そろそろ車内の暖房を考える時期になってきましたので、今回はポータブル電源やサブバッテリーからの給電で使える消費電力500W以下の小型セラミックヒーターによる車内煖房を考えます。
自分はキャンパー車内で「火気は使わない」と決めています。ガスバーナーでメスティン調理ができたら火力も強くサマになるのですが、安全面を担保するため「車内電化」にこだわっています。暖房も火気を使わず電気で賄うことを目指します。
今回は、ポータブル電源(EFDELTA 1260Wh)、またはサブバッテリー(LiTime 12V100Ah)からの給電を前提として、消費電力500W以下のセラミックヒーターを探しました(昨年の記事は600Wの製品が中心でしたが、2023年版では500W以下に絞りました)。
冬のバンライフは寒さとの戦い
一口に車内で寒さと戦うといっても、2通りあると思うんですよね。
1つは『暖かく眠る』こと。多くのバンライファーの方が「いかに寒さを克服して車中泊するか」に腐心されていて、自分もじぶんなりに温かく眠るアイテムを揃え工夫もしてきました。自分は基本的に「暖かく眠れたらキャンプは成功」と考えているので、その辺りはしっかり対策しています。
実は2017年式当時のアルトピアーノは「断熱材」が一切はいっていないので、よほど頑張らないと冬場の車中泊は命にかかわるので、かなりは頑張りました^^
就寝時は、「空間暖房」ではなく、身体の周囲だけ温める暖房です。例えば、マット+寝袋、毛布、湯たんぽや電気毛布などです。就寝時にも空間ごと暖かければそれに越したことはありませんが、電力不足などを考えると身体がぬくぬくなのが眠りやすいかと思います。
もう1つは『暖かく過ごすこと』。
これは就寝時以外を車内で過ごす時間のことですが、例えばワーケーションするとか、車内食ランチとか、比較的短時間(1~2時間)を車内で過ごす場合もすくなくありません。
こちらは空間暖房で、車内全体を暖めるようなイメージになります。
今回のテーマは就寝時の温かさとは少し違って、例えば飲食や休憩、ワーケーションなどで1~2時間過ごす際の『空間暖房』用のセラミックヒーターが欲しい…ってことなんです。
就寝時に電気で車内空間全体を6~7時間温めるのは無理
FFヒータ装備なら問題ないのですが、火気を使った暖房は空間を温めるのに向いていますが、一酸化炭素中毒や酸欠が怖いですし、何かの拍子に火が燃え移ったら「火災」も可能性としてはあり得ます。
そこで「車内電化」を掲げているものの、以前から何度か試してきましたが就寝時の空間暖房をセラミックヒーターで賄う場合、サブバッテリーやポータブル電源からの給電では無理です。
外部AC電源から給電できない限り電力が足りません。
そもそも外気と大差ないバンコン車内を300W程度のヒーターで温めることには無理があります。最低でも500Wはひつようではないかと思います。実際に550Wのデロンギ・セラミックヒーターを使ってみたところ暖房能力は十分でしたので。
ただ、就寝している間の電力をポータブル電源で賄うのは厳しいです。500Wであっても6時間運転すると3000Whもの電力が必要になります。7時間なら3500W、8時間では4000Wです。
というわけで、自分は就寝時には空間暖房は諦めています。マット&寝袋・毛布、さらに電気毛布で凌ぐように対策していますので、ここでは1~2時間の短時間を車内で過ごす前提でセラミックヒーターを探しています。
消費電力550Wのデロンギ・セラミックヒーターを使うとこうなる
現在我が家にあるデロンギのセラミックヒーターの消費電力を実測すると、時間当たり、「弱」でも645W、「中」で752W、「強」にすると1247Wを消費します(ちなみに50Hzで駆動しています)。
メーカーによる公称値は、消費電力:弱550W/中800W/強1350W(50Hz)なので、「中」と「強」はカタログデータを下回っているのに、肝心の「弱」が逆に上回ってしまっているのは残念ですが、車内は弱550Wでも十分に温かくなります。
温風が自分に向いていると暑いぐらいなので、小型バンコンのタウンエースクラスの車内であれば暖房能力としては500Wで充分ではないかと思います。
好天の日中なら太陽光発電で電力を補える
昨年2022年の冬と違うのは、ソーラーパネルをアルトピアーノの屋根に設置した事です。ポータブル電源を太陽光で充電しながらセラミックヒーターを使うことで、若干使用可能時間を延ばせます。
このソーラーパネルは一般的な「結晶シリコン」製ではなく、「CIGS」の200Wパネルで曇天でも発電でき、パネルに影がかかっても発電量があまり落ちないのが特徴です。日の高い夏場で160~180Wぐらい、日の低い冬場だと120~140W程度、ヘタすると100W前後になるかもしれませんが…。
例えば、500Wのセラミックヒーターがスペック通り1時間に500Wを消費したとすると、12580Whのポータブル電源EFDELTAからの給電で約2時間ほど運転できる計算になりますが、ここに120W/時で充電しながら…になると、計算上では運転可能時間は3時間余りになります。
