アルトピアーノのルーフにソーラーパネル取付けが実現しました。今回はついに実現した、でも失敗だらけのソーラーパネル取付の様子を紹介します。
アルトピアーノを購入した時から、いつかは叶えたいことの1つだった「ルーフにソーラーパネルを取り付けて太陽光発電で電力を供給する」が実現しました。今回は『BougeRV』からCIGS系フレキシブルソーラーパネルの提供を頂けたのでアルトピアーノの屋根に取り付けてみました。が、初めてのことだらけで失敗の連続…。ちょっともの悲しい結果となりました。
2020年3月にアルトピアーノが納車になって以降、「いつかは叶えたい」と思うことがいくつかありました。そのうちの1つがルーフ上にソーラーパネルを設置することでした。
もともと我が家のキャンパー選びは、旅先での車内休憩や飲食の際に対面対座で寛げるクルマが欲しい…というところを出発点にしていて、車内飲食には電子レンジが不可欠と考えていましたので、電源がサブバッテリーだけでは心もとないと考えていて、当初から、ポータブル電源の活用とソーラー発電による電力回復を想定していました。
実はサブバッテリーでは不足と考えたのは、定格出力上では問題ないはずなのに電子レンジを使うと「ピーピー」と警告音が鳴るなど実用性がなかったことが原因ですが、後になって多少知識が身についてから考えると、購入時点ですでにディープサイクルバッテリーがヘタっていたんだと思います。
ポータブル電源は、同年6月に早々に実現して、EcoFlow-EFDETAを購入して現在に至りますが、ソーラー発電に関しては、折りたたみ式のポータブルソーラーパネルに頼っていました。
というのも、我が家はマンション住まいで駐車場入り口ゲートの高さが230cmしかないので、ルーフキャリアを設置してその上にソーラーパネルを載せる方法では車高の点でNGだったため、車体にパネルを直接貼り付ける方法はなかなか踏ん切りがつかなかった…というわけです。
今回、BougeRVから曲面にも貼り付け可能なフレキシブルソーラーパネルの提供の申し出があり、検討した結果、提供を受ける(=つまりルーフに直接貼り付ける)ことにした次第です。
ルーフのソーラーパネル設置まで時間がかかったのは…
アルトピアーノ購入当時から、車体ルーフ上にソーラパネルを設置して消費したサブバッテリーやポータブル電源の蓄電量を太陽光発電によって回復したいと考えていました。
しかし、様々な点でなかなか実現に至らず、気づけばアルトピアーノ購入から丸2年を迎えようとしていたタイミングで、昨年末にInstagram経由でBougeRVからフレキシブルソーラーパネル提供の申し出がありました。
ただその時点ではまだ車両ルーフに直貼りする「踏ん切り」がつかず、年を越して考えに考えてようやく申し出を受ける決心をして提供をうけました。
以下は、2年近くもソーラーパネル設置に至らなかった理由と、「➡」は今回踏み切った理由です。
- 自宅駐車場入り口ゲートの高さ制限(230cm)の問題
ゲート高230cmで手前がスロープになっているため実効高は200~210cm程度。これによってルーフキャリアの設置が難しいため固定式パネルの設置は不可能だったこと。
➡フレキシブルパネルなら車高はほとんど変わらない - 車体に直接貼り付ける気にならない
ルーフキャリアであれば取り外すことができるが、車体に直貼りでは簡単に取り外すことはできないし、外したとしても車体や塗装に深刻なダメージが予想できたこと。 - アルトピアーノに何年乗るか分からない
正直、当時はアルトピアーノを長期間乗り続けるかどうか心が決まっていなかったため、乗り換えを考えると、直貼りでは再販は絶望的と思われた。
➡乗換えずに自分流に改造して乗り続けようと思うようになったので、取り外す必要はないし、再販の可能性もかなり先の話しで、そもそも値段がつかない可能性が高い - 取付の施工について知識や経験が一切ない
YOUTUBEやブログなどを見ると、施工に一定の技術が必要そうだった。例えばコーキングや配線など。
➡DIYによる改造や快適化に取り組む気持ちが強くなったことと、ブログやYOUTUBEなどで少しずつ知識が増え、なんとなくやればできそうな気になってきた(これは勘違いだったんですけどね)
CIGS系パネルだったことも決断を後押しした
もう1つ後押しになったことがあって、それは提供されるパネルが一般的な結晶シリコン(※)ではなく「CIGS」系のパネルだったことにも興味を惹かれました(※単結晶・多結晶がある)。
CIGSとは、銅・インジウム・ガリウム・セレンを原料とする化合物半導体で作られた太陽パネルで、薄膜化することができるため、軽量で柔軟性に富んだパネルにすることが可能です。
CIGS系パネルには以下のような特徴があります。
- 高温時の出力低下が少ない
- アニール効果(※)で出力が向上する
アニール効果とは、アモルファスシリコン系、CIS/CIGS系に見られる現象で、日照が続くとパネルの水素結合が切れて出力が低下する「光劣化現象」が発生するが、太陽電池の温度が上昇するとまた水素が結合し出力はほぼ初期値に戻る現象。 - モジュール上に部分的な影ができた場合の出力低下が少ない
- 薄膜化(軽量化)が可能
- 低価格化で製造可能
この特性、車上設置にドンピシャじゃないですか?
