半固体電池ポータブル電源DABBSSON DBS1400 Pro実機レビュー~発火爆発しない高安全性と長寿命

この記事は約25分で読めます。

最近、高い安全性と長寿命の半固体電池を採用したポータブル電源が注目されています。

釘を刺しても発火・発煙・爆発しない抜群の安全性と15年にも及ぶ長寿命で、従来のリチウムイオン電池採用のポータブル電源の購入を躊躇していたユーザーの不安を払拭しているようです。

今回は、DABBSSSON(ダブソン)社から、半固体リン酸鉄リチウムイオン電池採用の最新モデル「DBS1400PRO」のご提供を頂いたので、日常使いで色々と試してみてリポートします。

KAZ
KAZ

「次に買うなら半固体電池だなあ」などと考えていたところへ、たまたまDABBSSON社からお声がけを頂いて、新モデルDBS1400PROのご提供を頂きました。提供とは言え、当ブログのモットーである「言いたいことを言う」は貫かせて頂いたので、購入検討の方の参考になれば…と思います。

※本稿はアフィリエイト広告を導入しています

半固体リン酸鉄リチウム電池の特徴とメリット 最重要

DBS1400Proをはじめ、DABBSSON社製のポータブル電源の最大の特徴は「半固体リン酸鉄リチウム電池」が採用されている点です。

安全性が高い、超長寿命だ…と言われますが、半固体リン酸鉄リチウム電池とはどのような電池なのでしょうか。

半固体リン酸鉄リチウム電池とは?頭抜けた安全性に注目!

画像出典:kahaku.go.jp

「半固体リン酸鉄リチウム電池」を理解するためには、蓄電池の構造を理解しておく必要があります。

電池なので「正極」と「負極」があります。全体を「電解質」が覆っており、正極と負極を「セパレーター」で仕切っています。

昨今のポータブル電源の電池の種類には2つあって、「三元系リチウムイオン電池」と「リン酸鉄リチウムイオン電池」です。いずれもリチウムイオン電池ですが、正極に使用する金属が異なります。

三元系リチウムでは多くの場合以下の3つの金属が使用されます。

  • コバルト酸リチウム(LiCoO2)
  • ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(NMC)
  • ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(NCA)

これに対してリン酸鉄リチウムでは「リン酸鉄リチウム(LiFePO4)」が正極に使用されます。

いずれの電池も、負極にはグラファイト(炭素)が使用され、電解質は「リチウム塩を含む有機溶媒(液体)」です。

電池の種類メリットデメリット
三元系リチウム
イオンバッテリー
熱分解温度:約200℃
・エネルギー密度が高い
・小型軽量化しやすい
・低温時にも安定した出力
・充電サイクル800回程度
・熱暴走しやすい
・発火爆発の可能性がある
リン酸鉄リチウム
イオンバッテリー
熱分解温度:約700℃
・発火爆発が起こりにくい
・安全性が高い
・充電サイクル3000回程度
・自己放電しにくい
・エネルギー密度が低い
・電圧が低い
・コストが高め
・重い
・温度上昇と発煙の可能性
半固体リン酸鉄リチウム
イオンバッテリー
熱分解温度:約700℃
・液漏れリスクが低い
・高出力性、高速充電に優れる
・充電サイクル4000回超
・さらに長寿命
・軽量化しやすい
・まだ製品数が少ない
・半固体電池の有効性が理解されにくい

リン酸鉄リチウムイオン電池は、三元系に比べてコストが安く安定している反面、バッテリーとして大きく重くなりがちです。しかし三元系に比べて安定性が高く、熱分解温度が高いため熱暴走が起こりにくく、正極素材の(LiFePO4)は高温になっても発火しないため安全性に優れる点で現在の主流となっています。

