今回は、EcoFlow「RIVER MAX」の実機レビューです。
今回は、EcoFlowからお借りした『RIVER 600 MAX』(正式発売モデル名は「RIVER Max
」)の実機を使って、様々な機能や性能を確認してみたいと思います。
RIVER Maxを2週間ほど使わせて頂きました。
その間、道志の森キャンプ場での車中泊キャンプにも同行しましたし、自宅でも様々な使途で使ってみましたが、コンパクトなボディにEcoFlow独自の最新機能が盛り込まれた新世代ポータブル電源という印象でした。
【後日談】この「RIVER」シリーズ以降、続々とニューモデルが発売され、X-Stream/X-Boost/スマホ遠隔操作などの新機能は多くのモデルに移植され、同社のポータブル電源の大きな特徴・メリットになりました。そういう意味では「RIVER」は現在のEcoFlowの忍苦ポータブル電源の原型を作ったモデルと言えます。
特に幾つか重宝した機能、感心した機能などがありましたので、まとめておこうと思います。
RIVER Maxはコンパクトで使いやすいサイズ
まずは正面から見たRIVER600MAXです。
MAXだけの特徴として「エクストラバッテリー」との境目にLEDイルミネーションが装着されており、カラフルに様々なパターンで光らせる事ができます(消す事も可能)。
ほとんど同じ形状の「RIVER Pro」ではこのイルミネーションはなく、Maxのみの特徴になっています。
中央の液晶パネルで、充電残量やINPUT/OUTPUT、利用可能時間等の情報が表示されます。
液晶パネルの左にはLEDライト(点灯・点滅など可能)、その下に「IOTインターネット・リセット」のスイッチ(スマホアプリとの連動時に使用)。
右にDC出力、下にUSB出力端子が並びます。
USB端子は4つで、2つがUSB-A、1つが快速充電USB-A、1つが快速充電USB-Cです。
RIVER600は、MAXで7.6kgと全体的に軽量コンパクト。上部のガッシリした持ち手で片手でしっかり持つことができます。
RIVER Maxのサイズをメスティと比べてみよう
次はRIVER600MAXのサイズ感ですが、皆さんが良く知っているトランギア・メスティンと比較すると分かりやすいかと思います。
ちなみに、メスティンの公称サイズは「17.0cm×9.5cm×6.2cm」です。
RIVERの横幅は28.8cm。メスティンを立ててだいたい3つ分(28.5cm)です。
RIVER600MAXのエクストラバッテリー込みの高さは25.3cm。
メスティンを横置き1個+縦置き1個(23.2cm)より2cmほど大きいサイズ感です。
エキストラバッテリーの厚みは、メスティン横置きの高さとほぼ一緒です。
RIVER600の奥行きは18.5cm。メスティンの長辺の長さとだいたい一緒のサイズです。
RIVER600の左サイドには「入力ポート」が集中配置されています。
左から
- AC充電入力ポート
- 充電過負荷保護スイッチ
- アース接続ポート
- ソーラーエネルギー充電/車載充電入力ポート
が並びます。下部には吸気口が設けられています。
RIVER600の右サイドには、上部に冷却ファン、ACA100Vのコンセントが3つ設けられています。
充電・放電時のファン音はEFDELTAに比べるとかなり静かで、さらに、充電時はアプリから「静音モード」に切り替えられ、電圧を落とした充電に切り替わり、ファンも静かになります(その分充電に時間はかかります)。
コンセントの左のスイッチは、出力ボタンで、このボタンを押さないとACから出力されません。
スマホ遠隔操作~専用アプリで操作・設定・管理
EFDELTAにはない機能ですが、RIVER600の状態や機能のON/OFF、設定や管理などをRIVER600に内蔵のWiFiでスマホを接続して、専用のアプリで行うことができます。
この機能の恩恵を最も感じたのはキャンプの就寝時です。
就寝時はまだ電気毛布を使うまで寒くなかったので、電源コードをRIVER600に接続した状態にしておき、寒くなった時点でアプリからの遠隔操作でAC出力をONにして電気毛布への電力供給することが可能でした。
EFDELTAであれば、数時間後に使おうと思ってもAC出力のスタンバイが解除されていて、せっかく温まっている寝袋から一旦出てAC出力スイッチをONにする必要がありますが、RIVER600は寝袋に入ったままアプリから出力ONにすることができるので温まった寝袋の中を冷やす必要がありません。
これはいい機能だと思いました。