提供されるパネルが、それまで知っていた「単結晶/多結晶シリコン」ではなかったことで、興味をそそられた部分は大きかったと思います。
そんなこんなで、気持ちの変化やアルトピアーノとの付き合い方の変化などもあって、せっかくのお申し出をチャンスととらえ、受けさせていただくことにしました。
しかし、ソーラーパネル設置に必要な工程のすべてが未経験という点は如何ともしがたいネガ要素でした。以降では実際の取り付けをレポートします。
ソーラーパネルを屋根に取り付ける
まずはブログや動画を参考に必要な工具や部材を購入しました。作業日は、最後にパネルを接着する際には到底一人ではできないと思われたので、接着を行う日を奥さんが外出予定のな日曜日とし、前日から作業を開始しました。
提供品が到着~ソーラーパネルとは思えない荷姿
「曲げられる」ということはBougeRVのサイトやAmazonなどでもアピールされていたので知識としては持っていましたが、これほどとは…と到着した荷姿に驚きました。
ちなみに、ソーラーパネルのスペックは以下の通りです(公式サイトより抜粋)。
タイプ | フレキシブルCIGS薄膜型太陽電池 |
用 途 | 車、野外での発電・蓄電 |
外形寸法 | 2175×660×1.5mm |
重量 | 3.2kg |
最大発電出力 | 200±5%W |
最大動作電圧 | 25±5%V |
最大動作電流 | 8.02±5%A |
公称開放電圧 | 31.5±5%V |
公称短絡電流 | 8.64±5%A |
IEC規格 | ip68 |
出力保証 | 25年 |
◆サイズ
小柄なタウンエースバンの屋根にとっては最大級のパネルかと思います(特に長さ)。またわずか1.5mmの厚さは車高をほとんど上げることなく設置できる点はフレキシブルの長所です。
◆重量
重量はわずか3.2kgしかありません。この軽量さは作業中に心底有難かったです。
◆最大発電量200±5%W
最大発電量の60~70%発電できれば合格と言えます(別記事にてレポート予定)。150W発電できれば…と期待しています。
◆最大動作電圧25±5%V
我が家のポータブル電源は、EFDELTA(最大65V)、EB70S/EB3A(最大28V)まで受け入れられるので、3台とも充電可能です(判断は開放電圧ではなく動作電圧でOK)。詳細は以下の記事をご参照ください。
◆出力保証25年
もしそんなにパネルが持つなら、それよりも前にアルトピアーノがダメになるので、乗り換えない限りパネルの乗せ換えはなさそうです。
必要な部材や道具を買い揃える~約2万円の出費
■画像①に写っているもの(左上から)
- 断熱シート(幅100cm×長さ200cm×厚さ5mm)
- 塗装用ローラー&バケットセット
- セメダイン POSシール 変成シリコーンシーラント×2
- ボンド キッチンパネル用(不使用)
- マスキングテープ
- 3M VHB 5952 アクリルフォーム 構造用接合両面テープ×3巻
- ホルツ ペイント塗料 脱脂剤 シリコーンリムーバー
- カンペハピオ 遮熱塗料 水性 つやあり 屋根用
- パオック ビクロス コーキングガン
- 3in1 コーキングヘラ
- ケーブルクリップ 50枚セット
■画像②に写っているもの(左から)
※購入した商品はAmazonにリンクしてあります。
できるだけ安価な製品を選びましたが、それでもコストは2万円超でした。なお、これらの部材・工具類、及び施工方法などは主に以下の2つのYOUTUBE動画を参考にさせて頂きました。
感謝。
施工手順と注意点や失敗事例
- パネルを仮置きして位置決め~マスキングテープで4辺を印す
「失敗事例①」参照 - 脱脂したのち遮熱塗料を塗る(3度塗り)
ウチのアルトピアーノは内装に手をいれていないので天井に断熱材を入れていません。そこでソーラーパネル設置時に遮熱塗料を塗布することで夏場の地獄のような暑さに対して多少の断熱効果を期待しています(ただし太陽光が当たって効果があるらしいのであまり過度の期待はできなさそうです)
※参考記事:yahoo!ニュース - 断熱材を幅11mm×5枚、16.5mm×3枚に裁断する
断熱材の裏面には接着テープが張り付けてありました。断熱塗料と断熱シートでパネルの温度上昇を抑える狙いです。 - 屋根の凹部に断熱シートを屋根に貼る
