今回はコンパクトクラスの人気ポータブル電源「RIVER 2(EcoFlow)」と「AC60(Bluetti)」の比較をしてみようと思います。

実は自分は「RIVER 2 Max」と「AC60+B80」を実際に使ったことがあって、2台のポータブル電源の使い勝手の違いを体験しています。そのあたりの経験値も含めて2台の人気電源を比較してみようと思います。
車中泊やキャンプはもとより、昨今では災害時への備えや、節電目的などでポータブル電源やソーラーパネルが注目されていますが、いざ購入…となるとなかなかの高額出費になるので、いかにコスパの高い電源を見つけるかが重要になってきます。
もちろん用途にもよりますが『10万円以内』は1つのボーダーではないかと思います。もし普段のレジャーにも使えて、防災や節電対策にもなる電源が10万円以内で購入できたらいいですよね。今回は10万円以下のポータブル電源の代表格である2台を比較してみます。
RIVER2とAC60のスペックを比較
機種 | RIVER 2 MAX | RIVER 2 Pro | AC60 |
メーカー | EcoFlow | EcoFlow | Bluetti |
電池 | リン酸鉄リチウム | リン酸鉄リチウム | リン酸鉄リチウム |
波形 | 純正弦波 | 純正弦波 | 純正弦波 |
サイクル | 3000 | 3000 | 3000回 |
容量 | 512Wh | 768Wh | 403Wh |
定格出力 | 500W | 800W | 600W |
瞬間最大出力 | 1000W | 1600W | 1200W |
AC出力 | 4 | 4 | 2 |
USB-A | 3 | 3 | 2 |
USB-C | 1 | 1 | 1 |
DC出力 | 5521×2 | 5521×2 | 5521×1 |
シガーソケット | 1 | 1 | 1 |
AC入力 | X-Stream 1000W | X-Stream 1000W | 600W |
ソーラー入力 | 11~50V 220W | 11~50V 220W | 12~28V 200W |
定電圧機能 | X-Boost 最大750W | X-Boost 最大1000W | 電力リフト 最大1200W |
拡張バッテリー | × | × | 〇(最大2台) |
拡張時容量 | – | – | 2,015Wh |
急速充電 | 〇 | 〇 | 〇 |
パススルー | 〇 | 〇 | 〇 |
UPS(EPS) | 30ms | 30ms | 20ms |
ワイヤレス充電 | × | × | 〇 |
スマホ操作 | 〇 | 〇 | 〇 |
防水防塵 | × | × | IP65 |
静音性 | – | – | 40db |
サイズ | 269x259x196mm | 269x259x226mm | 290x205x234mm |
重量 | 6.1kg | 7.8kg | 9.1kg |
通常価格 | 64,900円 | 88,000円 | 79,800円 |
こちらの一覧表は、「RIVER 2 Max」「RIVER 2 Pro」「AC60」のスペックを比較したもので、赤文字が他機種より優れている項目、青文字が劣っている項目です。
いずれもリン酸鉄リチウムイオン電池採用で、充電サイクル3000回の長寿命である点は共通です。
価格的には、AC60は、RIVER 2シリーズの中間機種と上位機種に挟まれたような位置になりますが、特徴的なのは「拡張バッテリー」の有無でしょう。
容量・出力の数値
機種 | RIVER 2 MAX | RIVER 2 Pro | AC60 |
容量 | 512Wh | 768Wh | 403Wh |
拡張バッテリー | × | × | 2台まで 最大2,015Wh |
拡張容量 | – | – | +806Wh(1台) +1,612Wh(2台) |
定格出力 | 500W | 800W | 600W |
瞬間最大出力 | 1000W | 1600W | 1200W |
定電圧機能 | 最大750W | 最大1000W | 最大1200W |
充電容量は、512Wh・768WhのRIVER 2に比べて、AC60は403Whと最も少ない容量ですが、これは拡張バッテリー機能を備えているため、本体容量を欲張らずに済む…という考えでしょう。
AC60の拡張バッテリーB80の容量は806Whで最大2台まで接続可能です。AC60本体と拡張バッテリーを合計した際の容量は、B80を1台接続で1,220Wh、2台で2,015Whとなり、拡張バッテリーのないRIVER 2を大きな差となっています。
もちろん、拡張バッテリーの購入費がかかるので、1,220Whで159,600円、2,015Whで239,400円の出費となりますが、AC60には、本体単体で間に合う場合と、拡張バッテリーを追加する場合とで、ユーザー個々に自由にチョイスできる「幅」があります。
出力に関しては、定格/最大/ブースト時の数値で、
- RIVER 2 Max→500W/1000W/750W
- AC60→600W/1200W/1200W
- RIVER 2 Pro→800W/1600W/1000W
となっており、ブースト(定電圧機能)使用時にはAC60が最大1200Wまで対応可能です。
容量・出力のスペックでどの機種が有利かはなかなか決めづらいですが、「素」のスペックで最も強力なのは「RIVER 2 Pro」ですが、拡張バッテリーと定電圧機能で幅広い容量と出力に対応しているという意味で「AC60」が最も守備範囲が広いと言えそうです。
RIVERは、先代「RIVER」で採用されていた拡張バッテリー機能を廃止し、定電圧機能「X-Boost」も対応範囲を縮小したことで、初代RIVERが持っていた「並外れた」「突出した」高スペック感は失われたと感じます。
