我が家のアルトピアーノの乗り心地改善作戦はいちおう終結ということにしたいと思い、実施した対策などをまとめておこうと思います。ボディダンパー、ダンパーオイルチューニング、タイヤ交換、シート交換(レカロ)、制振材など様々な改善策を講じてきた「現在地」をお話しします。

いくつかの対策を施した結果、ぶっちゃけ乗り味はまったく変わりました。夫婦間では『もはや商用バンの乗り味ではないね』なんて会話がされるほど劇的に改善されました(と感じます)。
もう試乗会でも開いてみんなに乗ってもらいたいぐらいです(笑)。
施した対策は大きく5つです。細かなことは他にもありますが、1つ1つが大きな変化をもたらしたという点で以下の5つの対策が今の乗り味に繋がっていると思います。4つの対策個々の詳細記事は、リンクを辿って確認してください。
- COXボディダンパー(純正OP)
- タイヤ交換(乗り心地&騒音重視)
- ネオチューン(ダンパーチューニング)
- シート交換(レカロシート)
- 制振シート(座席下)
COXボディダンパー~ディーラー純正OP

アルトピアーノに最初に大きな変化をもたらしたのは「COXボディダンパー」でした。
「COXボディダンパー」は、元はヤマハが開発した「パフォーマンスダンパー」ですが、アルトピアーノを制作・販売しているトヨタモビリティ神奈川がアルトピアーノ向けだけにオプション設定している装備(※)です。
※トヨタ自動車や他のディーラーではタウンエースバンにボディダンパーのオプション設定はありません。自分が調べたところではそもそもタウンエース用が設定されていないので、トヨタモビリティ神奈川の特注品なのかもしれません。
開発元のヤマハによれば、走行中の車体は常に変形と振動を繰り返していて
- 乗用車の車体は走行に伴い1mm以下のごくわずかな変形が生じている。
- 弾性体である金属製の車体は変形に対する減衰性が低いため、外力による変形エネルギーはほぼそのまま蓄積・放出され固有振動数で変形を繰り返そうとする。
すごく分かりにくいですが、以下の図を見ると「なるほど」とわかります。

そこでダンパーを装着することで…

振動や変形を吸収して収束させようというわけです。
実際にCOXボディダンパーを装着した効果は「音が澄んだ」という印象でした。振動は「音」なので、余計な振動や変形や揺れをダンパーが吸収することで、振動から雑味が減って音が澄んだような印象になったものと思われます。(装着当時の記事では「締まった」と表現しています)。
取付の状態や細かなことは装着当時の記事を参照してください。
この時にかかった費用は、値引き込みで13万円でした。一緒にフロアマットとラゲッジマットを購入しているので、純然とボディダンパーの価格ではないですが、作業報告書には部品代99,000円、工賃16,170円が計上されていましたので、値引きなしだと115,170円のコストとなります。

「乗り心地」という観点でみれば、突き上げや振動、騒音が軽減したといった効果はありませんので「乗り心地改善」には貢献したとは言えません。しかし、揺れの収束が早くなり、車体のよじれが制御されることで濁っていたものが澄んだような感覚がありました。
この対策で正価13万円は若干割高な印象もありますが、ディーラー純正オプションということで安心感がありますし、下取り額にもマイナスな査定は付かないと思いますので、装着してよかったと思っています。
ただ「乗り心地」という面では、ボディダンパーで「良くなった」感じはさほどしないです。乗り味は同じまま、揺れの収束が早くなり、ネジれ感やヨレ感が少なくなった感じです。そういうボディの「素性」を良くしておくことで、ネオチューンなどの効果が明確に出る…という感じじゃないでしょうか。
タイヤ交換~乗り心地と騒音重視の商用タイヤ