寒い寒くないを別にしても、寝袋から出るのは面倒くさいですから寝袋に入ったままの遠隔操作は大きなメリットですし、冷却ファンが回って多少なりとも騒音を出すポータブル電源をベッド下や離れた場所に置いて置ける副次的なメリットも実感しました。
その他にも、充電上限を予め設定できる機能や、50Hz/60Hz切替、X-Boost機能ON/OFF、待機時間設定など、アプリでできる事が色々あり、便利さを痛感しました。
X-Stream~1時間で容量の80%まで急速充電
こちらもかなりのお役立ち機能です。
X-Streamによって、全容量の80%分を1時間で充電できるのは、うっかり充電を忘れてしまってもリカバリーが充分にできる機能だとおもました。
前の記事でも例えに出しましたが、キャンプへ出発する当日の朝、ポータブル電源に充電し忘れていたとしても、朝のルーティン(歯磨き洗顔など)や朝食を作って食べて…などしているうちに、1時間程度ならすぐに経ってしまいますので、RIVER600なら、お出かけの支度をしているうちに8割まで充電完了できるってわけです。
実際に出発する事には、80%以上の充電量を確保できているはずですし、もし、車中で走行充電が可能であれば、さらに充電容量を追加してキャンプ場に到着する事もでき、うっかり充電忘れを充分にリカバリーできる事になります。
ちなみに自分は、バッテリー保護と実用性の妥協点として、iPhoneもEFDELTAも90%充電で留めるようにしています。実際iPhoneは2年近く使っていますが、充電量100%のままです。
※ リチウムイオンバッテリーの特性や正しい充電方法についてはこちらをご覧ください。
X-Boost~使えないはずの家電が使える定電圧機能
上の画像は、定格出力600WしかないRIVERに、消費電力800Wの電子レンジと、1400Wの電気ケトルが接続されていますが、通常なら全く動作しないはずの電子レンジと電気ケトルが動きます。
通常のポータブル電源は定格出力が定められており、それを超える消費電力の家電は駆動できませんが、RIVERシリーズにはいわゆる「電力ブースト機能」を搭載されています。
電力ブーストとは、使用する電気製品の消費電力がポータブル電源の定格出力を上回る場合に、電気製品の消費電力を定格出力より下げて動作させる機能です。
例えば、筆者が車載している電子レンジの消費電力800Wなので、本来、定格出力600Wの「RIVER」では動かせないはずなんですが、「X-Boost」機能によって電子レンジを600Wの消費電力で動作させることが可能なんです。
定格出力500~600Wのポータブル電源によくある話しですが、家電の消費電力が定格出力を50Wないし100W足りずに動かせない…なんて状況が少なからずあります。
「X-Boostテクノロジー」は、その辺の「あとちょっとの出力不足」をなかった事にしてくれます。
ただし、X-Bppstは家電の消費電力を下げて本来動かない家電を動かすため、本来の消費電力で動かすより、電子レンジやケトルでの温めに時間がかかります。
これは、本来の消費電力に合わせた出力をしている訳ではないので、どうしても本来の出力での加熱より弱くなってしまうためです。
また、電子レンジの使いはじめ、電気ケトルの使いはじめに大きな出力が一瞬液晶に表示され(起動電力といいます)、「OVERLOAD」が表示されたり、電源OFFになったりしたケースが複数回の使用の中で各1回ずつありました。
筆者の想像ですが、RIVERは「X-Boost」によって消費電力は抑えるため、定格出力600Wでありながら最大1200Wまでの消費電力の家電を動かせますが、動作し始めの「起動電力」に対して瞬間最大出力が不足したものと考えられます。
電子レンジやエアコンなど、家電製品の中には動作の最初に大きな出力が必要な製品があるので、そうした場合に、瞬間最大出力が不足すると動かし初められないのだと思われます。
そうした面を考えると、RIVERのX-Boost機能は1200W出力まで常時利用できるデフォルトの性能と見るべきではなく、ほんの少し定格を超えてしまう家電を緊急避難的に使用できる機能と考えるべきでしょう。
あと少しの出力不足で本来なら使えない家電でも、RIVER600なら「もうひと踏ん張り」して使う事ができる…と考えるべきではないかと思います。
そうだとしても、定格以上の家電が使える「X-Boostテクノロジー」は凄い技術だと思いますし、実際にRIVER600を所有していれば、助かる場面が多々あるのは容易に想像できます。
