高止まりしたままの電気料金に対抗すべく、暑い時期にできる節電対策について考えます。
今年1~3月期の寒い時期の節電は非常にうまくいって、大きな節電効果を得られると共に、政府と電力会社が実施したキャンペーンで、5,000P超のポイントをゲットすることができました。政府は、7/1~8/31の期間においても「可能な範囲での節電要請」を行っていますし、相変わらず電気料金も高止まり状態なので、生活防衛の観点から自分たちで何ができるのか考えてみました。
当ブログは元々アウトドア系バンライフがテーマですので、ポータブル電源やソーラーパネルによる太陽光発電&蓄電はよく記事にしてきましたので、その辺りも含めて、筆者が想定している節電対策をいくつかご紹介してゆきます。
※冬の節電対策は大成功でした。月間5000円の電気料金削減の我が家ルールを紹介↓
節電は「温度」に関わる要素が大きい
冬場の節電の体験から明確に分かったのは、より大きな節電効果を求めるには「温度」に注目せざるを得ない…ということです。
もっとわかりやすく言えば、空間(部屋)の温度(気温)を上げる・下げることに非常に多くのエネルギーが費やされ、それが電気料金の高騰に繋がっている…という点です。
冬場の節電対策で最も効果が大きいと分かったことは、エアコンやセラミックヒーターなどによる「空間暖房」をやめ、電気毛布や電気ブランケットといった身体を直接温める方法だと、消費電力は大きく下がるんだ…ということでした。
例えば、とても部屋中を暖めることはできず温風が直接当たっている足元を温めるような小型のセラミミックヒーターでも、消費電力は300~500Wです(1時間の使用で300~500W消費するという意味)。
また筆者の作業兼寝室(自室)に設置のエアコンはリビングルームに比べればかなり小型のモデルを選んで設置していますが、それでも暖房運転時の定格消費電力は555W(120~1,345W)です。
これに対して電気毛布やブランケットの消費電力は50~70W程度で、しかも連続加熱ではなく断続的に加熱するので、1時間でまるまる50~70Wを消費することはありません(もう少し少なくなる傾向)。
単純に、500W前後のセラミックヒーターやエアコンに比べ、50Wで温まる電気ブランケットは約1/10の消費電力で済む計算になります。
しかも、ブランケットを腰下に巻いているとまさに「頭寒足熱」で、下半身から血流が暖まるので身体全体がぽかぽかですが、顔から頭に掛けては冷たいままなので仕事中に眠くなることを避けられ、書斎の暖房としては理想的と言えます。
こうした経緯から学んだのは、「空間の温度を変えるのは大きなエネルギーが必要=電気を食う」ということでした。
夏に空間温度を変えずに涼しく過ごす方法
上記、冬場に学んだ「電気消費を抑えながら温かくなる」を夏場の7~8月に置き換えるとどういう方法があるのでしょうか。
人間は、衣服をたくさん着るなどで温まることは意外に簡単にできますが、裸になった状態以上には涼しくはなりませんので、節電対策としての難易度は冬場より夏場の方が上(難しい)と言えそうです。
ちなみに筆者の自室のエアコンの冷房時の定格消費電力は「610W(140~870W)」ですが、この消費電力をいかに削減するか…が節電効果に直結すると思われます。
自作『ペットボトル氷クーラー』が効果あり
車中泊時の車内で快適に過ごすことを目的に、様々な情報(WEBサイト・ブログ・YOUTUBEなど)を参考にしつつ、自分でも工夫を加えつつテストしてきた「ペットボトル氷クーラー」が期待以上の効果を上げていて、現時点では夏の節電対策の「切り札」になるのではないか…と期待しています。
というのも、自作気化熱クーラーに改良を加えるごとに車内に運んでテストするのが面倒なので、5.5畳の自室で効果が得られるなら狭い車内ならその効果はもっと大きいはず…ということで、普段仕事をしている自室でテストをしてきました。
ペットボトル氷クーラーとは
仕組みや原理といっても特に難しいことはありません。扇風機で風を送る際に、送る風を冷たくできれば涼しく感じる…ということだけの非常に単純な仕組みです。