次に実施したのがタイヤの交換でした。
我が家のアルトピアーノは2020年購入ですが中古車なので、購入時点で新車登録(2017年9月登録)から3年半経過していました。それから約3年経過した2023年の春についにタイヤを交換しました。
でも実はタイヤ交換については、当初は「乗り心地改善」という頭はなくて、どちらかというと「格好いい」系のタイヤ交換をしようと思っていました。ターゲットは「OPEN COUNTRY」ですね。
サイズは分かっていて、インチアップで4インチホイールとセットで購入しようとしていたんですが、注文をポチる直前にふと「このタイヤつけたら乗り心地どうなるんだろう」と思い当たったんです。
そうでなくても常に揺すられて細かなバイブレーションが身体に伝わり、突き上げは盛大に「ガツン」「ドスン」と脳天まで突き抜けるような状態の上に、さらにオフロードタイヤでしかもインチアップって、もっと乗り心地は悪化するのが目に見えていました。
そこで方針転換。
所詮、商用タイヤ(トラックタイヤ)しか装着できないから高望みはできないが、それでも多少でも軟らかく騒音の少ないタイヤを探すことにしたんですが、後から思うとここが運命の分かれ道でした。
そもそも商用タイヤに「軟らかい」「静か」なんて評価が付くわけもなく、なかなか見つけられませんでしたが、ついに「乗り心地少し良化」「ロードノイズ少ない」との口コミを見つけ、たった1つの口コミを頼みに購入したのが韓国メーカーの「Kumho PORTRAN KC-53」でした。

もう見た目は旧タイヤと何も変わらず小径13インチの商用タイヤです。恰好よさなど微塵もありません。しかも(申し訳ないけど)韓国製ということでかなり不安要素が大きかったのは事実です。

これをお読みの方も「韓国製の激安タイヤなんか」と思うかもしれません。
実際自分自身も半信半疑で注文しましたが、激安なだけに買ってダメでも損失は最小限…と思って、清水舞台的にポチッたのですが、これが意外や意外、悪くないんです。
ちょっと収束が収まり切らず揺れ戻しのような感覚があるのは残念ポイントですが、元々ピッチングの多いクルマなのでタイヤのせいばかりではないかもしれません。タイヤのトレッド面のゴムが柔軟な感じで、荒れた路面やマンホール等の小さな凹凸はタイヤだけでいなしてくれる感じです。
このタイヤにして、常にマッサージ器をあてているようなバイブレーションがかなり少なくなりました。
対してサイドウオールはしっかりしているようで、コーナリングなどでは意外に粘りがあって腰砕けのような感じはせず、「お急ぎ配達中の商用バン」程度なら充分きびきび走ってくれます。
ところで先ほど「後から思うとここが運命の分かれ道でした」と書きましたが、何の分かれ道だったか…というと、タイヤ交換でこれほどはっきり乗り味が変わるのであれば、足回りやシート、制振防音などを施せばもっとよくなるに違いない…と思ったんです。
つまり、このタイヤ交換がなければ、後の「ネオチューン」施工はなかったかな…と思います。
韓国製侮れぬ…で、「悪くないじゃんこのタイヤ」です。
コストとしては、タイヤ代金が22,960円(4本)で、取付工賃が8,800円、合計31,760円でした。この出費でほんの少しでも乗り心地が改善するのであれば出す甲斐があるというものです。

今回の「乗り心地」「乗り味」の改善で最も高コスパだったのがタイヤでした。思っていた以上に細かな振動を吸収してくれてフラットライド化してくれました。これで3万円強の出費は安かったと思います。
コスパで見ればかなり良好な改善策だったかと思います。自社製品が購入されなくなる可能性があるのに、「OPEN COUNTRYは希望にマッチしません」と回答してくれたトーヨータイヤに感謝です。
ネオチューン~純正ダンパーをチューニング

一連のタウンエースバン・アルトピアーノの乗り心地改善の「肝」「核心」です。ネオチューンなくして今の快適さはあり得ないと思っています。
タウンエース 乗り心地 改善
タウンエース ダンパー
タウンエース サスペンション
こんなキーワードで検索しまくっていた時に、ふと見つけたのが「ネオチューン」という言葉でした。