さてやっと「半固体電池」ですが、DABBSSONの半固体リン酸鉄リチウムイオン電池は、電解質を液体→ゲル素材(半固体)にすることで、さらなる安定性と、何らかの事故でセパレーターが破損した場合でも温度上昇がほとんどなく、必然的に発火・発煙・爆発のリスクがほとんどない点で、これまでのリン酸鉄リチウムイオン電池よりも、さらに安全性に優れます。

以下の動画は、DABBSSONが行った「釘刺し実験」の様子です。自社の半固体リン酸鉄リチウムイオン電池に釘を刺すことで、熱暴走や発火・発煙・爆発などのリスクを検証したものです。

三元系リチウム電池では急激な温度上昇(550℃超)や発火が見られます。従来比較的安全とされてきたリン酸鉄リチウム電池でも発火はしませんが温度上昇と発煙・液漏れが生じています。これに対してDABBSSONの半固体リン酸鉄リチウム電池は、発煙・液漏れは認められず温度上昇も見られません。

でも、ポータブル電源に釘を刺すことなんてないでしょ?

確かにポータブル電源に釘を刺す…などという行為をする方はまずいないと思いますが、例えば、棚の上に置いていたポータブル電源が地震で床に落下したり、上から重量物が落下して破損した…等の場面では、釘刺しと同様に電解質の液漏れが生ずる可能性は十分にあり得ます。

リチウムイオン電池の発火による火災は毎年発生

【リチウムイオン電池搭載機器の製品別の出火件数】東京消防庁調べ

このように、リチウムイオン電池を原因にしたと思われる火災は毎年発生しています。このほとんどが三元系リチウムイオン電池によるものとされますが、モバイルバッテリーや携帯電話(スマホ)など身近なモバイル機器が上位を占め、電動自転車や家電・工具などに続いて、ポータブル電源からの出火も「0」ではありません。

こうした火災は、Amazonなどで格安に販売される海外製の製品が多いとされますので、あまり価格にばかり囚われて製品を選ぶことのないよう注意が必要です。

KAZ
KAZ

火災といった「最悪の状況」を想定した場合、蓄電池の発火・発煙・爆発のリスクは可能な限り低いに越したことはありません。発火による火災が発生することは、二次最大・三次災害のリスクを負うことにもなり兼ねないので、安全性はできるだけ高次元に担保しておくことが重要です。

ここまで「半固体リン酸鉄リチウムイオン電池」採用のメリットについて解説しました。かなり長くなって退屈だったかもしれませんが、今回のDABBSSON DBS1400Proの「価値」はまさに「半固体電池」採用にあると思いますので、ぜひお読み頂ければと思います。

安全性が何より重要!

いくら大容量でも高出力でも使い勝手が良くても、最終的に一番重視すべきは安全性です。ポータブル電源はずっと長く使うものだからこそ、火災や爆発の心配のない安心して使える製品を選ぶべきです。

DABBSSON DBS1400Proとは?

今回入手したのは、今年(2024年)8月に発売されたばかりのDABBSSONの新モデル「DBS1400Pro」です。主なスペックは以下の通りです(同じぐらいの容量のライバルと比較)。

メーカーDABBSSONEcoFlowJakcery
機種DBS1400ProDELTA 3 Plus1000 Plus
通常価格¥163,700149,600円168,000円
採用電池半固体リン酸鉄リチウムリン酸鉄リチウムリン酸鉄リチウム
充電サイクル80%/4500回80%/3000回70%/4000回
容量1382Wh1024Wh1264Wh
バッテリー拡張5682Wh
11364Wh
5000Wh5000Wh
定格出力2400W1500W2000W
最大出力4800W3000W4000W
定電圧機能P-Boost
最大3000W
X-Boost
最大2000W
AC端子363
USB-A322
USB-C322
AC入力1500W1500W1500W
ソーラー入力1200W1000W800W
急速充電80%/45分100%/56分100%/1.7時間
スマホ操作
UPS15ms10ms20ms
サイズmm432x254x303398x200x284356x260x283
重量20.5kg12.5kg14.5kg
保証期間5年5年5年