最初はYOUTUBEで凍らせたペットボトルを車内に持ち込んだら涼しく眠れた…とう動画を見たことでした。その動画では結露した水を受け止めるトレーの上にペットボトルを置くだけのシンプルな仕様でした。
ただその方法だと自宅でのテストでは問題なくても、キャンプ場やRVパークなどへ出向いて車中泊…という状況ではペットボトル氷を凍ったまま持ち込む必要があり、それで「クーラーボックスに入れる」というカタチになりました。最初は運搬目的だったんです。
で、クーラーボックスで運んだペットボトル氷を取り出してトレーに並べる…では面白くないので、クーラーボックスを冷風機代わりにも使おうということで今のカタチの原型ができました。
※その辺りの試行錯誤は別記事に詳しいのでそちらをご覧ください。
ペットボトル氷クーラーの仕組み
構造は単純です。
- クーラーボックス内に凍らせたペットボトルを立てて3本並べる
ペットボトルの向きは色々テストしましたが、このカタチが最も風量が多く効率が良かったです。寝せて重ねると風量は減りますが凝りが溶けにくくなり少し長く使用できます。
ちなみにペットボトルは凍らせた際に膨張するので、その分、水を少なめにして空気を抜いて蓋を閉じているので、カタチが変形しています。 - クーラーボックスの上に「蓋」をしますが、扇風機のサイズに合わせた穴をあけておきます。
我が家のクーラーボックスはたまたま蓋が取れるタイプなので偶然いい感じになりました。 - クーラーボックスのスリットにあわせて遮蔽版を差し込む
扇風機の風を下まで迂回させ空気を冷たくするために遮蔽版を作りました。「蓋」の段ボールを長めにして折り曲げているだけです。 - サーキュレーターをのせ送風する
最初の仕様は吸い出す形だったのですが押し出す方が風量が断然多かったので今はクーラーボックス内に風を送り込む形にしています。
たまたまですが、このサーキュレーターがペットボトル氷クーラーにサイズ的にも形状的にもシンデレラフィットでした。風量もあってペットボトル氷クーラーの「要(かなめ)」です。
これでペットボトル氷クーラーの基本形は完成です。段ボールで作るので適当(適切)に採寸だけすれば特に難しい工作ではありません。
おまけとして、冷気回収通路を作りました。吹き出す冷風を回収して扇風機に戻すことで、より冷たい風が出ることを期待しています。副産物として、吹き出し口がせまくなり、風の勢い(風速)が増しました。
■ロゴス アクションクーラー
筆者がペットボトル氷クーラーの本体に使用しているクーラーボックスです。蓋を完全に外すことが可能で、庫内側面にスリットが切ってあるので風の通り道を作りやすいのはメリットです。我が家のは25Lですが、大きめサイズ35Lもあります(ただしペットボトルの本数を増やしても同時に溶けてしまうので長持ちには繋がりません)。
■ZEPEAL(ゼピール) サーキュレーター DKS-20N
こちらもペットボトル氷クーラーの送風装置として使っています。たまたまですがシンデレラフィットでした。風量はと消費電力は強(≒30W)中(約20W)弱(15W)の3段階です。気持ち動作音が大きいですが作業時や就寝時に邪魔になるほどではありません。
ペットボトル氷クーラーの効果
こちらは、気温と湿度それぞれに「最高」「最低」を記録できる温湿度計で、ペットボトル氷クーラーのテスト開始時にリセットしました。その時点の気温が最高値28.4℃、湿度80%でした。
ペットボトル氷クーラーの扇風機を「弱」で送風したまま就寝したのですが、気温は最低24.5℃(-3.9℃)、湿度は68%(-12%)まで下がりました。
この時のテストでは、気温で-1.3℃、湿度で7%の減少が見られました。
エアコンの設定温度を1度さげるだけでもかなり涼しく感じるので、空間は冷えないと言われるペットボトル氷クーラーですが、テストでは1℃以上の気温下降が記録されています。
特にこのペットボトル氷クーラーの効果は「除湿」にあると思っています。
凍ったペットボトルが『結露』することで、空間の湿度を水に替えてクーラーボックス内に溜まることで、空間の湿度が下がります。
就寝時などはべたべたする肌から汗が引いてサラッとした感じで眠れるので、涼しいこともそうですが、除湿効果が大きいように感じます。