逆にAC60はベストセラーとなった「EB3A」で好評だった各機能を踏襲し、「名機」の伝統を引き継いでいるイメージです。
入力関係の数値と機能
RIVER 2 Max | RIVER 2 Pro | AC60 | |
AC入力 | X-Stream 1000W | X-Stream 1000W | 600W |
ソーラー入力 | 11~50V 220W | 11~50V 220W | 12~28V 200W |
急速充電 | X-Stream | X-Stream | 〇 |
パススルー充電 | 〇 | 〇 | 〇 |
UPS | 30ms | 30ms | 20ms |
こちらは各機種の入力関係のスペックをピックアップしました。
ACコンセントからの充電では、EcoFlow独自の急速充電技術「X-Stream」によって最大1000Wでの急速充電が可能で、大きく重いACアダプターが不要という点も「X-Stream」の大きなメリットです。AC60も600Wでの充電が可能で、ACアダプターは別途必要ありません。
ただし、S-Streamを使用して急速充電を行う場合にはどうしても騒音レベルが上がってしまうのでとても「静粛」とは言えません。静音性を優先するなら能力をさげて充電すべきです。また急速充電は決して電源にとって快適な状況ではありません。少ない電力でゆっくり充電する余裕があるならできるだけ急速充電は使わない方がよいでしょう。
ソーラーパネルからの充電についてはほど同等のスペックとなっていますが、RIVERの方が最大50Vまでと、400Wクラスのソーラーパネルを接続できる仕様となっています。
パススルー充電には3機種とも対応しています。「UPS(実質EPS)」機能については、RIVER 2は「30ms」、AC60は「20ms」で対応します。20msも30msにしてもいずれも精密機器に使えるスペックではありませんので、あまり大差ないと言えます。
入力関係のスペックでRIVER 2とAC60に大きな差はありませんが、X-Stream技術によってAC入力の電力量はRIVER 2が勝ります。しかしAC60は容量が少ないこともあって、満充電までの時間は大差ありません(B80接続時は時間がかかります)。
諸機能について
RIVER 2 Max | RIVER 2 Pro | AC60 | |
無線充電 | × | × | 〇 |
スマホ操作 | 〇 | 〇 | 〇 |
防水防塵 | × | × | IP65 |
静音性 | – | – | 40db |
付属機能の面でもあまり大きな差はありませんが、天板に置くだけでスマホを充電できる「ワイヤレス充電」にはAC60だけが対応しています。EcoFlowの電源は過去歴代モデルでも伝統的にワイヤレス充電機能を搭載していません。EcoFlowなりに思うところがあるようです。
実際筆者も「EB70S」「EB3A」のワイヤレス充電はほとんど使いません。出力が小さいので充電に時間がかかるので、ケーブルを繋いでしまうためです。あまり大きなアドバンテージとは言えないでしょう。
「防水防塵」性能については、AC60は各端子にゴム製カバーを取り付けており「IP65」を謳っていますが、これはあくまですべてのゴムカバーがきちんと閉じられている場合の防水防塵機能です。少しでもカバーが浮いている場合や、プラグやケーブルが差してある状態では防水防塵は機能しないので注意が必要です。
「静音性」に関しては、AC60は実際に使ってみた時にとても静かになったと感じました。筐体の作りや素材が進化したことに加え、充電時の動作音が静かになったことで、非常に質感が向上したと感じました。就寝中に充電していても問題なく眠れるレベルと感じました。
出力端子
RIVER 2 Max | RIVER 2 Pro | AC60 | |
AC出力 | 4 | 4 | 2 |
USB-A | 3 | 3 | 2 |
USB-C | 1 | 1 | 1 |
DC出力 | 5521×2 | 5521×2 | 5521×1 |
シガーソケット | 1 | 1 | 1 |
出力端子の数はRIVER 2の方が多いです。AC60の403Whの充電容量に対してAC出力が4つも必要か…と現実的に考えれば、コンパクトにまとめたボディのこともあるので2つでも納得できるかな…と思います。
RIVER 2 Proの容量と出力を勘案するとAC出力4つは妥当かな(それでも少し多い気もする)と思います。
そのほかでは大きな差はありません。
サイズ・重量・携帯性
RIVER 2 Max | RIVER 2 Pro | AC60 | |
サイズ | 269x259x196mm | 269x259x226mm | 290x205x234mm |
容積 | 13,927,196mm³ 13.93リットル | 15,745,646mm³ 15.75リットル | 13,911,300mm³ 13.91リットル |
重量 | 6.1kg | 7.8kg | 9.1kg |
サイズ的にはRIVER2はAC60と比べて、横幅は小さく奥行きが大きいです。MaxとProの違いは高さだけです。
容積を求めると、最も小さいのはAC60、次にMax、Proという順番になります。
重量はAC60がダントツに重いですが、AC60と同容量の「Jackery400」4.1kg、512Whの「Anker 535」7.6kgと比べると、リン酸鉄リチウムは重めであることを勘案しても重い部類に入りそうです。ただ実際に持ってみると筐体がコンパクトにまとめられていることや、ハンドルがしっかりしているなどでさほど重さを感じずに移動・持ち運びができました。
RIVER2はリン酸鉄リチウムを採用していながらこの重量で抑えているのは1つのメリットと言えます。
実際の使用感はどうなのか
ぶっちゃけ、どちらも使いやすいポータブル電源でした^^;

それじゃあ比較にならないでしょう?
