今回のテーマは防災備蓄です。災害はいつ襲ってくるかわからないので常に最低限度の準備と心構えが必要です。とは言え、具体的な発生タイミングがわからないため、なかなか準備や備蓄が具体化しないのも事実です。
今回はあまり難しく考えずに、災害発生時に何を用意しておけば助かるのか、飲料や食料はどの程度必要なのか…といった基本的なことを考えてみようと思います。また、我が家の自動車は幸い車内で横になること(就寝)ができる『バンコン』なので、自宅に居られなくなった際の自主避難場所としての想定も考えて置こうと思います。
先日、他所の記事を書かせて頂いた際に、災害発生時には行政などの救援の手が届くまでの最初の72時間(3日間)は自力で生存しなければならないと知りました。
せっかくキャンピングカーを持っているのですから、防災面でも役に立つなら是非活用したいと思って自分なりの防災備蓄について考えてみました。
自助・共助・公助が不可欠と内閣府
内閣府防災担当によれば、災害発生時の被害をできるだけ少なくするためには、「自助」「共助」「公助」が不可欠だとしています。
自助とは、被災者が自らと家族を自力で守り生き抜くことを指します。
共助とは、隣り近所や地域住まう人々が共に助け合うことを指します。
公助とは、行政や公的機関の救援を言います。
考え方としては、まず何より自分自身と家族が生存できなければ意味がありません。自分と家族が生き延びられてもし少しでも余裕があれば近隣との助け合いも必要となるはずで、「自助」「共助」で最低3日間(72時間)を生き延びることが重要です。
公助の手が被災地に届くためには早くても3日間はかかるため、「自助」「共助」を実現するためには、水や食料、物資の備蓄が必要なのです。
自助のための飲料水と食料を最低3日間ぶん確保する
人一人に必要な飲料水は1日3リットルだそうです。2Lペットボトル×3本で2日分ということになります。ただしこの3リットルは飲料用だけであって、他の生活に必要な水は含んでいません。
我が家の場合は夫婦2人暮らしなので、3日間2人分で18リットルもの飲料水と、それ以外に生活用水も必要ということになります。18Lは2Lペットボトルで9本、1箱6本入りなので常に2箱のストックを持っていれば「いざ」という時に飲料水だけは確保できることになります。
また、食料は1日3食×3日間で、一人当たり9食分の食料が必要です。どんな食品を用意しておくかは工夫次第ですが、あまり調理に手間のかからない食品で、水を大量に必要としない食品がベターと考えます。
例えば、同じインスタント麺でも麺を戻して湯切り(お湯捨て)するカップい焼きそばや、茹でる必要がある乾麺(パスタや素麺・うどんなど)は防災備蓄にはあまり向かないように思います。調理した水も一緒に摂取できるような食品が向いていると思います。
例えば、無洗米は炊飯時に米を洗う必要がなく炊飯時の水も米に吸われて摂取できますし、ラーメンなども汁を一緒に摂れるので貴重な水を無駄にせずに済みそうです。
さらに、食事を作るための調理器具や、煮炊きするための燃料も必要です。実際にどのような熱源で煮炊きをするのか…を想定して、それに合わせた調理器具を用意しておく必要があります。
炭や薪、アルコールやガスを燃焼させるバーナーなどを火器として想定した場合には、直火に掛けられる鍋や薬缶が必要ですし、蓄電池からの給電でIHヒーターを使う場合はIHヒーター対応の鍋が必要です。同様に電子レンジを使用できる場合は、レンチン可能なパックご飯やレトルト食品も備蓄の対象となり得ます。
飲料・食料は賞味期限ごとに入れ替えてローリングストック
写真は現在の我が家の最低限の食料備蓄です(夫婦2人を想定しています)。前項で述べたように夫婦二人で72時間を自助で行く伸びるためには、最低9食の食料が必要です。
- ご飯パック6食
- 袋ラーメン4食
- 無洗米1.5合(二人分)×3回
- レトルトカレー6食
- 鯖缶2個、シーチキン2缶
(1)~(3)で主食系炭水化物が16食分になります。夫婦1人に8食ぶんずつです。最低限の9食より少し多めにストックしています。
(4)カレー6食でパックごはん6食を食べる想定です。夫婦1人に3食ぶんずつです。
(5)の缶詰でたんぱく質を補充と共に、無洗米を炊飯した際のおかずにもなります。
キャンパーとしては炊飯はお手のもので苦になりませんし、ストックの大きさも最小限で済みますので、我が家の備蓄のメインは「米」です。
このほかに、自宅内に2リットルペットボトルの飲料水を常に2ケースストックするようにしています。ストック専用ではなく、日常の中で消費しながら買い足している状態です。