1時間しか違わないと見るか、3時間ゆっくり車内で過ごせると取るか、人それぞれですが、自分的には3時間もあれば十分…と感じます。
どんなセラミックヒーターが車内煖房に向いているのか
セラミックヒーターをアルトピアーノのような小型バンコン車内で使うための条件として以下を想定してみました。
- 小型である(外形寸法)
狭い車内で邪魔にならない、収納性も考慮 - 消費電力は500W前後、できれば未満
デロンギで500Wあれば十分と分かったので400~500Wを目途に - 大風量
風の量も影響があります。電力が低めでも風量が多いと全体が暖まります - 安全性
転倒防止や加熱時のオートストップ機能など
アルトピアーノに限らずバンコン車内にはさほど余ったスペースというものはありませんので、スペース効率は非常に重要で、できるだけ小さい製品がベターです。
消費電力については前述の通りでサイズ的には少しでも小さい方がいいですが、本来の車内を温める能力に欠けては本末転倒なので400~500Wで、できれば風量の多い製品を探しました。
Amazonで探してみてわかったのですが、消費電力500Wのセラミックファンヒーターはひおとんどなく、多くが600W/1200Wno切り替えでした。ただポータブル電源からの給電を考えると僅か100Wであっても稼働時間に影響しますので500Wにこだわりたいところです。
消費電力400~600Wのセラミックヒーター7選
ピックアップしたセラミックヒーターは以下のとおりです。
どうしても中華製になりがちですが、できるだけ評価のよいものを選びました。中華製は入れ替えが激しく、記事更新から少し経つとすぐにラインアップから消えてしまうので、もし品切れ等の場合はご容赦ください(気づいたら入れ替えるようにします)。
MOVEFUN 小型セラミックファンヒーター 500W
サイズは135x145x150mm、重さ650gの丸型の小型足元ヒーターです。500Wで駆動可能で「PSE認証済み」との記載があります。
加熱時に電源を自動でOFFにする機能はありますが、転倒時の電源OFFは記載が見当たりませんでした。非常に価格が安いので、逆に品質は心配ですが失敗しても損害は最小…と考えるべきでしょうか。
Sugeya セラミックファンヒーター 500W/1000W切替
サイズは、150x95x250mm、重量約830gの送風&温風機能付き500W/1000Wの切り替えファンヒーターです。
転倒自動オフ機能、加熱時(約70℃)サーモスタット付きです。そのほか、タイマー機能や「やけど防止用ハンドル」付きなどちょっと気が利いている印象です。
スリーアップ 800W/400W 横置きセラミックヒーター
サイズ270×120×120mm、重量1.3kgのセラミックファンヒーターで、珍しい「弱400W」運転が可能です。また縦横自由に置ける形状で、「人感センサー」「自動オフタイマー8時間」付きです。
安全装置としては、「温度ヒューズ」によるサーモスタット、転倒時自動オフスイッチ機能があります。
少し大柄な製品ですが、横置きができるので狭い車内での設置や収納に向いているかもしれません。
トップランド セラミックヒーター SC-CH1000
サイズ126×110×353mm、本体重量:1.23kgの若干大柄なセラミックファンヒーターで、500W/1000Wの切換え可能です。縦横どちらでも置ける2Wayタイプです。「人感センサー」や「切りタイマー」を備えます。
安全機能としては「転倒時自動オフ機能」を備えます。
アイリスオーヤマ セラミックファンヒーター JCH-M082T
サイズ230×135×365mm、重量2.2kgのアイリスオオヤマのセラミックファンヒーターで「人感センサー」を備えています(人感センサーを使用しない連続運転も可能)。
小型バンコン等の小さなクルマの車内に置くにはちょっと大型です。消費電力は弱400W、強800Wの2段階切替式です。
安全装置は「チャイルドロック」「温度ヒューズ制御」「電流ヒューズ制御」「サーモスタット」を備えています。
デロンギ セラミックヒーター DCH6031J
デロンギDCH6031Jも載せておきます。
サイズは230x60x270mm、重量1.6kgで、強1350W/中800W/弱550W(50Hz)の切換え式です。生産国は中国ですが、一応「デロンギのイタリアンデザイン」がウリです。
周囲温度が5℃以下になると5℃を維持するように稼働する「凍結防止機能」付き。安全機能としては「転倒時自動電源遮断装置」「温度過昇防止復帰型サーモスタット」を備えています。
弱運転時の消費電力は550Wで「500W以下」ではないのですが、自分が実際車内で使用している実績があるので掲載しておきます。サイズ感もほどほどで愛用しています。
雪の日の車内でデロンギファンヒーターDCH6031Jを試す
この日、川崎では前日からの降雨が朝には雪に変わり市内でも2~3cmの降雪となりました。