この点について、デモ機貸出しの窓口をして頂いているEcoFlowの方に伺ったところ、以下のような回答が得られましたので参考までに記しておきます。
『事例としてあげていただいた電子レンジも600W以下に抑えて稼働させているため、通常より加熱に時間がかかっていると考えられます。 ドライヤーも使用可能ですが、600W以下に抑えるため通常より風量が弱まります。
ほとんどのポータブル電源は定格以上の家電製品が使えないため、
X-Boostで電圧を下げて利用できるようにしたらユーザー様に喜んでいただけるのではないかと考え製品化しております。
ただし一部の家電製品は電圧を下げると停止してしまうという弊害もございます。』
やはり、1200Wまで当たり前に使えるものとして見ずに、緊急避難的に「使えて良かった」という意識で利用すべきのようです。
エクストラバッテリー~後から容量が増やせる
今回、デモ機としてお借りしたのはRIVER600MAXというモデルで、288Whの容量を持つRIVER600というバッテリー本体に、同容量のエクストラバッテリーを合体させたモデルで、総容量は576Whになります。
エクストラバッテリーは1個しか接続する事はできず、2個・3個とエクストラを増やしていって、総容量を増やす事はできない点は残念ですが、エクストラバッテリーという仕組みは新しいと感じます。
特にRIVER600PROと、エクストラバッテリーの組み合わせでは、本体とエクストラバッテリーはケーブル接続となるため、必要な電力容量に応じて本体のみを持ち出すか、エクストラも合わせて持ち出すかを使い分けられそうです。
今度のキャンプは外部電源があるので720Whで足りる、電源なしサイトで2泊なので最大1440Whまで必要…という具合です。
自分の場合は容量1260WhのEFDELTAを持っているので、1440Whはあまり現実味がないというか購買メーターが振れないのですが、1000Wh超の大容量バッテリーを検討しているなら、エクストラバッテリーという仕組みも検討に値するのではないかと思います。
ここでも1つ疑問が沸いてご教示願いました。
疑問というのは、RIVER600MAXを残量僅かまで使用した段階で、フル充電済みの予備エクストラバッテリーに付け替えたらどうなるのか…です。これに対して回答を頂く事ができました。
『エクストラバッテリーをつけた場合は同時に充電放電されます。 残量表示は残量20%+満充電100%の平均値、約60%となります。 』
との事でした。つまり、RIVER600MAXの放電は本体とエクストラ双方から同時に行われ、エクストラを付け替えると残量表示は本体との平均値で表示されるという事です。
576WhのRIVER600MAXを20%残量まで使ってエクストラを付け替えた場合、本体側の20%残量(57.6Wh)に、100%残量のエクストラが接続され、残量表示は60%ととなり実際の容量は57.6+288=345.6Wh(576Whの60%)まで復帰する…と言う事でした。
静音設計~ファン音が小さく車中泊向き
先日の道志の森キャンプ場での初キャンプにもEFDELTAとRIVER600MAXを持参しました。最新鋭のポータブル電源を2つも…なんて贅沢です^^
このキャンプでは、充電容量からRIVER600MAX(576Wh)は就寝時の電気毛布の専任担当として使用し、その他の電力はすべて1260Whの容量を持つEFDELTAで賄う事に予め決めていました。
「X-Boost」を利用した瞬間的に大きな電力を使う使途は実験済みでしたので、小電力を長時間使う実験をしたかった事と、自宅で使用する中でEFDELTAよりもファン音がかなり静かだったので、キャンプでは安眠のためにRIVER600MAXを電気毛布専任としたわけです。
まず特筆すべきは、前述のようにRIVER600ではアプリによる機能のON/OFF等の操作が可能なため、バッテリー自体を手の届く範囲に置いておく必要がありません。
なるべく音が聞こえにくい、ベッド下や足元の方に置いておても、電源のON/OFFはもちろん、充電残量の確認も寝袋に入ったままでOKです。
さらに、ファン音自体も小さいので、排気口の向きを反対側に向けておけばほとんどファン音は無視できるレベルであり、まさに中泊にピッタリだな…と感じました。
電気毛布の消費電力は多くの製品で50W前後ですので、AC100Vインバーターの効率を8割とみると、RIVER600MAX(576Wh)なら約9時間の使用が可能です(※ 電気毛布側で連続使用時間に上限を設けている場合あり)。
RIVER MAX vs EFDELTAとどちらがお勧め?
