なんと、伊豆・河津バガテル公園(バラ園)が閉園となるとのこと。
突然のことに驚き、悲しんでいます。
毎年、最低でも春バラと秋バラの時期にあわせて年2回は訪問していたバラが見られなくなってしまうなんて信じられません。
写真フォルダーを見ると、最初の写真の日付は2015年なので、もう11年も通い続けてきたことになります。
バガテル公園は、春バラの季節ということもあって、今回の日帰り伊豆ドライブの最大の目的地でした。例年通り、春バラを鑑賞して癒されに出かけたのに、入り口に「公開終了」の案内が…。
2026年の春バラの紹介と、バガテル惜別の思いを綴ります。
河津バガテル公園とは~もっとも愛したバラ園

河津バガテル公園は、伊豆・河津町の山あいにあるフランス式庭園をモチーフにしたバラ園です。
名前の「バガテル」は、フランス・パリにあるバガテル公園に由来しており、園内には幾何学的に整えられた庭園や洋風建築が配置されています。伊豆の自然に囲まれた立地でありながら、どこかヨーロッパの庭園を歩いているような空気感がある場所です。
園内には数千株ものバラが植えられており、春バラと秋バラのシーズンには、多彩な品種が次々と花を咲かせます。
特に印象的なのは、ただ花数が多いだけではないところです。
一輪一輪の花を近くで眺めたり、香りを楽しみながら歩ける距離感で植栽されており、バラ好きほど長居したくなるような空間になっていましたと感じます。
実際、強香種も所々に植えられており、品種による香りの違いを楽しみながら園内を回るのも楽しみの一つでした。
筆者夫婦は、2017年から通っているので、「あの角を曲がると今年もあの香りがするはず」と、植えられている場所まで自然と覚えてしまったほどです。
また、河津バガテル公園の魅力は、混雑しすぎないことにもありました。
首都圏の人気バラ園では、満開シーズンになると写真撮影スポットに人が集中し、ゆっくり立ち止まるのさえ難しいこともありますが、河津バガテル公園には、静かに園路を歩ける「余白」がありました。
ベンチで休みながら風を感じたり、気になった品種の前で足を止めたり、自分のペースで庭園を楽しめる。そんな空気感が、この場所ならではの魅力だと思います。
数あるバラ園の中でも、もっとも多く訪問し、そのたびに違った表情で迎えてくれるバガテル公園は、筆者夫婦が最も愛したバラ園といっても過言ではありません。
バガテル公園が最も愛したバラ園だったわけ

筆者は川崎市在住ですが、横浜市との境界近くのため生活のほとんどは横浜市です。
横浜市の市花は「バラ」で、筆者自宅からさほど遠くない場所にバラ園が点在しています。
- 横浜イングリッシュガーデン(約15km/30分)
- 港の見える丘公園(約20km/30分)
- 山下公園(約20km/30分)
- イングリッシュローズの庭(約20km/30分)
- 生田緑地ばら苑(約8km/20分)
- タカナシ乳業バラ園(約25km/40分)
- 神代植物公園 ばら園(約25km/60分)
どのバラ園も最大25km圏内で、クルマで20~30分、最も時間のかかる「神代植物公園」まででも1時間以内で到着できます。
それに引き換え、河津・バガテル公園までは、ノンストップで走っても3時間、休憩や渋滞などを加味すれば4時間はかかる「ちょっとした遠征」です。正直、当日朝に出発しての日帰りはキツイですし、週末や祝日は渋滞がひどく日帰りはかなり難しい日程となります。
それでも、一番通ったバラ園がバガテルだったのには明確な理由があります。
上記の中で最も多く訪問したのは「横浜イングリッシュガーデン」と「港の見える丘公園・山下公園」です。
横浜イングリッシュガーデンも、港の見える丘公園も素晴らしいバラ園です。自宅からのアクセスも良く、往復に時間を取られずに行けて、バラの密度も高く、演出も上手で写真映えするポイントを用意してくれています。人気があるのもよく分かります。
ただ、年々来園者が増えてのんびり過ごせなくなっているのも事実です。春バラのピーク時には人の流れに合わせて歩くような感覚になることも増えてきました。立ち止まって香りを感じたり、木陰のベンチで少し休んだり、光の入り方を待ちながら写真を撮ったり…そんな「バラに囲まれてゆっくり過ごす時間」が、自分の中では少しずつ難しくなったと感じました。
我が家は夫婦とも「バラの香り」が好きでバラ園に通っているので、強香種のバラの前ではどうしてもゆっくり香りを楽しみたいと、歩みが遅くなり、立ち止まることが増えてしまい、ちょっと肩身の狭い思いをすることが増えました。
一方のバガテル公園。
自宅から3~4時間もかかり、決してアクセスが良いとは言えません。伊豆の観光地として見ても、河津桜の季節以外は伊豆の中でも比較的落ち着いた空気の流れるエリア(実は菖蒲園とかあるんですが)で、なかなか人を集めにくい場所です。
それだけに、このバラ園には独特の静けさがありました。
平日に訪れると人影もまばらで、広い園内を静かに歩ける時間も少なくありませんでした。まばらな来場者のさらに少ない方、少ない方へ歩けば、滅多に人と重なったり、すれ違ったりせずにバラを楽しむことができます。
3ヘクタールの広大な園内の1100品種/6000株のバラを独り占め…なんてことも叶うバラ園です。園路を歩いていても、聞こえるのは風の音や鳥の声くらい。人で溢れ返ることも少なく、自分のペースでバラを眺めることができるんです。
どこのバラ園が良い・悪いではなく、自分がどこで落ち着けるのか、バラを楽しめるのか…と考えた時に、多少の時間を使って3~4時間かけて伊豆まで運転したとしても、バガテル公園が「しっくり来る」、そういうことだったんだと思います。
でも、閉園が決まった今になって思うのです。
これまで自分たちが魅力だと感じていた「静けさ」や「人の少なさ」は、庭園を維持していくという意味では、とても厳しい現実でもあったのだと。あれほど贅沢に感じていた時間は、実は決して当たり前ではなかったのかもしれません。
河津バガテル公園が2026年9月で公開終了へ