容量1382WhのDBS1400OProは、ミドルクラスのポータブル電源です。

バンコンキャンパーである筆者はどうしても『車載』を想定してしまいますが、本体重量20.5kgはなかなかの重さです。充電容量からすると少し重すぎ?と感じます。体験的に車載の際に自宅と車を行ったり来たりできるギリギリの重量かと思います(車内で中腰で重量物を移動すると腰をやります^^;)。

自宅では拡張した容量で災害時や緊急時用に大容量電源として備え、キャンプやアウトドアの際には本体のみ持ち出すといった『二刀流』的にフレキシブルに使えるサイズ感かと思います。

「半固体電池」のメリットは前項にて詳細に解説したので、それ以外のスペック表における注目点をチェックしましょう。

充電サイクル~超ロングライフへ

DBS1400Proの充電サイクルは4500回時に当初容量の80%を維持します。

通常のリン酸鉄リチウムイオン電池では、三元系リチウムイオン電池に比べて800回→3000回へと長寿命化されていますが、DBS1400Proでは「半固体リン酸鉄リチウム電池」を採用することで4500回もの充電サイクルを実現しています。

これは、365日毎日充電サイクルを1カウントした場合(※)でも、12.3年の長期間に渡って充分な充電容量を維持できることを意味します。通常の使い方であれば15年以上の長寿命を実現します。

言い方を変えれば『一生もの』といっても過言ではない超長寿命です。

※充電サイクルとは
バッテリーの劣化は充電容量の減少というカタチで現れます。例えば『充電サイクル4500回で容量80%』とは、充電サイクルを4500回カウントした時点で、当初の充電容量の80%まで容量が減少することを意味します。

充電サイクルは、充電・放電を繰り返す中で「放電量の合計が100%」になった時点で「1」カウントされます。一昨日40%消費、昨日50%消費・80%充電、今日30%消費した場合、今日の10%消費時点で放電量合計が100%になり、その時点で充電サイクル「1」がカウントされます。

▶充電サイクルやバッテリーの寿命、正しい充電方法等については以下の記事を参照してください。

5682Whまでバッテリー拡張可能!2台並列接続で最大11.3kWh

DBS1400Proは拡張バッテリーの仕組みを採用しています。

例えば本体だけ屋外へ持ち出してキャンプや車中泊のお供をさせ、自宅では、節電効果や停電時の電力確保などの目的で拡張バッテリーを接続して大容量を確保する…といったフレキシブルな使い方が可能です。

1台のDBS1400Proは、容量拡張バッテリー「DBS2100B(容量2150Wh)」を最大2台接続し容量を5682Whまで拡張することが可能です。

しかしDBS1400Proのバッテリー拡張性はさらなる拡張を可能にしています。それはDBS1400Proを2台並列接続し、それぞれに2台ずつのDBS2100Bをせつぞくすることで、5682Wh×2=11,364Wh(11.3kWh)もの超大容量を確保することが可能です。

一般家庭用としては十二分以上の電力量で、災害時の停電対策としても充分な性能を発揮します。

定格出力2400W~余裕の高出力

DBS1400Proは、定格出力2400W/瞬間最大4800Wの高出力を備えています。

最近のポータブル電源は、電源本体の充電容量は控えめにして携帯性を維持しつつ、別バッテリーを接続することで容量を確保することが可能な「拡張バッテリー」の仕組みをもつ製品が増えています。

ただこの時問題なのは、本体の容量に合わせた定格出力しか与えない場合に、拡張バッテリーで容量を拡大した際に出力不足でせっかくの大容量を生かせない…というデメリットが生じます。その点、DBS1400Proは本体出力で2400W(最大4800W)を確保しているので、容量を拡張しても出力不足になりにくいのです。

ちなみに家庭のコンセントの出力は1500Wです。つまりDBS1400Proは、壁のコンセントの1.6倍もの消費電力の家電を一度に使うことができる…というわけです。