実はこの構成では「おかず」が少し足りないのですが、場所を取らない個食のふりかけをいくつか入れてあるので、炭水化物だけになってしまいますが何とか食いつなごうという算段です。
メスティンをスタッキングした中にふりかけを忍ばせています。
備蓄食料は小さなクーラーにストックしています。大きなクーラーもあるのですが、非常持ち出し袋(衣類やリネンが入っている)も持ち出さなければならないので、最小限のサイズで軽量にしてあります。
自宅内には缶詰やレトルト食品をできるだけ多くストックするようにしています。
夫婦ともカレー好きなのでカレーさえあれば何とかなる的な安易な考えですが、緊急時にこそ好きなものを食べられれば活力も湧くのかなあと思います。
食品については、消費期限が6か月以上のものをストックしておくようにし半年ごとの入替え作業が恒例になっています。
ストック食料は半年ごとに、期限が近いものやすでに期限が過ぎているものは自宅で食べて、新しいストックに入替えを行うことでこちらもローリングストックとしています。
調理器具・食器・カトラリー
こちらは特に非常用としてではなく、ドライブや車中泊時にももってゆく「ピクニックセット」です。食器やカトラリー、お茶やコーヒー、カッティングボードやナイフなどをバスケットに無造作に詰め込んであります。
他にも、ゴミ捨て用のポリ袋や、塩コショウ、粉末醤油などの簡単な調味料も入っています。
せっかく所有しているバンコンを活かす
誰にでも当てはまることではないかもしれませんが、我が家には「バンコン」があるのが大きいです。災害発生時にもこのバンコンを活かすことができれば…と考えています。
コロナ禍以降、避難所の収容人数が減少している
最近の最大関連の報道の中で気になったのが、「コロナの影響で避難所の収容能力が低下し避難所に入れない人が続出した」というものでした。
コロナによって「ソーシャル・ディスタンス」を保つ必要から、避難所の一人当たりの区画が拡大され、その分、収納できる人数が少なくなったためだそうです。
また、こうしたコロナの影響で収容人数が減少する前から車内で過ごす人も多く、手足を伸ばせない車内での避難生活の結果、エコノミークラス症候群が発生しているといったニュースも少なからず耳にしていました。
幸い我が家のアルトピアーノは、幅140cm×長さ200cmのベッドを展開することができるので、手足を自由に伸ばして就寝でき、カーテンや遮光パネルでプランバシーの確保が容易で、「三密」を回避できるといった『自主避難場所』として活用できる要素を備えています。
飲料や食料の備蓄は自宅内が最大なので、できれば自宅内で被災生活をおくることができれば最良ですが、もし自宅内で過ごせない場合には、車内が避難場所になるだろうと想定しています。
手足を伸ばして眠れてプライバシーを確保できる空間を確保
冒頭でもエコノミークラス症候群について書きましたが、手足を伸ばして眠れる事に関しては、キャンピングカーは恵まれています。
また、キャンプ時を想定して多くのキャンパーが外部からの視線を遮る目隠しを用意しているはずですし、防暑・防寒・防虫などについても様々に工夫しているはずですので、それらが全て車内避難時に役立つはずです。
マットや寝袋、毛布などを積んでおけば暖かく眠る事ができます。
1点、キャンプ用品以外で用意しておいた方が良いのは「弾性ストッキング」だそうです。
脚を締め付けたらかえって血流が悪くなりそうですが、逆に血流を良くし血栓を防止するので、車内避難の他にも、長時間同じ姿勢でいる(列車や航空機)場合などでも効果があるようです。
寝具も就寝人数分用意しておく~季節によって入れ替える
就寝定員の人数で車中泊避難をする場合、寝具も人数分の用意が必要です。
基本は「寝袋各自1個」で、暑い夏場には寝袋を使わずに過ごすタオルケットなどがよいかもしれませんし、寒い時期にはベッドマットや毛布など、寝袋に暖かさをプラスする寝具が必要です。
キャンピングカーの車内温度は、冷暖房をしなければ外気とほぼ同じです。
避難生活の場合には「この日まで」という終わりが決まっていないため、冷暖房や電気毛布などをレジャーの車中泊と同様に使用するわけにはゆきません。そんなことをすればたちまち電力が底をついて、車中泊避難をより困難なものにしてしまいます。
できるだけ電力を失わずに快適に就寝できる準備を考えておく必要があります。
我が家のレジャーでの車中泊では、最悪の場合のために電気毛布を用意しておきますが、避難生活では電気毛布を使わずに寒さを凌げる用意が必要と考えています。
