本記事は、「EcoFlow RIVER 2」と「Bluetti EB3A」の比較記事でしたが、Bluettiから新たに発売となった「AC2A」を加えて、コンパクトクラスのポータブル電源のおすすめはどれなのか検証し直してみました。

これまで容量200~300Whの小型ポータブル電源のクラスは、EcoFlow「RIVER 2」と、Bluetti「EB3A」の二者択一の様相でしたが、そこへBluettiが新たに投入した「AC2A」が加わったのでコンパクトクラスのおすすめポタ電はどれなのか検証してみたくなりました。
初めてのポータブル電源を買ってみようと検討中の方や、手軽で小型軽量なサブ電源を探している方などにお役立ちな内容となっていますので、コンパクトクラスの人気電源比較をご覧ください。
これまでの流れと現在の状況
RIVERは、EcoFlowが2020年秋に発売したエントリー~ミドルクラスをカバーするシリーズで、「RIVER」「RIVER Max」「RIVER Pro」の3機種構成で、いずれも三元系リチウムイオン電池を採用していました。
RIVERが注目を集めたのは、定電圧機能である「X-Boost」や、スマホアプリ連携による「遠隔操作」、バッテリー容量を拡張できる「エクストラバッテリー」などの新進の機能を搭載していたためです。
このRIVER以降、EcoFlowの他モデルはもちろん、他社製品にも多大な影響を与え、定電圧機能やスマホ操作、拡張バッテリーなどは今では大して珍しくない機能になっていますが、初めて広く一般に広めたのは間違いなく「RIVER」でした。
その後、2022年にモデルチェンジを行い、現行「RIVER2」シリーズに進化しましたが、初代RIVERの先進性や突出した機能性などに比べると、なんとも平凡な製品になってしまった印象です。
- 定格出力600W/瞬間最大出力1200W
- X-Boostで最大1200Wの家電が動作
- エクストラバッテリー接続で容量2倍に増量で「RIVER Max」に変身
- ソーラー充電入力最大200W
これらはRIVER→RIVER 2となって失なわれた機能や特徴です。
筆者はRIVERは小さな筐体に当時珍しかった最新技術を詰め込んだ意欲的な製品としてかなりおすすめしていましがが、RIVER2への進化であまりに「普通の」ポタ電になってしまって正直がっかりしました。
一方の「EB3A」は、バカ売れしていた初代RIVERを仮想ライバルに企画・開発されたのが明々白々な製品で、「拡張バッテリー」を除いて、RIVERのスペックや機能をことごとく踏襲して登場した戦略的な製品でした。
Bluettiは2020年に発売した大容量モデル「AC200P」から、他社にさきがけて「リン酸鉄リチウムイオン電池」を採用していましたが、EB3Aにもリン酸鉄リチウム電池を採用している点が、初代RIVERとの大きな違いでした。
面白いことに、RIVERが「2」へ進化した際に失ってしまった機能を、モデルチェンジをしていないEB3Aは未だに持ち続けているため、性能・機能面でRIVER2を上回ってしまうという珍現象が起きたわけです。
このクラスには、ALLPOWERSも「R600」という意欲的な製品を送り出していますが、RIVERとEB3Aの牙城を崩すほどの認知度はなく、未だにこのクラスは「EcoFlow対Bluetti」の一騎打ち状態が続いています。
そして2023年、Bluettiにも新モデル「AC2A」が登場し、いよいよ「新モデルどうしのライバル対決か?」といった様相なのです。
RIVER2もEB3A・AC2Aもリンサン鉄リチウム電池採用
旧RIVERとの比較で、「EB3A」がより高ポイントを獲得できる最大の特徴は、BLUETTI伝統の「リン酸鉄リチウム電池の採用」でした。
今回、「RIVER 2」シリーズもリン酸鉄リチウム電池を採用したことで、電池の差はなくなりました。もちろん最新の「AC2A」もリン酸鉄リチウム電池採用です。
ここで少しリン酸鉄リチウム電池についておさらいしておきましょう。
電池としての安定性が高く取り扱いが容易
これまでRIVERは「三元素リチウムイオン電池」を採用してきました。

