今回は、追加購入して2枚になったソーラーパネルでポータブル電源を充電する際に、直列に繋ぐか、並列に繋ぐか、それぞれのメリット・デメリットや注意点などを忘備録的にまとめてみます。
電気料金高いですよね。政府から節電要請なんてされなくても、こう料金が高いといやが上にも「節電」意識が高まります。というか節電というより出費を抑えたい気持ち…が正解かもしれません。
今回は、貯めていたポイントでソーラーパネルを追加したので、発電能力はアップしたのですが、ポータブル電源の充電の際には「直列」と「並列」のつなぎ方があって、それぞれにメリット・デメリットがあり、さらに並列接続時には注意すべき点もあるようなので、自身の学習&忘備のために記事化しておこうと思います。
先日、日ごろ貯めている某ポイントが3万ポイントを超えたので、たまたま対象品にあったソーラーパネルに交換しました。たまたま、そのソーラーパネルが、自分が普段使っているEcoFlow110Wパネルだったので、2枚接続して使用することで発電能力をアップできる…ということで選びました。
ソーラーパネルは、最大110W発電できる…とあっても、現実的には概ね60~80%程度の発電量であれば「合格」と言えます。実際に自宅でパネルを使っていても、人の目には「いい天気」と見える日でも、かならずしも100Wなんてめったに目にすることはありません。
とはいえ、実際従来から使っている110Wパネルは普通に晴れていれば冬場で70~80W程度、夏場だと100Wを超え、最大値110Wまで出たこともあるので、EcoFlow110Wパネルは、なかなか優秀なソーラーパネルと思っています。
届いたパネルはリニューアルされていた!
注文品が届きました。
自分の想定としては、同じ製品110Wパネルを2枚接続(この時点では並列接続を想定)して充電量を上げ、消費した電力をその日のうちにできるだけ回復したいと考えていました。
一番の望みは使った電力をその日のうちにすべて回復できることです。そうじゃないと足りない分はAC100Vから使うことになるので。使った分を毎日回復して使い続けられることがサスティナブルな節電ってもんじゃないかと思うんです。
それゆえ、某ポイントサービスの対象品に「EcoFlow110Wパネル」を見つけた時には、我が家のオフグリッド(電線に接続していないという意味)生活の割合がより拡大する…とかなり喜び勇んで注文した次第です。
ところが交換申し込みから数日後に届いたパネルは、なんとリニューアルが行われて、旧製品と新製品とでは、外観(形状やサイズ)はもちろん、電圧値や電流値もわずかに変更になっていました。
新旧パネルのスペックの違い
見た目は違ってもスペック的には同じ…ということもあるかと見ると微妙ながら以下の違いがありました。
手元にあった旧110Wソーラーパネルのスペックは
- 定格出力:110W(+/-5W)
- 回路電圧:21.7V(Vmp18.5V)
- 短絡電流:6.3A(Imp6.0A)
となっています。
一方、新たに購入した110Wソーラーパネルのスペックは
- 定格出力:110W(+/-5W)
- 回路電圧:21.8V (Vmp 18.4V)
- 短絡電流:6.5A(Imp 6.0A)
となっています。
「回路電圧」「短絡電流」がそれぞれ0.1V/0.2A違っており、肝心の「Vmp」で0.1V、Impは同値でした。ほとんど誤差のような違いですがぴったり同じではありませんでした。
メーカーに問い合わせてみる
拙い自分の知識でも、『ソーラーパネルを複数枚接続して使用する場合には、同じ仕様の製品を使うのが大原則』だということは知っていますが、僅か0.1V違いを「違い」として扱うべきなのか、無視してよいのか、素人だけに自信を持って判断することができません。
そこで、困った時のメーカーサポートです。
お世話になります。(中略)
今回はソーラーパネルの並列接続についてお問い合わせしたくメールいたしました。
元々所有していた「110Wソーラーパネル」を並列接続したいと思い、新たに「110Wソーラーパネル」を追加購入いたしました。新しい製品が届いて開封したところ、パネル形状やスペックが異なっており、旧製品からリニューアルを受けたようです。
手元にあった旧110Wソーラーパネルのスペックは
・定格出力:110W(+/-5W)
・回路電圧:21.7V(Vmp18.5V)
・短絡電流:6.3A(Imp6.0A)
となっています。一方、新たに購入した110Wソーラーパネルのスペックは
・定格出力:110W(+/-5W)
・回路電圧:21.8V (Vmp 18.4V)
・短絡電流:6.5A(Imp 6.0A)
となっています。
定格出力は同値ですが、回路電圧と短絡電流はわずかに数値が異なっています。また、個別に使用してみたところ、発電量にかなり差があるようです(例えば、旧パネルで70W前後の時に、すぐ隣に設置した新パネルでは100W前後の入力となります)。
この2枚のソーラーパネルを並列接続してポータブル電源(EFDELTAを使用)に充電可能でしょうか。また、もし可能な場合、何か注意すべき点はあるでしょうか(逆流防止ダイオードが必要など)。並列接続に必要な情報、知識などありましたら併せてご教示頂ければ幸いです。(後略)