参考にした動画で断熱材とパネルの張り合わせに「キッチン用ボンド」を使用していたので購入しましたが、パネルに添付の両面テープがちょうど断熱材の位置にあたるので使いませんでした。 - 屋根の凸部に3M両面テープを貼る
肝心の(4)(5)の写真を撮り忘れましたので図解で説明します。
タウンエースバンのルーフには15~16cm感覚で凹部と凸部がありますが、今回貼り付けるソーラーパネルは両端がちょうど凹部のきわ(凸部との境目)にきます。
パネルの外周に貼ったマスキングテープを見るとよくわかると思いますが、中央に凹部を1個挟んで、両側の凹部のきわにぴったりはまるサイズ感です。
中央の凹部だけに断熱材をいれて接着した方が、パネルの接着剤が車体に直接張り付くので強度的には◎ですが、カマボコ型に両端が下がった形になってしまいます。
そこで、中央と両端の凹部にも厚さ5mmの断熱シートを貼り付け、凸部には厚さ1mmの最強両面テープを貼り付けることで『ツライチ』になり、パネルが平らに貼り付けられるようにしました。
パネルには、短辺の両端と中央に強力な両面テープが貼付されており、ちょうど断熱シートに接着する形になります。 - パネルを載せる
パネルのふちが断熱材より5mmほど外側になるように置く。 - 剥離紙を剥がしパネルを接着し、コーキング剤を塗る(ここで1日目終了)
いよいよ剥離紙を剥がしパネルを接着します(一人では不可能なので奥さんに手伝って貰いました)。重さ3.2kgと軽量だったので奥さんの手伝いでも貼り付けできたと思います。
パネルのフチより凹んだ隙間にコーキング剤を注入する(失敗事例①参照)。コーキング剤は2本購入しましたが1本で足りました。 - マスキングテープを剥がす
失敗事例②参照 - パネルのケーブルを屋根に固定する(ここから2日目)
(小画像はタップで大きな画像を表示)
マイナス側(向かって右)のケーブルは180度折り返し、プラス側(左側)のケーブルはマイナスのケーブルと長さを合わせて切断し、新たにMC-4コネクタを取り付けました。 - ケーブルをボディに沿って這わせテールランプから車内に引き込む
テールランプ下まで一旦下げ(雨水対策)バンパー上の隙間からテールランプ下に持ち上げてテールランプ用の穴から車内に引き込んでいます。
テールランプユニットを外して車内に取り込みました。下からケーブルをテールランプ裏に入れるためにランプユニットの一部を溶かして通路を作りました。 - 延長ケーブルを車内に引き込みMC-4コネクタを取り付ける
リアクオーター窓下のパネルの隙間からケーブルを出してMC-4プラグを取り付けました。 - テスト
ここまでで一通りの作業は完了(サブバッテリー充電は行いません)なのでテストを行いましたが、なんと通電していませんでした(失敗事例③参照)。 - 再テスト
無事に通電を確認しました。その時点ですでに15時を回っていたため発電量は90Wぐらいしかでていませんでしたが、それでも110WパネルのMAXに近い発電量でした。これにて『取付作業』は完了です(充電の様子などのレビューは別記事でご報告します)。
以上の手順の中で失敗がいくつもありました。以下は失敗事例です。
失敗事例① コーキングは必ず事前に練習すべし
生まれて初めてのコーキングを本番でぶっつけ本番でやって見事に大失敗しました。
気づかないうちに手についていて車体のあちこちを汚してしまいました。拭き取ってもうっすら黒いしみが残っています。
ヘラで塗布面をならす際にもあちこちにくっついてさらに被害を広げました。
新車だったら発狂していたかもしれません。元々中古車で屋根の塗装状態はあまり芳しくな、いずれ全塗装をしなければならないかも…と思っていたので、こんな感じで辛うじて冷静を保っていますが、新車だったら…と思うとぞっとします。必ず練習してから取り組むことを強くおすすめします。
失敗事例② マスキングテープはすぐに剥がすべし
マスキングテープを貼ったり剥がしたりが面倒なので、最初の仮置きの際にパネルより3mmほど大きく貼り付け、遮熱塗料を塗り、パネルを接着してコーキングをした後に剥がせば1度で済む…と考えました。
でも、マスキングテープってすぐに剥がすものなんですね。
コーキングまで終えた翌日、マスキングテープを剥がそうと思ったら全然剥がれない!