「三元素リチウムイオン電池」は小型軽量にできることや、低温度下でも正常動作しやすいなどのメリットがあり、特に小型ポータブル電源に向いた電池と言われています。
しかしリン酸鉄リチウムは、三元素リチウムに比べてエネルギー密度が低く、電池として安定しています。
三元素リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池は、小型軽量、繰り返し充電に強いのでスマホバッテリーとしての採用例が多いですが、スマホを落としたり、尻ポケットに入れたまま座るなどで、強い衝撃や圧力が加わらないよう注意が必要です。
実際、過去にはスマホが爆発や発火を起こした報告が少なくありません。
ここへきて、ポータブル電源のトレンドは完全に「リン酸鉄リチウム」となり、安定性が高く爆発や発火のリスクが少なく、安価なリン酸鉄リチウム電池の採用へシフトする電源メーカーが目立ちます。
そういう意味ではBLUETTIは、ずっとリン酸鉄リチウム電池採用のバッテリーを作り続けており、「リン酸鉄と言えばBLUETTI」といった老舗的な立ち位置のメーカーです。
リン酸鉄の充電サイクルは圧倒的!寿命が3~6倍に
リン酸鉄リチウム電池は寿命が長いことが大きな特徴です。
リチウム電池は、充放電を繰り返すことで劣化が進み、実用的な充電量を維持できなくなることで「寿命」を迎えます。
従来の三元素リチウムの充電サイクル(※)は500~800回程度です。
AppleもiPhoneのバッテリーについて「充電サイクル500回で容量80%」と想定しており、そこまでバッテリーが劣化するとiPhoneが求める電力を供給し切れなくなり、シャットダウンを起こすケースがある…としています。
スマホの場合はスマホが求める電力を供給できなくなることで、そのバッテリーは「寿命」と判断されますが、ポータブル電源の場合は、本来の80%の容量しか充電できなくなったからと言って、すぐに「寿命」ということはありませんが、各社、残存充電量80%を目安としている点はスマホと同じです。
旧RIVERも三元素リチウム電池を採用しており、電池寿命は充電サイクル800回で残存80%としていましたが、新RIVERではリン酸鉄リチウム電池を採用し、充電サイクルは3,000回と飛躍的にライフサイクルが延長しています(つまり寿命が長くなった)。
「EB3A」はで2500回(80%残存)以上、AC2Aは3000回(80%残存)となっています。

充電サイクル3000回と2500回では、3000回の方が優れているのか…というと、あまり大きな差ではありません。週に1回充電をフルに使い切って充電した場合、3000回(=3000週間)では57.5年、2500回では47.9年かかります。57年と47年、10年違いますが、だから何だ?というレベルの差と言えます。しかも目安であって、使い方によっては必ずしも3000回の充電サイクルに至らず寿命を迎える場合もあるので、この差はあまり気にしなくてよいでしょう。
RIVER2が失い、EB3Aが持っている機能とは

筆者は「RIVER」を本当にすごいポータブル電源だと思っていました。
しかし、その「すごい」と思ってきた要素のほとんどを新型RIVER自ら捨ててしまいました。
最小モデルでも定格600W/最大1200Wの高出力
旧RIVERシリーズには、充電容量の違いで、RIVER・RIVER Max・RIVER Proの3モデルをラインナップしていましたが、定格出力/最大出力は全モデル共通でで600W/1200Wでした。
たった288Whの容量しか持たない最小グレードのポータブル電源が、上位モデルと同じ600W/1200Wを出力できることは、ベーシックなRIVERの大きな特徴でしたし、また他製品にはない突出した魅力でもありました。
エクストラバッテリーを廃止

初代RIVERが充電容量の多少に関わらず、シリーズモデル3台とも出力が共通であった理由はエクストラバッテリーにありました。
RIVERは288Whの容量を持っていましたが、同容量のエクストラバッテリーを合体することで、充電容量を2倍の576Whにすることができました。この状態を「RIVER Max」という呼び方をします。
エクストラバッテリーは容量アップにばかり注目されていましたが、エキストラバッテリーを合体した製品を「Max」としてラインナップしているため、RIVER側の出力を落とすことができず、最小のRIVERでも600W/1200Wの出力を持つという副産物を生んでいました。
新型RIVER2では、エクストラバッテリーを廃止してしまったため、上位モデルと出力を共通化する必要がなくなったため、『容量も出力も小さい平凡なポータブル電源』になってしまいました。
他の製品にない高出力小型電源として「孤高の存在」から、自ら当たり前の普通の電源に降りてきてしまった印象で残念でなりません。
新RIVER2では、定格出力300W/瞬間最大600Wになってしまった一方、「EB3A」は旧RIVERを意識して企画・製造されたせいか、定格600W/最大1200Wの出力を持っています。新しいAC2Aは定格出力300W/最大600Wに縮小されてしまいました。この辺りはライバルのRIVER2を見習ってしまったでしょうか。
3モデルともエクストラバッテリーの接続はできないので容量を増やすことはできませんが、RIVER2/AC2Aの出力が低下してがっかり…という方には、俄然「EB3A」がこのクラスの候補筆頭に躍り出てきた印象です。
余談~UPS(無停電電源装置)で複数のポータブル電源の容量を使える