常々「めっちゃ寒い日にファンヒーターの実力を試したい」と思っていたのでこれはもう試さずにいられません。
試したかったのは、デロンギのセラミックファンヒーターで、550/800/1250Wの3段階に切り替えられます。普段は4.5畳の書斎の暖房を担っています。
まずは単純に暖房能力のテストを行うため「外部電源」でAC100Vを供給してテストしました。
車内滞在とセラミックファンヒーターの暖房能力
持ち込んだスマホやタブレットでWEBや動画を見たり、ゲームをしたりして予定を少しオーバーして2時間半ほど車内で過ごしました。
その間、3段階に切り替えられるヒーターを一定の時間ごとに切り替えて暖房能力やその効果をチェックしてみました。
550Wで連続運転した場合の車内
500Wではほとんど気温は上がらず、ヒーターからも暖かい風はあまり出ておらず、暖房能力は、先日の300Wのヒーターを持ち込んだ箱根キャンプと同じ程度に感じました。
800Wで連続運転した場合の車内
少し時間はかかるが徐々に車内が温まる感じ。車内にいる時間がある程度の時間になるのであれば、550Wがちょうどよい煖房になるかもしれません。寝袋や毛布などとの併用で、実用性があるかもしれません。
1250Wで連続運転した場合の車内
暖かい空気がある程度のボリュームで噴出していて、風の当たる部分だけでなく全体の気温を上げるだけの能力があるようでした。車内全体が暖かくなり、特に天井付近ははっきりと分かるほど暖気が溜まっていました。
頭部は暑いぐらいになるのですが、ベッド下の足元空間の冷気はそのままなので、扇風機などを併用して循環させる必要がありそうです。換気扇を回してしまうと温まった車内上部の空気から排出してしまうので、やはり循環が必要と感じました。
実際にキャンプ時にセラミックヒーターを使用する場合には、1250Wでの運転が必要で、その場合でも扇風機で風を循環させる、あるいは、荷物などでベッド以外の部分の空間を埋める等、ベッド下の空間の気温上昇、または冷気侵入防止の工夫が必要と感じました。
セラミックファンヒーターを車内で使う際の注意点
今回の実験で分かったのは、以下のような事柄です。
- 1250W/800Wであれば車内の気温はしっかり上昇させる事が可能な事
- 寝袋や毛布などと組み合わせれば、550Wでも実用的な防寒が可能
- ただしベッド下の冷気を暖める工夫が必要な事(扇風機での循環等)
- 1250W/800W時は利用時には外部電源からの電力供給が必須
車内煖房の最有力な選択肢は「FFヒーター」だと思いますが、残念ながらアルトピアーノには「FFヒーター」のオプションは用意されていません。
パネルヒーターやオイルヒーターなどは温まるまでに時間がかかりますし、消費電力の問題もあって車内での利用には向いているとは言えません。
となると、次の選択肢としては「車内で火気を使わない」とすればセラミックヒーターぐらいしか選択肢がないのではないか…と思います。
サブバッテリーやポータブル電源でセラミックヒーターは使えるか
結論から言えば「否」でもあり「可」でもあります。
上記の実験は、自宅駐車場で外部電源に接続した状態で行っていますので、800Wでも1250Wでも、W数には無関係に使用できていて車内を暖めることが可能でした。AC電源を使えるキャンプ場などでは同条件でセラミックヒーターの能力をフルにりようすることが可能です。
ただ、外部電源を使わない場合、車内で用意できる電力には限界があるため、使用可能時間によって「可」でもあり、「否」でもあるわけです。
複数のバッテリーを連ねて大容量のサブバッテリーシステムを組むか、巨大でヘビー級のポータブル電源を持ち込むことができれば、800~1000Wクラスのヒーターを一晩中運転することも可能なので「可」となりますが、一般的な100A程度のサブバッテリーや、1500Whクラスのポータブル電源では、1~3時間程度の運転しかできず「否」となります。
結論としては、外部電源や大容量電源を用意できる場合には電力を気にせずにセラミックヒーターを使える、100Aや1500Wh程度の電源であれば、就寝中は寝袋などの他の防寒用品に頼り、数時間の休憩や飲食などで使用すると言うことになりそうです。
車内で使えるセラミックファンヒーター まとめ
今回は、車内での飲食・休憩時やパソコン作業時の車内煖房用のセラミックヒーターを探しました。
今回の用途=車内でポータブル電源からの給電で2時間煖房する=で検討する際に、過去に300Wヒータではまるで役に立たなかった経緯を踏まえ500Wで探しました。昨年の記事では600Wヒーターが中心になってしまいましたが、2023年版では500W以下を条件に探すことができました。
しかし、それでも就寝中ずっと温風を出し続けることは、余程容量の大きな電源がないと無理な相談なので、就寝前に少し車内を温めておいて、あとは他の方法で防寒するしかなさそうです。
それでは今日はこの辺で。
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