今回は、スキレットを使ってトンテキを焼いてみました。
自分的には豚肉料理が結構好きで、まずは「とんかつ」、薄切り肉なら「生姜焼き」厚切りなら「トンテキ」、バラブロックなら「角煮」でしょうか。豚肉のカレーも好きですし、豚丼も牛丼に劣らず好きです。今回はこの中からアウトドアでもスキレットでぱぱっと作れるトンテキを選びました。
スキレットの中でジュウジュウ焼ける分厚い豚ロースは香ばしくて食欲をそそりますが、さらに味付けに自家製にんにく醤油を使う事で、「これ絶対白いご飯が旨いやつじゃん」と期待が高まります。
前日の仕込みやにんにく醤油の作り方を手順をご紹介します。
そもそも「とんてき」とは何ぞや?
「とんてき」は「豚=とん」の「ステーキ=てき」です。
しかし、本来のステーキとソテーの調理法とは異なったネーミングです。
というのも、ステーキは中がレアやミディアムに肉の焼き加減を調整する調理法で、ソテーは完全に火を通す調理法で、ステーキでいうところのウエルダンに相当します。
生で食すことができるのは牛肉だけなので、ステーキは牛肉の調理だけ調理法と言ってもよく、火を完全に通さなければならない豚や鶏肉はソテーというのが正しいのですが、「とんてき」は一般的な豚肉のステーキを表す言葉ではないのです。
発祥のお店、四日市市の「来来憲」が出していた固有のメニューなので、調理法とは異なるけれど、そういう名前なのだということなんです。
とんてきと名乗るための条件は以下の通りです(ネットで調べた情報)。
料理名として厳密なことを言うと、豚肉や鶏肉など完全に火を通さなければならない肉料理はステーキではなく「ソテー」と言います。豚肉を半生で食べるなどもっての外ですので、この料理は本来は「豚ロースのソテー」が正しい呼び方になります。
前日仕込みで豚ロースを柔らかくしておく
使う肉は、ロースでも肩ロースでもいいんですが、少し脂がある部位の方がトンテキには向いているかなと思います。今回はロースにしました。また少し厚みがある方が旨いと思います。
ハサミで、周囲に深めの切れ込みを入れて(筋切り)グローブみたいにします。このカタチがトンテキのトレードマークです。
これは秘密兵器。「お肉やわらかの素」といいます。
「お肉やわらかの素」は、パイナップルの酵素で肉を柔らかくする製品で、酢豚にパイナップルが入っている理由と同じで酵素の働きに期待するわけです。
5分で効果があると記載がありますが、我が家は前日に仕込んでおくようにしています。
【裏情報】実は「舞茸」にも酵素がたくさん含まれているそうですので、漬け込む際に舞茸も一緒にいれておくと、肉が柔らかくなるだけではなく、舞茸のうま味も肉に入るかもしれません。
ラップで包んで冷蔵庫で保管、翌朝、クーラーに移してキャンプやBBQに持ってゆきますが、冷凍までする必要はないと思いますが、チルド程度で少し凍る程度にしておくとちょっと安心感があるかもしれません。
スキレットで肉を焼く手順とコツ
今、キャンプで使っているスキレットは3月に新たに買い直したものです。
パール金属の非常に価格の安いものですが、シーズニングをしっかり実施しているので、いきなり肉をポンと乗せても焦げ付くことはないようにしてあります。
①脂身から焼き始める
最初は豚肉の脂身から焼き始めます。
スキレットは油をひかなくても大丈夫なぐらいシーズニング完璧ですが、心配ならうっすら油を引いておきます。
トングなどで豚肉を持って、スキレットの鉄板に押し付けるように脂身を焼きます。
②脂身から出た脂で赤身片面をゆっくり焼く
少し焼いていると、焼き色がついて(メイラード反応)いい香りがして脂が染み出してきますので、赤身の部分は豚肉の脂で焼くような感じにします。
キャンプ場の焚き火や炭火での調理の場合は火力調節が難しい場合がありますが、あまりに大火力で焼いてしまうと肉が固くなってしまうので、弱火~中火程度でゆっくりじっくり焼くことを意識します。
③片面は少し火力をあげて香ばしさをつける