「EB3A」にはエクストラバッテリー接続の仕組みはありませんが、UPS機能(無停電電源装置)を使って、他のポータブル電源を「EB3A・AC2A」の出力端子から利用することができます。
例えば筆者はEFDELTA(1260Wh)を所有しているので、「EB3A」のAC100V入力をEFDELTAのコンセントに繋ぎ、「EB3A」の出力から、家電やスマホ充電を行うと、EFDELTAに電力があるうちはEFDELTAの充電量を消費します。
この機能を「パススルー」といいます(外部電源の電力をそのまま出力する機能)。
EFDELTAの充電が底をついて電力を供給できなくなると、UPSが瞬時に作動して、EBA本体の容量から電力を供給するように切り替わります。
このEFDELTAの容量切れは、外部からの電力供給が止まるという点で『停電』と同じなんです。
つまり、最初はEFDELTAの容量1260Whを使用して、なくなったらEB3Aの容量276Whを使用するので、トータルで1528.8Whを使用できることになります。
容量が枯渇しないうちにEFDELTAからの出力を止めた方が、EFDELTAのダメージは少なくてすみますが、理論的には、エクストラバッテリーでなくても、UPSを活用すれば、2台の電源の容量を継続して利用することができます。
※RIVER 2シリーズにもEPS機能が搭載されています。

EcoFlowのポータブル電源のUPS(EPS)は30ms(ミリセコンド)、Bluettiは20msです。大した差ではないとおもいますが、いちおうご参考までに。
家電の消費電力を下げて駆動する定電圧機能

本来、家電をポータブル電源で動かすには、『家電の消費電力』『電源の定格出力』を上回っていなければなりません。
消費電力<定格出力
しかし、EcoFlowの「X-Boost」や、BLUETTIの「電力リフト」は、家電の電圧を下げて消費電力を定格出力以内に抑制して動作させることができる機能です。
例えば、当ブログでご紹介している「山善電子レンジYRL-F180」は、800W/50Hzの消費電力なので、本来であれば定格出力600Wの「EB3A」では動かすことができないはずなんですが、電力リフト機能によって800Wの電子レンジを動作させることが可能です。
同様に、1200Wまで対応していた初代RIVERのX-Boostですが、新型RIVER2では最大450Wに引き下げられてしまいました。また、Bluettiの新モデルAC2Aでも600Wまで縮小されてしまったため、800W電子レンジは動かすことができなくなってしまいました。

2~3万円クラスのポータブル電源「EB3A」が電子レンジを動作させられる…というのは、EB3Aが他モデルとくらべてちょっと頭抜けているのがよくわかるスペックです(EB3Aが対抗した初代RIVERも凄かったということになります)。
RIVER2とAC2Aは、大規模災害時などのイザという時に、小さな電源でも電子レンジも動かせる…という利便性や安心感も失われてしまいました。

この記事は最小モデルRIVER2について書いていますが、「X-Boost」について言えば、使用できる家電の最大消費電力が3モデル全てで低下しています。旧RIVERでは3モデル共通で最大消費電力1200Wの家電まで使えましたが、新型では小さいモデルから450W/750W/1000Wになりました。
当ブログでは、旧RIVERを『小さいのに電子レンジも使える』点に注目しておすすめをしてきましたが、新型は最大モデル「Pro」で辛うじて1000Wまで使えますが、RIVER2とRIVER2 Maxはもう電子レンジは使えなくなってしまいました。残念です。
急速充電機能
EcoFlowには「X-Stream」という急速充電の技術があり、RIVER2も1時間で満充電が可能です。しかも大きくて重いACアダプター不要で、電源ケーブルを直接AC100Vコンセントに刺して充電が可能です。
「EB3A」は、充電容量の80%を約1時間で充電、AC2Aは45分で80%まで充電できる高速充電機能を搭載しています。

EcoFlowが満充電(100%)を基準にしているのに対して、Bluettiが80%を基準にしているのは、バッテリーの劣化に配慮した表記だと自分的には推測しています。リン酸鉄を含めリチウムイオン電池は満充電・フル放電を嫌います。大きめのダメージを負ってバッテリー寿命を縮めてしまう可能性があるため、ダメージの大きな急速充電は80%までにしてくださいね…というメッセージではないかと思います(大容量急速充電もダメージになるため)。
いずれのモデルも、キャンプ出発日当日に充電を忘れていたことに気づいても、約1時間で80~100%の容量を充電することができますので、充電忘れをリカバリー可能です。
ソーラー充電