KAZ
KAZ

ちなみに、DBS1400Proを2台並列接続して使用する場合には、容量のみならず定格出力もアップします。2台並列接続の場合の定格出力は4400Wです。

定電圧機能で消費電力3000Wの家電が使える(P-Boost)

さらにDBS1400Proは、DABBSSON社が「P-Boost」と呼ぶいわゆる定電圧機能(電力リフトと呼ぶ場合もあり)によって、定格出力を超える消費電力の家電でも最大3000Wまで消費電力を抑えて動作させることが可能です。

通常であれば、定格出力を超える消費電力の家電は動作させることができません。例えば定格出力1000Wのポータブル電源では消費電力1400Wの電子レンジは動かないのです。

しかし、「P-Boost」定電圧機能によって、家電の消費電力が定格出力2400Wを超える場合でも3000Wまでであれば、家電の消費電力を抑えて定格出力内で動作させることが可能です。

※定電圧機能とは
家電の消費電力を抑えて、定格出力の範囲の中で家電を動作させる機能です。この機能があれば「あと100W足りずに家電が動かない」といった状況を避けることができ、特に緊急時や災害時などに効果を発揮すると言われています。定電圧機能の詳細は別記事をご参照ください。

超高速充電~わずか45分間のAC充電で全容量の80%充電

高速充電の能力もポータブル電源の使い勝手の良し悪しを左右する要素です。

例えば、キャンプへ出発する当日の朝「充電するの忘れてた!」なん手場合でも、朝食を摂って荷物を車に移動している時間が45分あれば、全体の80%まで充電が完了します。残りの20%は目的地まで走行する間に「走行充電」で補えば、キャンプ場に着いた時にはフル充電…という具合です。

またDBS1400Proは、『AC+ソーラーデュアル充電』も可能です。ACコンセントからの充電に並行してソーラーパネルからも最大1200Wの充電が可能です。AC+ソーラーデュアル充電の場合には、36分間で最大容量の80%を充電可能です。

KAZ
KAZ

ちなみに、スペック表ではEcoFlow「DELTA 3 Plus」が、56分間でフル充電が可能とありますが、「DELTA 3 Plus」の場合の100%充電は1,024Whです。一方DBS1400Proの80%は1,105.6Whに相当しますので、充電量はDBS1400Proが上回っていると言えます。

停電時もEPSで給電継続

例えば水槽で水生生物を飼っている場合など、給電が絶対に途切れてはいけない状況下で停電が起こるのは非常に由々しき問題です。エアレーションが止まれば水槽内はたちまち酸欠状態に陥りますし、温度管理や浄化システムなども停止してしまいます。

ポータブル電源のEPS機能を使えばそんな状況を回避できます。コンセントとエアレーションの間にポータブル電源を挟むことで、万が一の停電時にもポータブル電源からの給電に切替えて生き物を守ります。

DBS1400ProのEPS機能は、停電時に15ms(0.015秒)でポータブル電源からの給電に切り替えることが可能です(通常時はパススルーでコンセントからの給電)。

その他、「ペットの給餌機」や「WiFiホームルーター」「冷蔵庫」など、給電が途絶えては困る状況は少なくありません。

KAZ
KAZ

ただしEPSは簡易電源装置です。「0秒」で切換え可能なUPS(無停電電源装置)ではないので使用状況には注意が必要です。

DABBSSON DBS1400Proを実際に使ってみた!

