ツルムラサキってご存知でしょうか。
ツルムラサキはアジア原産の栄養豊富な夏野菜ですが、実はマンションの専用庭程度の狭い場所でも鉢植えやプランターで簡単の育てることが可能です。収穫したツルは独特の風味があって、おひたしはもちろん、炒めものや焼きそばに加えたり、天ぷらでもおいしくいただけます。
種から発芽しにくいのが玉にキズですが、目が出てしまえば生命力が強くどんどん生育して食べきれないほどの収穫を得ることができます。虫もつきにいので放置栽培でも十分楽しむことができますよ。
ツルムラサキってどんな野菜?
ツルムラサキは非常に栄養価の高い緑黄色野菜です。
3,000µgのベータカロテン、41mgのビタミンC、150mgのカルシウム(いずれも100g中)を含み、他にもビタミンE、葉酸などのビタミン類、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類をバランスよく含む非常に栄養価の高い野菜です。
ベータカロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、免疫力を高めたりする働きがあり、とても有用な栄養素です。
また、ビタミンCはご存じの通り皮膚のメラニン色素の合成を抑えるので、日焼けやシミ・そばかす対策に有効で、夏野菜として抜群の有用性を持っています。またビタミンCは、コラーゲンの生成に大切な栄養素で、骨・歯・皮膚・血管までさまざまな場所で細胞同士をつなぐ役割を担っています。
カルシウムは、骨や歯を構成成分ですし、血液を固めたり神経の興奮を抑える効果があります。
カルシウムは血液の凝固を促進するため、血液を凝固しにくくする薬を服用している方は控えめにした方が良いようです。筆者は心房細動になったことがあり、血液を凝固させにくくする薬を使っていますが、今夏、ツルムラサキを食べていましたが特に問題はないようでした(あくまで自己責任ですが)。
そんな栄養たっぷりで効能効果抜群のツルムラサキが自家栽培で収穫できたらいいと思いませんか?
ツルムラサキの自家栽培は意外に簡単
ツルムラサキは、マンションの専用庭のような狭い場所でも鉢植えやプランターで簡単に栽培して収穫することができます。
写真はツルムラサキの種子です。栽培自体は簡単で放置していても勝手に育つほど成長力が強く旺盛な生命力に溢れていますが、若干、種から発芽しにくいのが唯一の注意点です。
とはいえ、体験的に言えば、1~2日ほど種子を水に浸して充分に水を吸わせてからポッドなどに植えれば、6~8割がた発芽するように思います。
今年、我が家ではGW明けに種の浸水からはじめて、土に戻るポッドに植えて芽だしし、不織布性の布の鉢に5本の苗を植えました(内1本は育たずに他の苗の日陰になって消滅しました)。
こちらはある程度成長したので、摘心して上に伸びるのを止めた状態です。鉢には4本の苗が植わっていて、2本ずつ絡める(つる性なので勝手に巻く)ようにして支柱で支えています。
※発芽からの成長過程を撮影していたはずなんですが、画像が見当たりません^^;
ツルムラサキはその名の通り「つる性」なので、画像のように葉の付け根からどんどん新芽が生えて、何かに絡もうとします。
放っておくと成長旺盛なのでどんどん大きくなって収拾付かなくなってしまうので、ある程度(収穫を考えると1~1.5m程度)で上への成長は止めて、脇芽(新芽)をどんどん生やさせて、それを収穫するのがいいと思います。
ツルムラサキは葉ではなく新芽のツルを食べるのがおすすめ
スーパーなどで販売されているツルムラサキは、画像のような「葉(若葉)」を食べる感じで売られていますが、実は美味しいのは「新芽のツル」なんです。
「新芽のツル」を食べられるのは、家庭菜園などで自家栽培した人の特権と言えます^^
我が家では、柔らかでクセのないつる先だけを収穫して楽しんでいます。葉も食べようと思えば食べられますが、新芽を摘んで食べていると葉が大きく育つことはないので、ある程度成長した後はつる先だけを食べられるようになります。
発芽からしばらくはメインのとなるツルをどんどん伸ばさせてやります。メインのツルが伸びている間は脇芽はほとんど生えてこないので、メインのツルを伸ばしている間はあまり収穫はできません。高さ1~1.5mになったらメインのツルを摘心して、脇芽を生やすようにしむけます。
「つる先」を集めて食べるには、画像のようにつる先を揃えてツルの根元からカット(※)し、上から15~20cmぐらいでカットして食します。
これで前の収穫から2~3日です。なにせ成長が早いのでどんどん新芽が出てグイグイ伸びるので、ちょっと目を離すと食べきれないほどになってしまいますので要注意です。
※つる先だけをカットすると、残ったツルの葉の付け根からまた別のツルが生えてしまって食べきれなくなってしまうので、ツルは根元からカットするようにしています。
収穫したツルムラサキのつるを食す
ツルムラサキは、茎が赤い種類と、緑色の種類があって、我が家の場合は1袋の種の中に両方混じっていたので、収穫もランダムに赤緑が混じっています。
味や食感の違いはほとんどなく、若干、緑の方が柔らかいかな?という程度の違いです。栄養価的にもあまり違いはないようですが、赤色の食品は「ポリフェノール」や「アントシアニン」など身体によいイメージがありますね。ツルムラサキにそれらが含まれるかどうかは知りませんが…^^;
定番はおひたし
ツルムラサキの定番料理はやはり「おひたし」でしょう。
つる先は非常に軟らかいですが、少し下がると硬さが出てくるので、最初は穂先を手で持って根元のほうだけ先に茹でると根元と先とでの食感の違いが小さくなります。食感の違いを楽しみたいなら、つる先も一緒に茹でても大丈夫です。
たっぷりの「花かつお」と一緒が旨いです。
おひたしには醤油が定番ですが、実はカラシが合います。
少し多めのカラシを乗せることで、「白飯が食べられるおひたし」になります^^
酢味噌和え
おひたし+和カラシをヒントに酢味噌和えを作ってみました。
ちょっと食べたことのない味ですが、悪くないです。酸味弱めで、味噌味+カラシ風味強めが美味しいです。
茹でた後は水気をよく絞ったほうがよいです。
ぬるぬるネバネバ素麺
夏になると食べたくなるのが素麺。
オクラやわかめ、納豆などと共に茹でたツルムラサキも加えて「ぬるぬるネバネバ素麺」も旨いです。
オクラ、青ネギ、青紫蘇、茗荷も我が家のプランター栽培です。キムチとの相性もばっちりです。
和風パスタや焼きそばにも
ツルムラサキは油(ごま油)との相性も良いので、パスタや焼きそばの具材としても使えます。
画像は、きくらげとツルムラサキの和風醤油パスタです。
こうした調理だと、ネバネバ感はあまり出ないので食べにくさはありません。ごま油と醤油の風味とツルムラサキの独特の味や香りがマッチしていて我が家では人気メニューです。
収穫の終わりは急にやってくる
ツルムラサキの花や種子を見たことがありますか?