衣類・リネン
小型キャンパーに何でもかんでも積み込んでおくことはできないので、衣類やリネン関係はどうしても最小限になりがちです。
下着上下1~2組とタオルと歯磨きセット、予備のティッシュ程度ですので、我が家では、キャンパー車内とは別に、自宅に非常持ち出し用のバッグを1つ用意して置き、この中に衣類やリネン、その他雑貨類をまとめています。家屋が倒壊してしまわない限り、このバッグを持ち出せば
電源確保と電力自給
非常時には電源の確保も重要な問題です。というか現代においては電力確保は必須です。
災害時の電力の使途として考えられるのは…
これらの用途に電気を消費すれば、どんなに節約しても最低でも1日300~500Wh程度の電力は使ってしまうはずです。最低500W/日と考えると、3日で1,500Wh、1週間3,500Whの電力が必要です。
2024年01月現在、我が家には4台のポータブル電源と車載サブバッテリーに、容量合計は4,294Whを確保できます。4,000Wh超の電力ストックがあれば、節約しながら使えば1週間は持たせられる電力量だと思います。
また、電力の自給という点ではいくら大容量の電気を蓄えていても、使えば枯渇してしまうので補充することが必要です。我が家では、車両ルーフには200Wのソーラーパネルを設置、他にポータブル・ソーラーパネルが4枚合計で最大720W、合計920Wの発電量があります。
好天時、1日の日照時間を5時間と見ると、最大920W×5時間=4,600Whの発電が可能です(実際の発電量は最大出力の60~70%程度なので2,760~3,220Wh程度の電力を自給できることになります。
しかし、梅雨の時期などで1週間まったく太陽が出ないなどが生じれば、その時に確保できた電力で救援の手が届くのを待たねばならず、「電力は大丈夫」と言い切れるほどの余裕はない状況です。
トイレの問題は重大
戸建て住宅の場合には災害時の停電でもトイレは使えるようですが、我が家はマンションなので、ちょっと事情が異なります。
マンションによって幾つかの方式があって、屋上などに貯水槽を設けてそこまで水を電気でくみ上げている場合には、停電時には貯めている水を使いきたら断水するためトイレを流せなくなります。
水道直結の方式でも、高層マンション(5~6階より上)の場合は水圧だけでは水が挙がらないため電気で汲み上げていて、この場合は、停電時にはタンクに水を組み上げられなくなることによる断水が発生するためトイレを流せなくなります。
ウチのマンションも、調べたら増圧直結給水方式で、上層階には水をポンプでくみ上げているようなのですが、我が家は1階なので停電でも水圧だけで水は出るようでその点では安心しました。
しかし、それも自宅内に入れる場合の事で、車内避難をするとなれば、避難所のトイレがクリーンな状態で落ち着いて利用できるかどうかは甚だ疑問です。
そういった状況を踏まえて、簡易トイレ、携帯トイレを用意しておいた方がいいのかな~と考えてはいますが、実は未だ具体化していません。
色々と調べてみて感じたのは、2種類の簡易トイレがあるといいのかな…と言う事で、「大」用で自宅トイレなどに置いて排泄物を固めるタイプと、渋滞などでの緊急の「小」のために片手で使える簡易トイレです。
前者は災害用ですが、後者はトイレが近いウチの奥さん用…って感じですかね。
簡易トイレについては、近々に結論を出して用意したいと思います。
72時間生存のための防災備蓄 まとめ
基本的にキャンパーを所有している事がプラスに作用してくれる状況であれば、最低限、72時間を「自助」で生き抜くことはできそうです。
車内避難をする場合には、車内の空間を確保できる事は有利かと思います。
ただ、自宅内には立ち入れない、非常持ち出しを持ち出せなかった、車も使えない…というほど被害が甚大な場合には、出来ることは何もない…といった状態に至る可能性だってない訳ではないと考えると怖いですね。
海からも遠く高台にあるマンションなので、津波・洪水・浸水の被害は受けないはずで想定する災害は地震ですが、まだ築10年程度のマンションなので余程の地震でなければ倒壊する事はないと思いますし、自宅避難を続けられるか、ダメでも車内避難が可能と想定しているのですが、果たしてどうでしょうか。
起きてみなくては何も分かりませんが、今できる事は準備して置こうと、改めて思った次第です。
それでは今日はこの辺で。
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