どちらが良い・悪い、使いやすい・使いにくいと言うことではなく、用途というか、ポータブル電源をどう使うかによっておすすめは変わってくるように思いました。
両方とも2022~2023年に登場した最新モデルですし、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用していて安全性と長寿命を担保している点では大きな差はありません。出力端子の差や、細かな機能の差はあまり気にする必要はないと思います。
では何で区別するか…と言えば、それはやはり「拡張性の有無」であり、「1台で使うならこっち」「容量を拡張するならこっち」といったチョイスになろうかと思います。
RIVER2かAC60か、どちらを買うべき?
結局のところ、ユーザーの使い方によってどちらがおすすめかは変わってきます。
例えば筆者は車中泊ばかりなので「軽量」に関してはあまり重視していません。このクラスは車に乗せるのに骨が折れるほど重いわけではありませんし、乗せてしまえばクルマで運搬なので多少重くても大丈夫ですが、車内でケトルやIHヒーターなどの調理家電を使うのである程度の出力が必要です。
出力は定格で出れば文句なしですが、定電圧機能でカバーしてくれれば充分です。サブバッテリーもあるので容量はさほど多くなくて大丈夫ですが、自宅内での節電や災害対策を考えると容量は拡張できた方が良いと思います。
等々と自分の使い方を考えてみると、自ずと「これで充電」とか「この機能が欲しいね」などが浮かび上がってきますので、どんな風に使うかを考えてみるのがポタ電選びの第一歩かな…と思います。
上記の使い方を考えると自分に合っているのは「AC60」かなと思います。できれば「B80」を買い足して災害時に余裕を持てれば…と思います。災害や節電を意識せずアウトドアのみで使うなら1台で事足りる「RIVER 2 Pro」かな…と思います。
実際に購入する価格も大事~セールを狙う
同じ製品を買うのでも必ずしも定価(通常価格)で購入する必要はないと思います。
各社とも頻繁にセールを打っていますので利用しない手はないと思います。昨今では25%は当たり前であまり魅力を感じなくなってきています。これから年末に向けて35~40%のセールが開催されるはずですので、ぜひ狙ってみてください。
Amazonや楽天・Yahoo!といったモールと、各社公式サイトのチョイスは、保証も差なく適用されるので安く条件のよいところを選べばいいと思います。ただ公式サイトは割高…というイメージは最近は払しょくされつつあります。独自ポイントを導入するなどで公式サイトの魅力が高まっています。
また、Bluettiの旧モデルは、他社が三元系リチウムを採用していた2020~2021年発売のモデルでも「リン酸鉄リチウムイオン電池」をさいようしていますので、セールで割安に安全性と長寿命を手に入れることが可能です。
RIVER2かAC60か まとめ
今回は、人気の10万円以下のクラスの人気機種「EcoFlow RIVER2」と「Bluetti AC60」を比較してみましたがいかがだったでしょう。
自分の使用条件からすれば「AC60」になるでしょうし、Bluettiの旧世代と比べると目を見張るような質感の向上も実際に見て触っていますので、きっと「AC60」を選べば文句はないと思います。
いまポータブル電源を購入する上での最低条件である「リン酸鉄リチウムイオン電池」はどの機種も採用していますので、安全性や長寿命にきちんと担保しています。
その上での違いは、やはり「拡張性」です。
拡張する必要がなければ1台で完結できるRIVER2が、最大2000Wh超まで拡張可能なAC60がおすすめになります。ただ、AC60は定格出力が600W(ブースト時1200W)なので、アウトドアより災害や節電に備えることが目的なのであれば、最低でもACコンセントと同等の定格出力1500W以上の機種を検討した方がよいかもしれません。
また車両にサブバッテリーを積んでいるのであれば、また条件は違ってくるでしょうし、2台目、3台目の購入であれば選択肢は違うと思います。すべてに万能なポータブル電源はありませんので、どう使うか、何を優先するかで選んでみてください。
それでは今日はこの辺で。
当ブログの管理人KAZです。
モバイル通信やガジェット関連、アウトドア関連のフリーライターをしています。2020年3月、コロナによる緊急事態宣言直前に購入した小型バンコン「アルトピアーノ」でバンライフに目覚め当ブログを立ち上げました。