという意味でもありますので決して悪いことではありません。
大容量・高出力モデルの購入を考えているのであれば、候補に入れない訳にいはゆかない定番中の定番モデルと言えるのではないでしょうか。
それでは今日はこの辺で。
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