今回も、2026年春バラを見よう…と出かけて、衝撃の告知を目にすることになりました。
河津バガテル公園
2026年9月末を持って公開終了
なんと、「河津バガテル公園」が、2026年9月をもって公開終了になるそうです。
通常ならチケットを購入する販売棟に案内が掲示されており、管理運営事業者を募集していたものの応募がなく、公開終了が決定したとのことでした。閉園までは無料開放となる旨も記載されていました。
春バラと秋バラの季節になると何年も通ってきた場所だっただけに、この知らせはかなり衝撃でした。
河津バガテル公園は、伊豆の山々に囲まれた静かな立地にあるフランス式庭園で、派手なアトラクションもなければ宿泊施設も併設されていません。首都圏からも遠く、クルマで3時間以上もかかることもあって、あまり混雑せずに季節のバラを楽しめました。
園内を歩けば、都会の喧騒は届かず、鳥のさえずりと風の音しか聞こえない静けさの中で、人の流れに急かされることや撮影スポットの順番待ちもなく、自分のペースでバラを眺めたり、香りを楽しんだりできる。そんな空気感が、首都圏の人気バラ園とは少し違っていました。
でも逆に言えば、そうした「都会から遠い」「目立ったアトラクションもない」「宿泊施設も併設されていない」といった、『静けさ』を構成する要因が、閉園に繋がる要因だったのかもしれません。
今回の公開終了の告知は、自分にとっては「単にひとつの観光施設が閉まる」というだけの感覚ではありません。毎年、春と秋になると自然に向かっていた「いつもの場所」「恒例行事」がなくなってしまう寂しさがあります。
維持管理の大変さを考えれば簡単なことではないのでしょうし、地方の大型庭園施設を続けていく難しさもあるのかもしれません。河津町主体で運営され、指定管理者が実際の運営を行ってきたのだと思いますが、やはりあれだけの施設で「静か」では赤字なんでしょうね。
今回も新たな指定管理者を募集したけれど、手をあげる人がいなかったので閉園ということで、赤字では致し方ないのかな…と思いますが、それでも、こういう静かな庭園が少しずつ失われていくのは、やはり残念です。
クラウドファンディングなどで資金を集めたら何とかならないのか?
などと素人がいくら考えても存続の具体策など見つかるはずもなく、公開終了までの間に、新たな担い手が現れてくれないだろうか…そんなことを、つい考えてしまいます。
河津町にはもう一つ全国的に有名な「花」があります。
河津桜です。
川沿いに咲いた濃いピンク色の桜は、多くの見物客を招き、毎年、渋滞や駐車場満車状態を招くほど人気を博しています。それに引き換え…と考えると、寂しくてたまりません。
ただ心配なのは、今まで丹精込めて育てられてきたバラたちが、今後はどうなるのか…という点です。閉園しても世話は続けられるのか、あるいは放置されて朽ち果ててゆくのか…。せめて毎年花を付けられる程度の世話は続けて貰えたら…と、それだけが心配でなりません。
公開終了まで4ヵ月あまりですが、「春バラ」は今がラストチャンスです。
おそらく、7月ぐらいまでは春バラが楽しめると思うので、もう一度、訪問したいと思っています。
バガテル公園、過去11年間のベストショット