ちなみに、就寝時に使用しているのは、凍らせた2リットルペットボトル3本です。これでおよそ3~5時間(ボトルの置き方や風量で異なる)効果を持続します。
ペットボトル氷クーラーの節電効果
例えば仮に、筆者自室のエアコンを午後の時間帯に4時間、夜間に3時間、就寝時に5時間運転したとすると、合計12時間/日になり、単純計算で555W×12時間/日、×30日/月となります。
これを、東京電力の「従量電灯B」15Aの第2段階料金(電気料金36円60銭/1kWh)に当てはめると、月間の電気料金はエアコンの使用だけで最大7,312.7円/月になります(常にコンプレッサーが動き続けるわけではないので実際にはもう少し少ない可能性があります)。
ペットボトル氷クーラーは扇風機を使いますが、電力供給をソーラーパネルによる太陽光発電をポータブル電源に貯めた電力で賄うと、7,312.7円まるまる節減することができることになります。
かなり大きな額の電気料金を削減することができますが、ペットボトル氷クーラーを12時間運転するためには、ペットボトル氷を9本~12本が必要となり、一般の家庭用冷蔵庫の冷凍庫で作ることはまず不可能です。そのため新たな冷凍庫の購入など、若干のコストをかける必要がある点は悩ましいところです。
現実的に考えるなら、就寝時にエアコンを止めてペットボトル氷クーラーで代用した場合で、供給電力を太陽光発電で賄った場合には、就寝時5時間×555W×30日÷1000×36円60銭=3,047円/月が実現可能な節電量・節電額ではないかと思います。
もし、一般の冷凍冷蔵庫で3本を10時間でペットボトル氷を作ることができれば、昼夜各1回(3~5時間)の代替運転が可能となり、節約金額は2倍(6,094円)になるとシミュレーションできます(実際にできるかどうかは諸条件により変わるので断言はできません)。
セカンド冷凍庫の電力消費量は
ペットボトル氷クーラーを本気で導入するならペットボトル氷用の冷凍庫を購入してもよいかもしれません。
1人が昼夜2回のペットボトル氷クーラーを使用する場合、1日6本のペットボトル氷が必要で、夫婦二人なら12本のペットボトル氷が必要です。
2リットルペットボトルのサイズは、高さ31cm、縦横サイズは11cm×10cmほどですので、少なくとも横幅か奥行が32cm以上(内寸)必要と考えると最低限80~90L程度の冷凍庫が必要だと分かりました。
このクラスの冷凍庫の年間電気消費量は170~180kWh程度、東電従量電灯Bで15Aの第2段階料金(電気料金36円60銭/1kWh)にあてはめると、6,222~6,588円の電気料金となります。月額平均550円ほどということになります。
これならエアコンの代わりにペットボトル氷クーラーを継続利用した場合でもさほど大きな負担増にいはならないように思います。
ネッククーラーを利用する
昨今、ネットなどでも話題に上がるようになった「ネッククーラー」をご存知でしょうか。
首からぶら下げる扇風機を一歩進化させて、首にかけるような形でかおはもちろん、製品によっては後頭部や、下方向にも風が出るものもあって、なかなか好評を博している製品ジャンルです。
今回自分が注目したのは、風が出るだけでなく、頸動脈付近をペルチェ素子のプレートで冷やすことで身体をめぐる血流の温度を下げて涼しくする機能です。
実は昨年、よく洋菓子なんかにオマケで付けてくれる保冷剤を少し湾曲して凍らせて、タオルで首に巻いて試したのですが、まあまあ効果がありそうななさそうな…微妙な感じだったので、今年はしっかり首元が冷えてしかも顔や後頭部に風が当たる製品を…と思った次第です。
ネッククーラーは顔に風を当てる機能と、ペルチェ素子で首周りを冷やすことで血液の冷やし、その血液が体内を循環することで効果を発揮します。ということは、洋菓子を買うと付けてくれる小さな保冷剤とタオルなど自宅にあるもので代用できるのではないか…と思います。筆者がやるのは、小さな長方形の保冷剤を首の側面に当たるように2~4個並べ、それをタオルで巻いてベルト状にして首に巻き付ける方法です。
首回りを冷やすと涼しく感じる?