先の画像はツルムラサキの「花」です。蕾ではなくこれで開花しているようです。
後の画像の黒い粒が「種子」です。これを換装させると冒頭の種子の状態になります。
8月下旬~9月上旬になると花が咲き始め、9月中旬~下旬になると、黒い種子を見つけることが多くなります。
ツルの新芽の生え方は徐々に緩やかになってきますが、それでも3日も放置すれば大量に茹でて食べることになります。
10月のなって夜間の気温が低くなってくるとさらに新芽の出方が少なくなり、昨日まで伸びていたのに?と驚くほど唐突にツルが出なくなります。我が家では今日(11/3)の収穫をもって今年のツルムラサキの育成を終了しました。
ツルムラサキは多年草ではないので、来春にまたタネの浸水から再開です。採れた種子から発芽させられれば、循環栽培できるのですけれど…。
ツルムラサキに毒性はない
本稿を「ツルムラサキ 毒性」で検索して訪問頂いた方もいることと思いますが、これは、モロヘイヤに毒性があることから「ツルムラサキにも?」という心配が生じたためと言われています。
しかし実際にはツルムラサキには毒性はなく、葉・茎・ツル・花・実などすべての部位に毒性はなく、本稿で述べたように非常に栄養価に富んでいるので、積極的に食事に取り入れたい緑黄色野菜です。
抗凝固薬を服用している場合は注意が必要?
筆者もそうですが、心房細動などで抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)を服用している場合には、ビタミンKは「止血のビタミン」と言われるように血液を凝固させて止血する効能があり、抗凝固薬とは反対に作用してしまうようです。
ワーファリンやイグザレルトのような抗凝固薬を服用している方はビタミンKをあまり多く摂取しない方が良いということはあるようです(専門家ではないのであくまで検索して得た情報です)。
例えば、青汁には1500㎍/100gのビタミンKが含まれますし、紫蘇葉には690㎍/100g、納豆600㎍/100g、そしてツルムラサキには350㎍/100gのビタミンKが含まれていますので、摂りすぎは良くないのかなと思います(その辺りのことは専門医やかかりつけ医に相談してください)。
ただし、そういった特殊事情がある方を除けば、ビタミンKは丈夫な骨作りに必要な要素で「骨粗鬆症」に効果が合ったり、動脈の石灰化を抑制するなどの効能が期待できるので、積極的に摂取したいビタミンだと言えます。
筆者も一昨年、心房細動で救急搬送され、その後イグザレルト(抗凝固薬)を服用するよう医師から指示されている身です。青汁は飲みませんが、納豆も紫蘇もツルムラサキもあまり気にせず食べています。薬を飲みつつ、それに反する効能のある食品を摂るのは矛盾している感じがしないでもありませんが、血液凝固以外の栄養や効能も豊富な食品なので食べ過ぎないようにだけ気を付けています。
筆者は医学的な知見を持った人間ではありませんので、ここで記していることは検索で得た知識であり責任を持てる内容ではありません。「そうした側面もあるらしい」という意味での注意喚起と捉え、正確なことは専門医やかかりつけ医に相談するようにしてください。筆者が食べていますと書いていても、抗凝固薬服用者にビタミンK豊富な食品を食べることを推奨しているわけではないので誤解なきようお願いいたします。
ツルムラサキ自家栽培 まとめ
我が家はマンションですが、1階で小さな専用庭があります。
専用庭は地面に直接何かを植えてはいけない(共用部扱いだから)ので、樹木でも草花・野菜でもすべて鉢植えやプランター栽培です。
薬味的な野菜を育てるのが好きで、三つ葉とニラ、青ネギは年中収穫可能ですし、茗荷は毎年初夏と秋口に収穫しています。夏には青じそやパセリなどを育てていますが、今年は数年ぶりに「ツルムラサキ」を育ててみました。
苦手という方もいますが、我が家では独特の風味が人気です。生育旺盛なので週に2~3回は収穫できるので、夕食の箸休めにしばしば登場します。
大抵の場合「おひたし」ですが、炒めても揚げても旨いのでバリエーション豊富に使えるのも〇です。
大きめの鉢(布製で大丈夫)で狭い場所でも育てられるので、自家栽培向きの野菜と言えるでしょう(ただし太陽光は大好きなので陽当たりは良い方がベターです)。
簡単に育てられるのに栄養豊富なツルムラサキ、おすすめです。
それでは今日はこの辺で。