ネーミング的には「ネオ」ってちょっと怪しい感満載(失礼)なんですが、内容を知ったら「これちょっとイケるんじゃね?」と直感的に感じました。
詳しく調べてみると「ネオチューン」とは、純正ショック(ダンパー)の中身(オイル)を入れ替えてチューニングオイルと入替え、乗り心地や操安性などを改善する…という、千葉県のサンコーワークスというショップが開発した技術とのことでした。
ネオチューン施工の効果はこちら
- 乗り心地UP(ノーマルよりソフトにもハードにもセットアップ可能)
- コーナリング性能UP(ロール量やロール速度を低減)
- ブレーキング性能UP(フロントダイブ量やダイブ速度を低減)
- 接地性能UP(タイヤの偏磨耗を低減)
- 走行安定性UP(アクセルとブレーキの無駄な操作を省き燃料消費を低減)
- ECO(ノーマルショックアブソバーを再利用する新発想による廃棄物の低減)
もし適合する製品があれば「ダンパー交換もありだな」と考えていて、カヤバとかモンローとか色々見て回っていたところだったので、純正ダンパーをそのまま使えるのであればエコだし、車検もOKとのことなので施工前提でショップにメールを投げ実際に訪問して話を聞きました。
ネット上に情報が少なく、YOUTUBE動画もあまり数がないので決断には少々勇気が必要でしたが、前後左右4本工賃込みで8万円との見積もりで、ダンパー交換なら10万円超は確実だろう…という自分を気休めしつつ「えいや」と決断しました。
施工中は代車を借りて一旦帰宅、約5~6時間で施工完了の連絡がありました。
実際に施工して乗ってみるともうまったく別のクルマです。いや別のクルマではないけれど、タウンエースバンベースの派生車種の上級グレードって感じでした。ショップの方を助手席に乗せて近隣をお試し走行したのですが、走り始めた瞬間に「わ!全然違う!」と声が出てしまいました。
正直、劇的な変化でした。
まず「突き上げ」がありません。「ガツン」「ガタン」「ドスン」という大きな入力が車体全体に伝わるような感じが消え、「ドン」→「タン」な感じになりました。軟らかさで感じなくしているのではなく、サスの動作が軽快になってダンパーの動きで吸収しているような印象といえばわかるでしょうか。
記事タイトルにある「もはや商用バンの乗り味ではない」は、ネオチューン施工後に最初に感じたものです。
一言でいうと「上質」です。
高級車と比べるべくもありませんが、タウンエースとしてはかなり上質な乗り味と言えると思いますし、コスト81,400円(工賃込み)はまずまずのコスパじゃないかと思っています。

ネオチューン施工から約4か月が経過しました。施工直後はもう少しソフトライドだったと思うんですが、少し硬めに変化したように思います。ショップでも1か月ぐらいで馴染んで最初とは乗り味が変わってくるよ…と言われてましたが、「あ、硬くなるんだ」という感じです。勝手に軟らかく変化するんだと思い込んでいたので意外でした。
ネオチューンは、一度施工しても再セッティングが可能である点も大きなメリットです。今回自分は「コンフォート」を選択しましたが、もう少し軟らかくてもいいかな…と思っているので、来年にでも「スーパーコンフォート」にリセッティングするかもしれません(リセッティングは最初の施工より料金は割安らしいです)。
レカロシートにシート交換

タイヤ交換とネオチューンとで乗り味がマイルドになったことを受け、レカロシートに換装しました。レカロは乗り心地改善というより「疲労軽減」「腰痛対策」が主眼ですが、乗り心地にも影響がありました。
レカロは、コンフォート系のSR-7Fといえどふかふかで乗り心地の良さを提供してくれるシートではなく、逆に、路面の状況などをダイレクトに伝える方向に作用すると考えていたので、ある程度の足の柔軟さを施工してからでないと、乗り心地最悪になってしまう恐れがあったためです。
タイヤ交換+ネオチューン施工後、短い期間ですがヘタった純正シートに高反発クッションを敷いた状態で乗る機会がありましたが、レカロ換装後は純正シートよりも、よく言えば情報量が増えた、悪く言うとゴツゴツ感が伝わりやすくなった印象でした。
もしこれでネオチューンしていなければとても乗れなかったんじゃないか…と思います。
高速やバイパスなど舗装状態が一定以上の高速走行可能な道路はめっちゃ快適です。フラットだしフワつきはないし、姿勢制御も良いので安心感もあります。次項で述べますが「防音」「遮音」対策の効果もあって静粛性もあがっています。
ただ、ネオチューン施工後1か月経過して少し硬めな乗り味に変化してきたこともあって、市街地や住宅地などの補修跡があちこちにあるような路面では、1つ1つの揺れをしっかり伝えてくるので、少々ウザい感じがしています。ネオチューンはもう1つ柔らかな「スーパーコンフォート」でよかったかも…と思います。
コスト407,000円は少々大きな出費で当然分割払いですが、購入施工店のクレジットカードを作ることで無金利36回払いにできたので、費用負担はかなり軽減され「装着して良かった、正解だった」と思えます。

レカロシートは「乗り心地改善」という括りではあまり効果的とは言えません。硬いですし、尻で座るようなタウンエースのシートポジションでは太腿で支えられないので尻に果汁が一点集中して痛くなります。でも「ドライブ後の疲労感」の点では効果抜群です。肩こり・腰痛、変な体の傷みや軋みがありません。トータルとして装着してよかったと感じています。
制振材