では実際にDABBSSON DBS1400Proを使ってみた様子をレポートします。

DBS1400Proの外観・デザイン・レイアウト

まずは外観から。

まずはフロントビューとリアビューです。

外観上の特徴としては、黒ボディに暗めのシルバーのバンパーが配され、デザイン上のアクセントになっています。全体的にゴテゴテせずにシンプルシックなデザインです。ボディが大柄なせいで端子やスイッチ類の配置に余裕があります。

液晶の情報パネルは、文字の線が少し細目ですが、一般的な電源と同様の必要な情報を表示しています。中央に充電容量(%表示)とスケール、左側にINPUT(W表示)と動作可能時間(充電時には満充電まで、放電時には残量0までの時間)、右側にOUTPUT(W表示)です。

図は、アルトピアーノのルーフのソーラーパネル(最大出力200W)から充電(毎時123W)している状態です。

また上部ではボディをえぐる形でバンパーがキャリーハンドルになっています。ハンドル部分の横への張り出しはほとんどないのでスペース効率を無駄にしない設計です。またワイヤレス充電機能は持っていません。

天板が青っぽく映っていますが青くはありません(黒です)。光の具合だと思います。

フロント面中央には電源ボタン、その上にライトを配置、電源ボタンの左上にはUSB端子が合計6個配置されています。USB端子の構成は、

  • USB-A(5V/2.4A)…1個
  • USB-A(Fasy Charge)…2個
  • USB-C(PD 30W)…1個
  • USB-C(PD 100W)…2個

となっています。USB-Cが3つあるのはモバイル系への充電を考えると有難いと感じます。

電源ボタンはON/OFFの際に長押しが必要な電源が多いのですが、このDBS1400Proは長押し不要でONになります。OFFの場合は長押しが必要です(短いとスタンバイ状態)。

この他、フロントには「シガーソケット」や「5521端子(×2)」を備えます。

ボディ左サイドには入力端子を集中配置、下側には拡張バッテリーの接続ポートを2個備えています。右サイドにはアウトプット(出力)端子を配置しています。ACコンセントのほか、DBS1400Proを2台並列接続するための端子があります。

左サイドの入力ポートを拡大するとこんな状態です。

端子の形状は一般的なもので、市販のケーブルでの代用も容易です(おそらくメーカーは推奨しないでしょうけれど)。

付属品はこちら。

取説と保証書、ケーブルが3種類付属します(一般的な構成です)。

ちなみに大きくて重い「ACアダプター」はありません。ACコンセントとケーブル直刺しで充電可能です。

アプリによる遠隔監視と操作

DBS1400ProではDABBSSONアプリによる遠隔監視や操作が可能です。

WiFiでスマホと接続し、電源とアプリを連携し、電源のON/OFFの切り替えや、充電時の入力電力を変更などができます。またホーム画面の表示は

  • 標準…各ポートの入出力電力を表示
  • エネルギーフロー…接続機器のエネルギーフローをリアルタイムに表示

2通りから選ぶことができます。

アプリで重要なのはどんな設定ができるのか…です。単に入出力値が確認できるだけならアプリの価値はあまりありませんから。

アプリの設定画面には8つの項目が並んでいます。

  • 充放電設定…AC出力電圧(100~120V)や充電効率(50~1500W)、急速充電モード(ON/OFF)、周波数切替(デフォルトは自動設定)が設定可能です。
  • 時間管理…ONタイマー、OFFタイマー、入力タイマー、出力タイマーが各々ON/OFFできます。
  • 省エネモード…スタンバイモード(※)、AC出力待機時間、DC待機時間、画面待機時間が設定可能です。
  • ファームウエアアップグレード…アップグレードが配信された際に動作するようです。
  • 現在のバージョン…現在のウエアのバージョンを確認できます。
  • 共有デバイス…ちょっと何がどう動作するのか分かりませんでした(メーカー問合せ中)
  • その他…タッチ音(ON/OFF)、パネルUIスタイル(ホーム画面の選択)、デバイスログを設定確認

かなり色々な設定が可能です。特に充電効率は少し控えめに設定しておくことで、バッテリーに優しい充電が可能かと思います。バッテリーは何につけても「急」な動作が苦手なので。