実際にRIVER MAXを使ってみて思うのは、もしEFDELTAを持っていなければ、かなり購入を悩んだのではないかな…ということです
X-Stream/X-Boost/遠隔操作/エクストラバッテリーなどの諸機能によって、RIVER1台でも充分な電力供給が可能ではないか…と思いました。
用途によって容量を選べるエクストラバッテリーという考え方は新しいと思いますし、定格以上の家電を動かせたり、アプリでの設定・操作できる等、最新機能満載等、RIVERが魅力的なポータブル電源である事は確かです。
ただ、筆者のように最初から電子レンジや電気ケトルなどの家電を常用することが前提であれば、「X-Boost」で出力を抑えて使うのではなく、必要な本来の出力を供給できるEFDELTAを選ぶべきでしょう。
EFDELTAは、RIVERに比べるとアプリでの設定・操作はできませんし、定格以上の家電を駆動する技術も導入されていませんが、本来の定格として1600W(サージ3100W)を確保しており、消費電力800Wの電子レンジも、1400Wのケトルも余裕で出力可能ですし、起動電力への備え(瞬間最大出力)も3100Wと余裕があります。
しかし、普段は家電はほとんど使わず、ガジェットへの充電や、電気毛布や扇風機などの低消費電力の家電使用がメインで、時々、大出力が必要な場面で「使えない」のでは困る…、そんな使途用途であればRIVERが向いているように思います。
「X-Boost」はあくまでも応急的に定格以上の電力を使う家電を動かせる「ボーナス」と捉えるべきでしょう。
補足~インバーターの変換効率について
インバーターの変換効率は、RIVERシリーズを検討する際のデータとして重要かもしれません。
RIVERシリーズにも当然インバーターを搭載しているので、ロスする分の電力があるのかを問い合わせたところ、以下のような回答を頂く事ができました。
変換時のロスがあるのか、という件ですがサブバッテリーはAC100Vで使う場合、 インバーター(DCからACに変換する)を通さなければなりません。
インバーターを通す場合、必ずロスが発生します。通常は20%~30%のロスが発生します。
EcoFlow社のポータブル電源にはインバーターが入っていますので、フルに利用することはできません。
効率は下記をご参考ください。
RIVER AC出力
50W 効率:71%
100W 効率:80%
500W 効率:90%
DC出力
50W 効率:89%
100W 効率:91%
RIVERシリーズ各モデルの容量に、表記の変換効率を掛ける事で実際に利用可能な容量がわかります。
サブバッテリーを勉強した際に、AC100V利用時にはインバーターの変換ロスによって必ずしも正味の容量を使えるわけではない事は知っていましたが、それはポータブル電源でも同様との事です。
しかも、出力によって変換効率が異なる…と言うのは全くの初耳でした。
50Wと言うと、ちょうど電気毛布がそのぐらいですが、576WhのRIVER MAXの場合でも、576Wh÷50W=11.52時間使える訳ではなく、576Wh×71%÷50W=8.18時間しか使えないという事になります。
この変換ロスを勘案しなければ、正確な利用時間は導く事ができません。なかなか知りえない貴重なデータを教えて頂いたと思います。
それでは、今回はこの辺で。
コメント
コメントが反映されずご迷惑・ご不快をおかけして申し訳ございませんでした。
コメント1週間行方不明でご迷惑をおかけしました。
東芝のって、消費電力1300Wじゃないですか?
RIVERは1200Wまでしか対応できないので、ちょっと出力が足りないのかも。
https://enjoycamper.info/other/microwaveoven_incar/
こちらで電子レンジ、特集しています。ご覧になってみてください。
初めまして、記事を楽しく読ませていただきました。
私も車中泊で電子レンジを使いたくてmaxを購入しました。
そして単機能で小さめの電子レンジ(東芝のヘルツフリー インバーター フラットタイプ 電子レンジ)を購入しましたが、出力が安定せず一向に温まりません。
KAZZさんが使用している電子レンジの型番を教えていただけますでしょうか。
ターンテーブル式の電子レンジの動作報告はいくつかありますが、フラットタイプの報告は少ないためコメントいたしました。