塗装とコーキング剤の下の部分が切れて残って非常に見苦しくなってしまいました。
塗装を終えたら剥がし、パネル接着後のコーキング前に新たに張り直し、コーキングを終えたらすぐに剥がす…と面倒くさがらずにやらないととんでもないことになります。教訓です。
コーキングが乾いたら、マスキングテープが残った部分も含めて再度コーキング剤を塗ろうかと思っています。新たなコーキングでテープが残って汚くなった部分を覆い隠せるのでは…と思います。またコーキング汚れはワックスで磨けば落ちるかも…と考えています。全塗装はまだまだ先の話しだと思います(他にやりたいことが色々あるのでお小遣い充当の優先順位的に)。
失敗事例③ MC-4コネクタのピンを取り違え
テストの際に通電していなかった原因は、パネルから出ているケーブルを切断し新たな「MC-4コネクタ」を取り付ける際に、ピンを取り違えたことでした。ここでも「初めてで知らない」ことが原因で失敗を犯しています。
画像を見てください。MC-4コネクタは左のプラスのコネクタを右のマイナスコネクタの中に挿入します。でも、中のピンは逆なんです。マイナス側が細くてプラス側の中に差し込む形になります。これってわかりにくいですよね。てっきり構造的に同じと思いこんで、プラス側のコネクタにマイナス用のピンを差し込んでいた…というわけです。
初めてで知らないクセに事前に調べない自分が悪い。それは「マスキングテープをすぐ剥がす」のと同じ過ちなんですが、でもこのMC-4って何も構造を逆にすることないじゃないですか。中に差し込む側と外側を覆う側と分かりやすく統一してくれればいいのに…(笑)。
フレキシブルソーラーパネル取付け まとめ
数々の失敗を重ね、車を汚しながらもとりあえず取付けは完了しました。取り付け作業としては落第点ですが、ソーラーパネルの効果やメリットはたくさんあるはずで期待しかありません。これから少しずつ検証してゆこうと思います。
翌日日中12時前後(ちょうどこの記事を書いている時点)で150W超(MAXの75%超)の発電量となっているのを確認しました。
なお、今回はサブバッテリーへの接続は行いませんでした。
2つ理由があります。1つは、走行充電器「NewEra SBC-004」にはソーラーパネルを接続できませんが、現状のシステムにチャージコントローラーをどう加えればいいのかわからないこと(これは後々勉強して追加する可能性はあります)。
2つ目は、自分はサブバッテリーよりポータブル電源への依存が高いことや、アルトピアーノのルーフのパネルで発電した電力は車内だけでなく、自宅内のポータブル電源にも毎日充電して「節電」目的での使用も意図しているためです。
もしサブバッテリーへも充電したければ、ポータブル電源から給電して外部電源接続で充電可能なので、今回はチャージコントローラーなどは設置せず、MC-4コネクタに接続できるようにしておきました。
将来、サブバッテリーへも充電したければ、MC-4コネクタからチャージコントローラーへ繋げばよい…と考えています。
別記事にて、BougeRV製CIGSソーラーパネルの性能や使い勝手、さらには、コーキングなどの施工の経過などもレポートしたいと思いますので、ぜひご覧ください。
それでは今日はこの辺で。