先に焼く片面は弱火でじっくり火を通しながら焼き目をつけてゆきますが、反対側は少し火力をあげて香ばしさを加えつつ焼き上げます。
脂身からどんどん脂が溶け出すので、油切れにはならないと思いますが、焦げてしまうほどなら脂を足してやります。
④両面焼けたらタレをかけて味つけ
肉が焼けたら味付けです。
トンテキというとソース味やケチャップ味が多いのですが、我が家のトンテキはにんにく醤油のガツン系です。
スキレットが熱い状態でニンニク醤油を回しかけ、水分を飛ばしながら好みの濃さに調整します。
この「にんにく醤油」は自家製です。レシピは以下の通りです。簡単です。
蜂蜜は控えめに。あまり甘くしない方が肉の旨さが引き立ちます。
この状態で密閉容器に入れて最低一週間、2~3週間ぐらいから香りが立ちはじめます。
画像の状態で約2~3週間といったところで、すでににんにくの香りが醤油に移ってきていますが、もっと漬けておくとさらに旨さ倍増です。
ちなみにニンニク醤油を作っている容器は「ガムボトル」です。匂いが漏れず、使い捨てできるので便利ですよ。
盛り付けて出来上がり
いつものプレートに盛り付けました。
グローブ肉に濃い味のタレ+ニンニク醤油+千切りキャベツで「豚ロースのとんてき」完成です。
付け合わせには、大粒で甘い何ちゃらトマト、原種に近いらしい四葉(すうよう)きゅうり、我が家の庭で採れたジャガイモのポテトサラダ(人参・玉ねぎ・胡瓜入り)です。
肉を焼く際には、ニンニク醤油に漬かっているにんにくを1個スライスして一緒に焼いて、にんにく風味を上乗せしています。
また、肉には薄力粉で薄衣を叩いておくと、タレが絡みやすくなります。カタクリだとドロドロになってしまって、肉が箸で掴めなくなります(笑)。
スキレットのシーズニング方法
スキレット(=Skillet)は、日本では特別な意味を持った言葉です。
本来の英語でのSkilletには、日本で言う「鋳鉄の分厚く小ぶりなフライパン」という意味はなく、単なる「小さなフライパン」の意味しかありません。
鋳鉄とは、溶けた鉄を型に流し込んで作る製品(=鋳物いもの)ですので、日本で言うスキレットは、鋳鉄で作った分厚く小ぶりなフライパンという意味になります。
中華料理店の野菜炒めの野菜が火が通っているのにパリっとしていて瑞々しいのは、コンロの火力の強さと、中華鍋の分厚さによって食材を投入しても鍋温度が下がりにくく、熱を素早く均一に食材に伝えられるからだと言われます。
同様に、 スキレットの良さも、その厚みによる冷めにくさや均一な火通りや、調理後も持った熱を逃がしにくく冷めにくい点にあります。
重くて使いにくい…という方もいるかもしれませんが、自分的にはスキレットは中華鍋やフライパンとは違って「振る」ことはないので重くても特に大丈夫…と思っておます。
それよりも、食材がクタクタにならず本来の食感や味を残したまま調理でき、火からおろしてもなかなか冷めにくい等のメリットを評価したいと思います。
キチンとした事前準備=シーズニング重要
さてそのスキレット。
最初から使い勝手がよいわけではありません。
焚き火や炭火でガンガン熱しても、肉でも玉子でも「するん」とこびり付かない「鍋肌」を作るには最初に『シーズニング』を行う必要があります。
スキレットに限らず、家庭用のフライパンでも同じですが、テフロン加工などの「こびりつかない加工」がされていない「鉄のまんま」の調理器具には使い始める前に必ず事前準備が必要です。
筆者は「焼き入れ」という言葉で覚えていたのですが、最近は「シーズニング」などというオシャレな言い方をするようです。要は、鉄を焼いて油をしみこませて「錆び」や「こびりつき」を防止する対策をしておくと言う事です。
これを怠ると、何度使ってもこびりつくフライパンになってしまうだけでなく、底面や持ち手の部分等がすぐに錆びてしまい、やたら使い勝手が悪く、いちいち手間のかかる道具に成り下がってしまいます。
適切なシーズニングを施しておけば、その後の手入れはとての楽になり、使い勝手抜群の調理器具として愛着がわく事間違いありません。