3日後に回答を頂けました。
お世話になっております。
EcoFlow Technology Japan(エコフロー・テクノロジージャパン)サポートセンターです。
ご質問いただきました内容に関しまして、回答いたします。
<回答>
まず並列接続と直列接続の違いを説明させて頂きます。
並列では、ソーラーパネルの電圧は変わらず、電流は合計になります。直列では、ソーラーパネルの電流は変わらず、電圧は合計になります。EFDELTAのソーラー充電仕様は10-65V, 10A, 最大400Wとなります。
新旧の110Wソーラーパネルを各1枚で直列接続すると、電圧が43.5V、電流が6.3Aになります。並列接続すると、電圧が21.7V、電流が12.8Aになります(新旧のパネルの組み合わせの併用は問題ございません)。
EFDELTAの仕様では並列直列どちらも接続可能なため、直列接続することをお勧めいたします。並列接続する場合は、別売りの並列接続用ケーブルをご用意頂く必要がございます。また、EFDELTAは逆流防止装置が搭載されております(ここ重要!後述)。
以上、よろしくお願いいたします。
なお本お問い合わせに対する追加のご質問やご要望等に関しましてはこのメールにご返信していただきますようよろしくお願い申し上げます。(後略)
- 新旧パネルを接続して使用することは問題なくOK
- 2枚のパネルを直列接続した場合でも、ポータブル電源側の仕様(許容電圧)を下回るので直列接続した方がより大きな電圧で充電できる
ということが分かりました。
メーカーによって基準が異なる場合あり
余談ですが、我が家にあるEFDELTA以外のポータブル電源のソーラーパネル接続時の許容スペックは
【Bluetti EB70S】12V-28V,Max200W
【Bluetti EB3A】12V-28V,Max200W
と同スペックで、パネルを並列接続(21.7V)で充電可能ですが、最大200Wなので、電流が9.2Aまで抑えられて最大200Wで充電される…ということになります。もちろん、2枚接続せずに個別に各々の電源に充電することも可能です。
『おいおい、電流が9.2Aまで抑えられて最大200Wで充電』ってどういう意味だよ?と思った方もいると思いますので、その点の説明をしておきますね。
以下は、EcoFlowではない他社のサポートに、ポータブル電源にソーラーパネルが接続できるか判断する際に「開放電圧」なのか、「Vmp」なのかを問い合わせた際の回答の一部です。
質問:「○○(製品名)」の入力電力は120Wですが、使用したいソーラーパネルの出力電力は200Wです。Voc/Iscまたは、Vmp/Impが○○の入力値以内の場合、パネルの出力が電源の入力電力を上回っても大丈夫なのでしょうか。
以下回答:
「○○」が受け取れる最大電力は120Wとなります。
仮に200Wでパネルが出力した場合、200Wの電力が「○○」へ流れることは御座いません。
『W=V×A』
上記式に当てはめた場合、A数に関しましては充電されるデバイスの要求値によって流れるA数が決まります。仮にソーラーパネルが最大出力の20.5V、9.7A(198W)を出力できる状態でもA数が最大5.85Aに制限され120Wしか入力できなくなります。
規定値を超える発電力のソーラーパネルを接続できるかの判断は「開放電圧」か「Vmp」かの質問なので、電流に関しては関連した説明なので非常に簡素に説明されていますが、この回答によって、
(1)ソーラーパネルの接続可否は電圧(Vmp)によって判断する
(2)電流はポータブル電源の要求値によって変動する
ということがわかる…というわけです。
『ちょっと待て。電圧というのは「開放電圧」のことじゃないのか?』
と思った方も少なからずいると思います。
「開放電圧」を判断基準にするとしている記事が多いですし、実際、上記のEcoFlowの回答の「電圧が21.7V、電流が12.8Aになります」は「開放電圧」を基準にしています。
しかし一方では、別メーカーでは以下のような基準を示しているケースもあります。
質問:
ソーラーパネルの使用可否は、Voc/Iscを見るのかVmp/Impを見るのか、いずれでしょうか。
この場合は両方の数値が○○(製品名)の入力値以内ですが、仮に、Vmp/Impは規定内、Voc/Iscが超過の場合、どう判断すればよいのでしょうか。
回答:
→こちらに関しましてはVmp/Impで判断いただくことが可能です。
Voc(開放電圧)→太陽電池の発生する最大電圧。
Isc(短絡電流)→太陽電池が発生する最大電流。
Vmp→最大出力動作電圧
Imp→最大出力動作電流
このメーカーでは「Vmp/Imp」で判断して良いと回答しています。
上記の「EB70S/EB3A」と「110Wパネル×2並列」では「開放電圧」で許容範囲内ですが、別の組み合わせでは「開放電圧」ではNGだが「Vmp」は規定内…という組み合わせで実際にポータブル電源を充電しています。
アルトピアーノのルーフに取り付けたBougeRV製の200WCIGS系パネルの出力値は、開放電圧31.5V・Vmp25Vで、EB70S/EB3Aの「12V-28V」を、開放電圧では上回り、Vmpでは下回っています。