定格出力2400Wと「P-Boost」を試してみた

定格出力2400W(瞬間最大4800W)および「P-Boost」(最大3000W)を試してみました。

使用した家電は以下の3台です。

  • HAGOOGI 電気ケトル(左)… 消費電力900W
  • 山善 電気ケトル(中)… 消費電力1000W
  • サーモス コーヒーメーカー(右)… 消費電力700W

これらを同時に使用すると、カタログデータ上では2600Wとなるので、DBS1400Proの定格出力を上回ることになりますが、果たして一気に大出力の負荷をかけた場合の反応はどんなもんでしょうか。当然ファンが動作するはずですが、騒音も気になるところです。

まずHAGOOGIの電気ケトルで湯沸かしからスタート。消費電力900Wとありますが、DBS1400Proに表示された出力は860~870W程度でした。この段階ではファンは動作しておらずまったく静かなままです。

次にもう1台、電気ケトルを追加。「山善YKG-C800」で消費電力は1000Wです。カタログデータでは1900Wの出力になるところ、実際には1820W前後でした。この時点でもファン音は静かで、本体が熱を帯びることはありませんでした。

この程度の出力でのDBS1400Proは静粛性が高く安定した動作をしている印象でした。

最後にサーモスのコーヒーメーカーTHERMOS ECJ-700(消費電力700W)を追加。計算上では2600Wの消費電力となるはずです。実際3台への出力を開始した直後は2500W台後半の出力を示していましたが、すぐにスルスルと出力が落ちて、定格出力の2400Wを下回る数値で落ち着きました。

この時点で「P-Boost」が動作して機器の電圧を下げ、3台合計の消費電力を2400W以内に収めたということなのでしょう。

この時点で、さすがにファンが勢いよく回って電源内の冷却を開始しました。音量もまあまあの大きさですが、消費電力MAXで動作させているのでそれは致し方ない部分かと思います。

KAZ
KAZ

実はこの実験、家庭の壁のコンセントでは不可能です。壁のコンセントは1500Wまでですので、こんな使い方をしたらブレーカーが吹っ飛びます^^; と言うことは逆に考えれば、大消費電力家電は壁のコンセントより高出力のポタ電経由で使った方が、一度に使える家電が多い…ということになります。

最大1500W急速充電を試してみた

急速充電を試してみました。

本体左側面の「AC急速充電ボタン」を『FAST』に切り替えるか、アプリから設定することで急速充電が可能となり、ACコンセントからMAX1500Wでの充電が可能になります。

容量0%→80%の急速充電を実際に試すのは嫌(バッテリーが劣化する)なので、簡易的な充電時間の計測を行いました。トリクル充電が作動しない容量50%→70%の20%充電にかかる時間を計測して、それを4倍して80%充電として換算する方法です。

ACコンセントにケーブルを接続して急速充電を開始してから

  • 約1分11秒後に最大充電電力1400Wに達した時点(容量50%)を計測開始点

とし、

  • 容量が70%に至った時点を計測終了点

として、この間の時間を計測しました。

開始01分11秒→終了13分38秒の間は12分27秒となります(写真のタイマー参照)が、これを4倍(80%換算)すると49分48秒になります。

スペック上では『45分で容量80%』ですので、それに近い数値になりました。少し時間が長めなのは、AC100Vに設定して充電したためで、DBS1400Proの最大120Vで充電した場合には公称通り『45分で80%』が実現するのではないかと思います。

簡易テストではありますが、かなり信ぴょう性のあるデータが取れたのではないかと思います。

ちなみに1400Wでの急速充電中の騒音は、排気ファンの前で33.6dbでした。

図書館、日中の閑静な住宅街の騒音が約40dbと言われていますので、DBS1400Proの充電時はかなり静かと言えそうです。実際の耳に届く音も低めのファン音で不快感の少ない音質と感じました。

BMS(バッテリー管理システム)搭載

リチウムイオン電池は「フル充電」「フル放電」でダメージを負ってしまいます。

しかし、DBS1400ProをはじめDABBSSONのポータブル電源には「BMS(バッテリー管理システム)」が搭載されており、充電したまま放置した場合でも、パネルでの表示は100%でも実際には100%よりわずかに手前で充電を終了しバッテリーを保護する仕組みになっています。