2015年から11年間、毎年バガテル公園に通う中で、素人のスマホ写真ですが「これは!」と思うような写真が何枚か撮れていますので、紹介させてください。
もう何年も前のことなのに、写真をみるとその時の状況や何を意図して撮影したのか…などが蘇ってきます。こういう記憶ってずっと消えないんですかね。だといいです。
この日は、バガテルに到着する頃に雨が上がったタイミングで、花にも葉にも雨滴が残っている珍しい場面を撮影できました。品種はいずれも強香種で、よい香りを楽しめます。ホワイトクリスマスは石鹸のような爽やかであまい香り、クリムゾン・グローリーは香水のような濃厚な香りです。いずれも筆者が自宅でも育てていた一番のお気に入り品種です。


この日は、良いお天気だったので、途中、伊豆高のパン屋さん「ル・フィヤージュ」に立ち寄って好きなフランスパンを買ってゆきました。バガテルに到着したのは昼少し前で、園内のベンチでパンと持参のコーヒーでランチにしました。
※イベント参加の注意事項に「飲食の持ち込みは禁止」が記載されるケースもあるので、公園利用時には事前に公式の案内を確認してください。
ラ・フランスは最初の「ハイブリッド・ティー」として有名で、玉のような蕾の状態からめくれてゆくように開くさまが他のバラと違っています。また強香種で、甘いムスクのような香りが楽しめます。この品種も自宅で育てていました。
もう1つは品種は分からないのですが、姿かたちや色合いが筆者の好みドンピシャです。ほぼ理想形に近いので撮影したんだったと記憶しています。
この日は「黄色いバラ」に注目して園内を回りました。一口に黄色いバラといっても、姿かたちや花びらの様子など様々で、こうして並べてみるとその違いを楽しむことができます。また、強香種でない品種でも、黄色いバラ特有の香りが微かにあって楽しめます。
この日はどんよりした曇り空で来場者は皆無、貸し切り状態でした。しかも花の咲き具合ははかなり良くて思う存分春バラを楽しめました。この日の写真は「キオスク」にこだわって、背景にキオスクを入れて撮影しました。
秋晴れのこの日はとにかく空が綺麗で、空を入れた写真ばかり撮っていました。この当時のクルマは「CX-5」だったんですが、CX-5でのバガテル訪問はこれが最後になりました。
大好きな「ラ・フランス」の開き方が異なる花を撮影しました。この花は本当に変わった開き方をするので、つくづく観察してしまいます。2018.11.08の花と3枚で比べると、玉上の蕾から1枚づつ花弁が開いてゆく様がよくわかります。花弁の先がカールしているのがなんとも可憐です。
ラ・フランスの開き方の違いの流れで、この日は「花弁の形の美しい花」に注目して撮影しました。もちろん美しいといっても、筆者の好みの形や折り重なり方ですけれど。
筆者の好みは第一に「高芯剣弁咲き」。花の中心部が高くなっていて花弁が尖った形になるタイプを指します。①②③が高芯剣弁咲きになります。④はもう一つ好きなカタチで「ロゼット咲き」です。中央がクシャクシャっとなっていてボリューミーです。真ん中が4つに分かれているタイプもあって、それは「クオーターロゼット」といい、これも好きな咲き方の一つです。
バガテルではいつからか正門左手の温室で「食べられるバラ」を試験的に育成し始めました。こちらはその中の1つで「ドフト・ボルケ」(香りの雲=ドイツ語)で、名前の通り非常によい香りを強く放ちます。自宅でも育てていた品種で、お気に入り品種の1つです。



この日は「ロゼット咲き」に注目しました。①と③はクオーターロゼットと呼んでいいと思います。①は綺麗にブロックが分かれて(4つ以上に見える)いて典型的なクオーターロゼットって感じです。③の方は、花弁が長くて花芯までが深いタイプです。①のようにブロックが綺麗に分かれてなく不規則ですが、その分、花弁がフリルのようになっていてゴージャスな感じです。②も同様のタイプですが、花弁自体がフリルのような形状になってさらに複雑です。

こんなこだわった写真の撮り方ができたのも、人が少なく静かなバガテルならでは…と思うと、閉園が惜しくて惜しくて…。
11年間で最高の一瞬を切り取った動画
何年も通っていても、自然相手なので、毎回ベストな状態に出会えるわけではありません。
開花が少し早かったり、逆にピークを過ぎていたり、雨や強風で花が傷んでいることもあります。でも、ごく稀に「今年はすごい」と思う瞬間に出会えることがあります。
下の動画は、11年間通った中でも、おそらく最も印象に残っている2019年春バラの風景です。
アーチの咲き具合、花の密度、光の入り方。どれを取っても、自分の中では「これがベストだった」と思える景色でした。しかも、普通に開園している時間帯だったにもかかわらず、動画には他の来場者がほとんど映り込んでいません。
満開のタイミング、自分たちの休み、天候、人の流れ。
いろいろな条件が偶然重なって、たまたま撮れた映像でした。今見返しても、「あれは奇跡的な時間だったな」と思います。
※BGMが入っています。音量にご注意ください。