このVmp値を判断基準にした組み合わせでEB70S/EB3Aを充電していますが特に問題なく充電できていますし、今のところ電源自体の不調は見られません(Bluettiには開放電圧とVmpの判断基準を問い合わせていません)。
結局のところ、ポータブル電源のメーカーの考えに従うしかないので、そうした許容値ギリギリのパネルを使う際には使用可能かどうかを確認した方が良さそうです(自分はVmp判断にしちゃっていますが)。
EFDELTAを110W×2枚で充電してみた
直列にしろ、並列にしろ、いずれの場合でも2枚を接続して使えると分かったので、早速、EFDELTAに充電してみました。
ソーラーパネルの設置方法
我が家はマンション住まいですが、1階の専用庭+駐車場付き世帯です。
周囲をマンション棟や垣根木に囲まれているため、日照時間はあまり長くありません。
草花や野菜であれば多少の影ができても大きな問題はないですが、ソーラーパネル全体に日差しが当たる時間は夏場で4時間強、冬場は3時間強といったところですので、いかに効率よく短時間で発電~充するかが重要です。
常設のソーラーパネルは置けませんのでポータブルのパネルを使っています。地面やクルマの屋根に平置き、冬はフェンスにぶら下げ、園芸用のポールで角度をつけて設置しています。
いずれにしても重要なのは太陽との角度で、できるだけ正対させるように設置できれば、同じパネル、同じ場所、同じ天気でも発電量を稼ぐことができます。
そこで専用庭脇の駐車場のアルトピアーノの屋根の上に設置すると、日は当たりやすくなりますが、それでも垣根の影がかかりやすいこともあって、日照時間が大幅に伸びるわけではありません。
マンションでソーラー発電をするのは、日照をいかに集中してパネルに当てるかが肝です。
110Wパネル×1の発電量を再チェック
手持ちの110Wパネルの発電量は、だいたい60~70W程度といったところです。
もちろん設置場所やその日の天候に大きく左右されますし、時間経過によっても発電量は違います。11:30~12:30の1時間ほどが最大発電量を稼ぐ時間帯で、そこから時間経過とともに徐々に発電量は落ちてゆきます。
我が家では、庭に日差しが当たり始めるのがちょうどそのぐらいの時間帯から、午後2時半ぐらいまでが限度です。
新たな110Wパネルは発電量が多めで、感覚的になってしまいますが、同条件で70~90W程度発電する感じです。
古い方のパネルの経年劣化の影響も考えられますが、新パネルは発電量は多くなった代わりに「影」にめっぽう弱い特性を持っているように感じます。園芸用のポールや樹葉の影が少しかかるだけで発電量がガクっと減りますので、パネルの特性を変えたのかもしれません。
例えばこちら。
これは、旧パネルにはすでに全面に太陽光が当たり、新パネルの半分まで当たり始めていますが、この状態の時に、発電量は旧パネルだけでの発電時とまったく同等で発電量は増えません。
この配置を逆にして、新パネルに先に日差しが当たるようにして、旧パネルに半分ほど日差しが当たる状態にすると、新パネルだけの発電量よりも15~20Wぐらい多く発電します。
つまり、旧パネルは影が差しても日差しが当たった部分で発電するが全体的な発電量は小さい、新パネルは全体的な発電量は大きいが、陰に弱く僅かでも影が差すとまったく発電しなくなってしまう…といった各々の特性があることがわかります。
※旧モデルは終売です。特性を選んで旧タイプを指定して購入することはできません。
110Wパネル×2枚を直列接続で充電してみた
スペック的には110Wパネル×2枚で220Wになるはずですが、実際の発電量は6~7割出ていれば十分合格ではないかと思います。写真撮れていないのですが、2枚直列接続で190Wまで出たこともありましたので、能力的にはかなりの向上と言えそうです。
150~180W/1時間の発電が可能であれば、日に3時間の日照で450~540Wh程度の容量を回復させられます。500Wは、EB70Sでは約70%、EB3Aでは190%を回復できるので充分サスティナブルかと思います。EFDELTAでは容量の約40%にしかならないのでもう少し回復量が欲しいところです。
ただ、消費量との対比でみれば、この発電量500Wなら約200Wの毎日の消費分を十分に回復させ、時々曇天や雨天があったとしても、「オフグリッド」(電線に接続していない状態)を継続できそうです。
発電量500W⇔消費量200Wではかなり余裕があるので、もう少しEFDELTAに貯めた電力で賄う電力を増やすことを考えてもよいかもしれません。
直列接続のメリットとデメリット
本稿ではポータブル電源にソーラーパネルから充電することを前提にしています。家の屋根などに取り付けたソーラーパネルでの発電とは少し異なる部分があるかと思いますが、直列接続のメリットとデメリットをまとめてみました。
(1)電流は同じで電圧が高くなる
よくある記述は、「電圧が高いと電圧の高い電気製品を動かすことができる」ですが、これって何がメリットなんだかよく分かりません。例えば「電気製品をソーラーパネルの発電で使う際、1枚のパネルでは電圧不足で動かなくても2枚なら動きます」ですが、ソーラーパネルに直接電気製品を繋いで動かしますかね?