テフロン加工されたフライパンも使い勝手はいいですし、後始末も不要で便利なんですが、肉の味とか、野菜のシャキシャキ感などはやはり分厚く重い鉄製スキレットの方が勝っていると思うので、キャンプの際には必ず「自分流シーズニング」を施した『するるんスキレット』を持参します^^
一番簡単なシーズニングの方法
面倒くさがりの筆者ですが、フライパンやスキレットのシーズニングだけは、最低限、きちんとやっておこうと思っています。本項では「これだけやっておけば大丈夫」という最低限のシーズニングの方法を紹介します。
一口にシーズニングといっても、さまざまなやり方があり、スキレット愛好家の皆さんはそれぞれに「一家言」お持ちの事と思いますが、ここでは最低限これだけは…という自分流の方法を紹介しています。
購入したスキレットは台所洗剤でゴシゴシ洗う
まずは洗いましょう。
店頭のスキレットは錆防止のための薬品などが塗布されていますので、これを取り除くためにタワシでゴシゴシと徹底的に洗います。最初は洗剤をつけて洗ってしまって大丈夫です。というか洗剤を使わないと「錆止め」などの薬品を洗い落とせないので洗剤でしっかり洗いましょう。
洗ったスキレットに水を張り煮沸し洗い流す
次は煮沸です。
お湯をガラガラ煮る事で、洗剤では取り切れない汚れや付着物などを浮かせ、その後、水洗いまたは再び洗剤を使って汚れを流します。
スキレットの表面を焼く
家庭のガスコンロなどでスキレットを焼きます。
ガスコンロの過熱防止機能が働いても(キャンセル機能があれば)なお焼き続け、洗剤でも煮沸でも取り切れない付着物を焼き切ります。しっかり加熱されるとスキレットの表面がうっすら白くなるはずです。
洗剤で洗う、煮沸する、焼く…の3つの工程で、おそらくスキレットの表面の不純物はほぼ除去できたはずです。
スキレットを冷まし油を全ての面に塗布して再び焼く
焼いたスキレットをガスコンロからおろし(乗せ放しでも問題ない)冷まし、手で持てる程度になったら、全ての面に油を塗布します。
ここで水に浸して急速に冷まそうと思わないでください。ヘタすると割れる可能性があります。
油は加熱可の食用油(例:亜麻仁油は加熱不可の油)であれば何でも良いですがオリーブオイルなどの「良い油」よりも普通のサラダ油が向いています。
持ち手の部分も底面も側面も全ての面に塗布(薄くで構いません)したら、再びコンロで加熱し、塗布した油を焼き切ります。
白い煙が出なくなったら冷ます
油を塗布して加熱すると白い煙がでます。
白い煙が出なくなるまで焼いたら火を止めてスキレットを持てる程度まで冷まします。
④~⑤を最低3回繰り返して完了
最初の油の塗布から、油の焼き切り(煙が出なくなる)を1セットとして、最低3セット繰り返します。もし時間に余裕があればもっと多くても構いませんが、効果はそう変わらないはずです。
通常のお手入れは水洗いと焼きだけで十分
一旦シーズニングを完璧に施したスキレットは、毎回毎回同様の手間をかけなくても大丈夫です。
使ったらタワシで水(お湯)洗いして、焼いて水気や食品の残りかすを焼き切っておくだけです。
汚れがひどい場合には煮沸をすれば取れやすくなります。
油は都度都度に塗布して置いても良いですが、次回使う際に炒め用の油を注いで加熱するだけでも大丈夫です。
コツは洗剤で洗わない事と、金タワシ等でガリガリに削ってしまわない事です。
今回は、シーズニング済みのスキレットで「豚ロースのとんてき」作ってみました。
完璧にシーズニングされたスキレットは、強火で肉を焼いてもまったくこびり付きません。分厚い鉄で焼いた肉の旨さは格別なものがあります。
さらに、自家製ニンニク醤油を煮詰めて濃くした味つけなので、絶対的に白飯が合うのは一目瞭然。実際、白いご飯の上にワンバン(One Bound)で肉と米を口に放り込めばバカ旨パラダイスが訪れます。
旨いぞ~、ぜひお試しあれ~。
それでは、今日はこの辺で。
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