逆に放電時も同様に、パネル上では0%と表示されていてもまったく電力を使い切らずにバッテリーを保護するようになっているので安心です。

急速充電をOFFにし、充電効率を1200Wに設定すると1200W上限での充電を開始します。動作途中の切り替えでも即座に反応します。充電効率は最小50W~最大1500Wまで設定可能です。

この時、ゆるくファンが回っていましたが、ファン開口部の騒音は25db程度でした。音質がザラついていないせいか数値以上に静かに感じました(急速充電時の騒音は計測し忘れましたので後日追加します)。

この後、充電容量が88%を超えたあたりから、設定とは無関係に充電量が減少しました。おそらくバッテリー保護のためのトリクル充電に移行したものと思われます。

リチウムイオン電池は「フル充電」「フル放電」を嫌い寿命を短くしてしまうため、充電はできればトリクル充電が始まったら終了するのがバッテリーを長持ちさせるコツです。筆者的にはDBS1400Proも、最大充電容量80~90%に留めて使用しようと思っています。

DABBSSON DBS1400Proを実際に使って感じた良い点・残念な点

ここまでDABBSSON DBS1400Proを実際に使ってみて感じた良い点・悪い点を挙げてみます。

【よかったポイント】

  • 半固体リン酸鉄リチウムイオン電池の採用
    やはり何と言ってもこの電源の一番のポイントは半固体電池の採用だと思います。従来安全性の高さから主流となっているリン酸鉄リチウムイオン電池の電解質をゲル化し「半固体」とすることで、リン酸鉄リチウムイオン電池の安全性や長寿命をさらに高めています。
  • 拡張バッテリーの採用
    20.5kgの重量は決して軽いものではありませんが、本体を車載してキャンプや車中泊に出かけられるギリギリのサイズ感・重量かと思います。自宅内では節電対策や停電時への備えとして拡張バッテリーで容量をアップして電力を確保できる点で、携帯型と据え置き型のいいとこどりで利用できそうです。
  • 定格出力2400W+P-Boost3000W
    拡張バッテリーで容量を増加した場合でも出力不足になりにくい高出力は良心的と感じます。自宅の壁のコンセントで使えない1500W超の出力でもDBS1400Proを介して利用可能です。さらに家電の消費電力が定格出力を超えた場合でも電圧を下げて定格出力内で動作させられる「P-Boost」も〇です。あと100W足りなくて動作しない…なんて残念なことになりにくいGood装備です。
  • 筐体がしっかりしていてチープ感がない
    特に安い製品は外装の樹脂が薄くてペコペコな場合がありますが、使用していく中で触るたびに感じるチープ感は気になるものです。DBS1400Proはしっかりした筐体で、コンコンしても共振してしまうことなくしっかり中身が詰まった音がします^^これって意外に重要だと思っています。
  • USB-Cを3口装備
    USB-Cを3口装備でいずれもPD(パワーデリバリー)対応、30W×1、100W×1は有難いと感じます。
  • 全体としてコントロールが行き届いてしっかり感のある電源
    出力時や充電時を含めて動作が安定しており、電源管理がしっかり行き届いている感があります。筐体のしっかり感とも相まって、全体として信頼感のあるしっかり感を感じます。