タウンエースバンのシート下のエンジンルームを開けたことがない方には何だかわかりにくい画像かと思いますが、シートを後ろに倒してエンジンルームを開け、シート下に制振材と断熱吸音材を施工した状態です。

乗り心地とは直接関係ないですが、大きな意味での乗り味の向上ということでは走行中に普通の声の大きさでは助手席との会話がままならない状況だった走行中の騒音の低減も1つの課題でした。
走行中の騒音というと乗用車だとロードノイズですが、タウンエースはシート下にエンジンがあり、しかもエンジンの隙間からは路面が直接見えてしまうので、シート下からはエンジン音だけでなく、タイヤ騒音を含む外部騒音も侵入してきているはずです。

当初はタイヤハウスや床面も施工するつもりだったのですが、根が面倒くさがりなので「まずはエンジンルームの防音」ということで、制振材を設置してみた…というわけです。
「音は振動」を原則に、クルマのデッドニング(静音施工)は、制振・遮音・吸音があり、大きな音は制振で伝わりにくくなる…と何かで読んだ覚えがあるので、とりあえず最も騒音が侵入しているであろうエンジンルーム(シート下)に制振材と、ルーフ・ソーラーパネルを施工した際の防音材の残りを吸音材として貼り付けました。
まだまだ「やろう」と思えば、フロア、タイヤハウス、ドアなど制振すべき箇所はたくさんありますが、とりあえずエンジンルームの制振だけでも相当な効果があり、クルマに疎い奥さんも「あれ静かになったね」と言うぐらい変わりました。
リア部分や、スライドドアやリアハッチなども同様の制振を施工を行おうと考えています。

制振材貼付による防振対策は意外に効果がありました。長時間のドライブになると音で疲れてしまうことってあると思うのですが、その点で、細かな振動や音が低減された結果、ドライブ後の疲労が軽減されたと感じます。乗り心地自体に直接影響はしませんが、コストも安く済むのでぜひ取り組むべき対策かと思います。
軽量化は乗り心地にはマイナス要因

我が家のタウンエースバンはキャンパー使用のアルトピアーノで、左リアタイヤ上にサブバッテリーや冷蔵庫とその収納庫などを装備していましたが、これらを交換・撤去することで相当量の軽量化を行っています。
まずはサブバッテリーを、ディープサイクルバッテリーから、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーに交換したことで、バッテリー自体の性能や安全性、寿命が向上するとともに、19kgの大幅な軽量化となりました。
さらに、購入時に装備されていた冷凍冷蔵庫とその収納庫を構造物ごと撤去しており、この分も合わせると、トータルで30kg程度の軽量化になっていると思われます。
パワーウエイトレシオで0.31kg/1psの向上が見られ、登坂などで明らかに楽になっりましたが、反面、バンとしては「空荷」の状態に近くなり、特にリアの跳ねが協調されてしまった印象です。
ネオチューンで改善したものの、軽量化によって相殺されてしまっている印象です。
現在、ネオチューンを「スーパーコンフォート」(もう1段軟らかい設定))に再セッティングしようと考えています。
乗り心地改善まとめ

なんでアルトピアーノ購入から3年以上経ってからやり始めたの?やるならもっと早くやればよかったのに…。
なんて思われるかもしれないんですけど、正直、このクルマに長く乗るかどうか自分でも分からなかったんです。ずっと「快速SUV」に乗ってきて初めての商用バンベースのバンコンで、いつまで飽きずに乗るのか自信がなかったんですね。
でも、荷室にダイネットを積んでいるこのクルマでのちょっとした休憩や車中泊が気に入って、ようやく「ずっと乗るな、これ」と思うようになったのが最近だったという訳です。
制振材はまだ追加施工する可能性はありますが、とりあえず我が家のアルトピアーノの乗り心地改善はここまででピリオドとしたいと思います(ネオチューンの設定は変えるかもですが)。
乗り心地には関係ありませんが、ルーフには200Wソーラーパネルを取り付けて電力供給の面でも納得していて、アルトピアーノはかなり満足度の高いクルマに仕上がってきています(内装はあまり興味がないので放ったらかしですが)。
タウンエースバンやアルトピアーノの乗り心地や乗り味に不満をお持ちの方の参考になればと思います。
それでは今日はこの辺で。
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