旧RIVERは、ソーラーパネルから最大で200Wで充電可能でしたが、RIVER2ではこの数値もダウンしてしまいました。最大110Wでしかソーラー充電ができません。
EB3A・AC2Aはいずれも最大200Wでの充電が可能です。
このクラスは容量がさほど大きくないので、110Wでも満充電や80%容量まではさほど時間はかからないかもしれませんが、入力はできるだけ大きい方が使い勝手はよいはずです。なぜあえて半減させる必要があったのか、何か理由があるんでしょうか。

ソーラーパネルからの充電は、パネルの最大出力の夏場は80%程度、冬場は60%程度、平均で70%程度なので、110Wパネルでは太陽が陰りなく当たっている状態で70~80W程度です。雲がかかったり、薄日の日などは発電量が極端に下がります。
スマホアプリで遠隔操作

RIVER2、EB3A、AC2A、いずれもスマホによる遠隔操作が可能です。
電源ON/OFF、残量確認、周波数切換え等がスマホアプリから操作できます。
EcoFlowのスマホ操作では、充電量の最大値を決めておけるのがメリットです。前述のようにリチウムイオン電池はフル充電を嫌うので、最大80%と設定しておけば充電が停止しバッテリーへのダメージを防止できます。
EcoFlow RIVER2とBLUETTI EB3Aのスペック比較
こうして機能・性能をチェックしていると、EcoFlow RIVERとガチンコなライバル関係であることがわかりますね。スペックを比較してみましょう。
| 機種名 | RIVER 2 | EB3A | AC2A |
| メーカー | EcoFlow | Bluetti | Bluetti |
| サイズ(mm) | 214x245x142 | 255x180x183 | 250x150x180 |
| 重量 | 3.5kg | 4.6Kg | 3.6kg |
| 電池 | リン酸鉄 リチウム | リン酸鉄 リチウム | リン酸鉄 リチウム |
| 容量 | 256.0Wh | 268.8Wh | 204.8Wh |
| エクストラバッテリー | × | × | × |
| 定格出力 | 300W | 600W | 300W |
| 瞬間最大出力 | 600W | 1200W | 600W |
| 消費電力減らす機能 | 450W X-Boost | 1200W 電力リフト | 600W 電力リフト |
| スマホ遠隔操作 | 〇 専用アプリ | 〇 専用アプリ | 〇 専用アプリ |
| UPS | 〇(EPS) 30ms | 〇 20ms | 〇 20ms |
| 出力(AC100V) | ×2 合計300W | ×2 合計600W | ×2 合計300W |
| 出力(シガーソケット) | ×1 | ×1 | ×1 |
| 出力(USB) | USB-A×2 USB-A急速×1 USB-C×1 | USB-A×2 USB-C×1 | USB-A×2 USB-C×2 |
| ワイヤレス充電 | × | 〇 | × |
| 出力(DC) | 5521出力×2 | 5521出力×2 | – |
| 入力(AC100V) | 最大360W | 最大430W | 最大270W |
| 入力(ソーラー) | 最大110W | 最大200W | 最大200W |
| 充電サイクル | 3,000回 | 2,500回 | 3,000回 |
| 保証期間 | 5年 | 2年 | 5年 |
こうして数値で比較してみると、2022年~2023年に発売されたRIVER2やAC2Aよりも、2021年発売のEB3Aの圧勝という感じです。
いかにEB3Aがハイスペックを持っているかが良く分かります。この性能・機能が2~3万円で手に入るのは驚異的です。
ただし、RIVER2とAC2Aは外装の質感がかなり向上しています。発売の古いEB3Aはその辺りはちょっと不利なのですが、ポータブル電源の真価は外装の質感ではないので自分的には気にしていません。
RIVER2・EB3A・AC2A比較 まとめ
今回は、名機「RIVER」の後継機『RIVER2』、名機のライバルは名機『EB3A』、最新モデル『AC2A』の、機能やスペックを比較してみました。
正直、EcoFlow好きの自分としては、RIVER2が平凡になってしまって残念でなりません。言いかたは変ですが「孤高の存在」だったRIVERが、自ら低い場所へ下りてきて、かつてのライバルに勝手に負けてしまった…という感じです。
そのハイスペックをBluettiの最新モデルAC2Aが踏襲しなかったことも残念です。
その辺りを勘案すると、やはり『EB3A』は名機と言わざるを得ないなあ…と感じます。
それでは今日はこの辺で。
※Bluettiの最新モデル『AC70』を実際に購入。旧モデル「EB70S」と比較しながらレビューしています。興味があればご覧ください。
※EcoFlow「RIVER2」とBluetti「AC60」の比較記事も興味があればご覧ください。