【残念ポイント】

  • メーカーが無名
    これは最初はどのメーカーだって「初見参」ですが、ここ最近になって急速にDABBSSONというメーカー名を耳目にするようになってきましたが、まだまだ日本では無名の存在である点は不安要素ですが、公式サイトを見ると「製品は日本国内から発送」とありますし、「5年保証」「30日間返金保証」、不要になった製品の無料回収(送料別)を実施するなど、日本でしっかり事業をやっていこうという意思のようなものを感じました。
    現時点では日本法人も設立されていませんが、今後、メーカーとして日本国内でどこまで信頼を得られるのか注目してゆきたいところです(製品はかなりレベルが高いと感じました)。
  • 大きい・重い
    同クラスの他社製品と比べると、サイズ的にも従量的にも大きく重い印象です。製品の性能に関わる問題ではないので重大な問題ではありませんが、もう少し小型軽量だとよかったかな…と感じます。
  • 最大充電量の設定ができない
    筆者的には他社製品でもずっと同じことを言っていますが、アプリで最大充電量を設定できるといいな…と思います。リチウムイオン電池は「フル充電」を嫌い劣化の原因になるので100%に至る前に強制的に充電が停止できたらいいなと思います。
  • 前面集中配置でない
    これも筆者が常に主張していることなんですが、入出力端子やスイッチ類は前面パネルに集中させた方がユーザーは使い勝手が良いと思うんです。特に狭い車中泊の時などは側面や背面に端子やスイッチがあるのは使いにくいです。せっかく大柄で全面にスペース的余裕があるので前面集中配置にして欲しかったです。
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DBS2100Proという選択肢~さらなる大容量

もう少し本体容量が欲しい…という場合には、容量を2150Whまで拡大したDBS2100Proという選択肢もあります。DBS2100Proも今夏に発売されたDABBSSONの最新モデルです。

DBS2100Proの基本スペックはDBS1400Proと同等ですが、拡張バッテリー「DBS2100B」接続による容量拡張は最大6,450Wh、DBS2100Pro×2台並列接続の場合は最大12,900Whにも及びます。

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【案件記事について】

本稿はDABBSSON社から製品(DBS1400Pro)の提供を受けて執筆しています。これをもって「提灯記事(※)ではないのか」「いいことしか書いていないのでは?」とお考えの方もいるかもしれません。しかし今はSNSが普及しておりメーカーにとっても執筆者にとっても誤魔化しの効かない状況です。逆に率直な内容でないことが露見した場合には、メーカーにとっても執筆者にとっても『命取り』になり得ます。

そのためメーカーは提供品を出す場合には自信のある製品を出す傾向にありますし、ブロガーも率直な意見を書くことでブログ自体の信ぴょう性・信頼性を高めようとしています。そういう意味では、いわゆる「案件」と呼ばれる記事に記載の情報が正しくない、率直でないということは心配しなくてもよいのではないかと思います。少なくとも当ブログでは「思ったことは書く」というスタンスで運営してきましたので、本稿についてもそれは同じです。

※提灯記事とは
「特定の個人や団体、商品などについて、事実よりも良く見えるように誇張して書いた記事」のこと

DABBSSON DBS1400Pro まとめ

今回はメーカーからの提供によって、話題の半固体リン酸鉄リチウムイオン電池採用のポータブル電源をテストしてみました。

何と言っても注目は、従来のリン酸鉄リチウムイオン電池よりもさらに安全性を高め、充電サイクル4000回超の長寿命を誇る『半固体リン酸鉄リチウムイオン電池』の採用です。また壁コンセントでは不可能な2400Wの高出力も使い方によっては実用性がありますし、最大11.3kWhまで拡張できる充電容量は災害等による長期間の停電時の電力確保において有用と感じます。

それでいて、同容量の他社製品と比べても価格が特に割高な設定ではないので、その上でより安全、より長持ちするなら十分チョイスする価値はあるように感じました。製品としてもしっかり作り込まれた感覚があり、動作も安定していたと感じます。

メーカーに日本法人がないのが少々気にはなりますが、製品としてのレベルは高いと感じました。また国内発送(と言うことは国内に拠点があるということ)や、5年保証、製品無料回収の実施など、日本国内での取り組みは評価できるものと感じました。

従来よりさらに安全性を求めるのであれば、購入候補に入れて検討する価値は十分あるのではないかと思います。

それでは今日はこの辺で。

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