普通は一旦ポータブル電源やサブバッテリーに充電して、パススルー機能を使うなどして電気機器を動かさないですかね?そうすると、パススルーで使う場合にはソーラパネルの電圧は電気製品に影響しないと思うんですが。
(2)ケーブル購入が不要
直列接続の場合には電圧が上がり、電流はそのままなので、ケーブルを太いものに変更する必要もありませんし、パネルに付属のケーブルと、ポータブル電源付属のケーブルだけで充電が可能です。
(3)日照量の影響を受けにくい
電圧が高いことのメリットとして、薄日や曇天でもわずか数W~数十W程度は発電できる可能性があることが挙げられます。
ただこれも実体験で言えば、一概のそうとも言い切れません。というのもEcoFlowの新旧パネルはかなり性格が異なるパネルに仕上がっていて、旧モデルは発電量は少し少な目ですが日差しの強弱に影響を受けにくく粘り強く発電してくれる印象です。
一方、新タイプは好条件下での発電量は高めですが、条件悪化による発電量低下が著しい印象があります。薄日ではほとんど発電しない印象で、直列接続をしても日照条件の悪化に強いというより、旧モデルも新モデル側に引き込んでいる(発電量減少)感じがします。
直列接続のデメリット
直列に複数のパネルを接続するということは、繋いだパネル全体で1枚のパネルと見なすので、一部に影がさすと、全体の発電量が影響を受けやすいのがデメリットです。
我が家の110Wパネル×2枚の直列接続でも、一部に生垣の影がかかると途端に発電量が落ちてしまいます。もともとマンションで日照時間が短い上、影がまったくかからない状況でないと効率よく発電・充電してくれないのは、限られたスペースで発電したい場合には大きなデメリットと言えます。
並列接続のメリットとデメリット(逆流防止ダイオード)
並列接続は、直列接続と逆で、電圧は変わらず電流が2倍になります(同じパネルを2枚使用の場合)。
電流が上がればポータブル電源の充電をより早く充電することが可能ですので、短時間しか日照がない場所や、充電量の回復を急ぐ場合にはそれがメリットとなります。
ただし、電流が増加することからケーブルを太く(より多くの電流に耐えられる)する必要がありますし、パネルに影ができた場合や、日没などで発電しなくなった際に、ポータブル電源から逆流するのを防止するため「逆流防止ダイオード」をケーブルに組み込む必要があるとされており、何かとお金と手間がかかる点がデメリットです。
ただし、EcoFlow EFDELTAについて問い合わせた際の回答の中に『EFDELTAは逆流防止装置が搭載されております』との文言があり、EFDELTAは逆流防止ダイオードを組み込まなくても、電源自体が逆流防止してくれるようです。ただし、EcoFlowの他製品、他社製品も同じかどうかについては未確認ですので不明です。
直列と並列を自宅内で繋ぎ換え可能に
庭に設置した2枚のソーラーパネルから、各々に延長ケーブルを接続して自宅内に引き込むことで、直列接続と並列接続を手元で繋ぎ換えることが可能にしてあります。
※出力別のソーラーパネル選びの詳細はこちら↓ 用語の解説もわかりやすく…
今回はソーラパネルが2枚になったので、直列接続と並列接続のメリット・デメリット、注意点などについてまとめました。
メイン電源であるEFDELTAは2枚直列、EB70S/EB3Aは、1枚ずつ個別に接続して2台同時に充電するパターンで2枚の110Wソーラーパネルを活用しています。
電圧の問題や、接続可能なソーラーパネルの基準がメーカーによって異なるのは少々やっかいです。
「Vmp」より値の大きな「開放電圧」で判断しておけば間違いはないですが、自分が使用しているポータブル電源メーカーに問い合わせて正しい理解の元での使用がおすすめです。
それでは今日はこの辺で。