首周りには血流が多い頸動脈・頸静脈があり皮膚が薄いため、首周りを冷やすことで血液の温度を効率よく下げることができ、温度が下がった血液が体内をめぐることで身体全体が涼しく感る…と解説されていることが多いのですが、自分的には正直そんなに涼しいと感じたことはありません。
実際に首周りに凍らせた保冷剤をタオル巻きにしていると、汗がひく感じはしますが涼しいというのとは少し違う感覚です。
ただ汗がひいて身体が楽になる感じはあるので、若干ですが快適になると言えるのかもしれません。
逆に凍らせた保冷剤は冷たすぎるのかもしれません。市販の「冷却タオル」「クールタオル」などの方が清涼感というか、涼しい感覚はあるのかもしれません。これらのタオルはまさに「気化熱」で涼しく感じるよう、水分が蒸発しやすい素材でできています。
気化熱ではなく電気的に冷やすペルチェ素子板より、気化熱を利用したタオルの方が涼しいなんてこともあるのかもしれません。
可能な限り太陽光発電の電力を利用する
「家電をできるだけポタ電で動かす」は、我が家ではずっと続けているのでもはや「節電」の意識はあまりなく、日常の当たり前として日々実践していますが、車両ルーフに取り付けた200Wソーラーパネルを中心に、太陽光発電で得た電力を3台のポータブル電源に蓄え、可能な限り家電の電源を賄うようにしています。
前述のエアコンの消費電力に比べたら微々たる数値ですが、できるだけオフグリッド(送電網を使わない)を心がけています。
炊飯
日々の食事の際のオフグリッドは「炊飯」です。
我が家では圧倒的に「ご飯」食が多く、パンや麺類の比率は比較的少ない傾向にあり、特に夕食にかんしてはほぼ100%ご飯食です。となると、毎日1回は炊飯器でご飯を炊き、日に2回以上の事も少なからずあります。
従来は消費電力700W程度の3合炊き炊飯器をメインで使っていましたが、1.5合炊きの小型炊飯器が意外に美味しく、しかも早く炊ける(約20分)ので、最近は消費電力200W程度の小型炊飯器を使うことが多くなっています。
- 700W炊飯器:700W÷60分×70分=816W(1回炊飯あたり消費電力)
- 200W炊飯器:200W÷60分×20分=66.7W(同)
湯沸かし
お茶・コーヒー・紅茶など、日に何回もお茶やコーヒーのために湯沸かしをしますが、そのすべてがオフグリッドです。
我が家の電気ケトルは、消費電力1000W(実際の動作時は950W程度)で、ドリップコーヒー1杯分×3回、食事時の緑茶2人分×各2杯が必須で、その他、気分によっては胃数が増えます。
今の時期は、アイスコーヒーが飲みたくなることが多いので、夏でも湯沸かし頻度はあまり減りません。
ガジェット充電・充電池充電
スマホやウォッチ、モバイルバッテリーや、単3型の充電池などを太陽光発電で充電します。
筆者がiPhoneとAndroid各1台ずつ、ウォッチが1台、タブレットが1台、奥さんがiPhone×1台と、ウォッチ1台と二人暮らしの割に意外と充電が必要なガジェットは少なくありません。
毎日ではありませんが、デジカメの充電池やモバイルバッテリー、電灯やテレビのリモコンに使用している単3型の充電池に充電します。
その他家電の電源
今の季節は扇風機の電力は太陽光発電で賄うようにしています。ポータブル電源を持って回るのは面倒ですが、リビングと自室の扇風機は100%オフグリッドです。
また、上記で紹介した「ペットボトル氷クーラー」に使用しているサーキュレーターもポータブル電源から給電します。消費電力15W(弱)計算で、就寝中7時間ほど連続運転(※)するので総消費電力は一晩で105Wとなります。
夏場の就寝時、毎日ペットボトル氷クーラーを使用した場合は、2か月間で350W×62日間=21,700W≒21.7kWとなります。
エアコンを扇風機に替えるだけで500W→15Wへ商品電力は1/33に減少しますが、その減少した消費電力でさえ太陽光発電で賄うことで「ちりつも」な効果を期待しています。
夏の節電対策まとめ
最も大きな節電は「空間の温度の変更」であることを冬の節電で身をもって体験しました。
夏場のそれは「冷房」ということになりますが、この冷房をする機械エアコンをできるだけ稼働させずに暑さを乗り切ることができれば、比較的大きな節電効果が期待できるのではないでしょうか。
もし本稿で紹介しているような節電対策を実践される場合は、熱中症などには充分注意し、無理のない範囲で行って頂くようお願いいたします。また暑い空間でテストなど行う場合には水分を十分に摂取することを意識してください。
※筆者もペットボトル氷クーラーの1~3号機のテスト時には意図的に多めの水を飲むようにしていました。
いくら電気料金を節減できても体調を崩してしまっては元も子もありませんので充分お気を付けください。
それでは今日はこの辺で。